夢No.5 98年7月2日の夢

恐るべし無刀流


  どこか遠くで、アナウンスのような声が聞こえる。
  「元祖無刀流忍者侍 VS 百銃の王 GUN MASTER」
  「元祖無刀流忍者侍 VS 百銃の王 GUN MASTER」


  西部のゴーストタウンと、江戸時代の下町長屋をごちゃまぜにしたような、
  奇妙な空間が広がっている。 男が二人、中央で対峙している。

  一方は、うす汚れた袴姿の、浪人風の男だ。
  こちらが、無刀流忍者侍なのだろう。
  無刀流と言うだけあって、帯刀していない。
  両手は空のままで、足も裸足だ。
  髪はボサボサ、まげがくずれかかっていて、
  無精ひげも伸び放題。眼光だけが鋭く光っている。

  もう一方、GUN MASTERの方は、どうやら異国人らしい。
  ひょろりと痩せた背の高い体を、黒いスーツにつつんでいる。
  黒い帽子、サングラス、黒いシャツ、黒いネクタイに、黒い靴。
  黒ずくめのスタイルに、白い手袋だけが映える。
  どれも新調したばかりかのように、輝いている。
  忍者侍とは、正反対のスタイルだ。
  が、こちらも手は空だ。
  ガンベルトらしきものも、外見からでは見あたらない。
  百銃の王というネーミングにしては、
  あまりに武器の存在を感じさせないのが、かえって不気味である。

  GUN MASTERが、先に仕掛けた。
  すうっと片手を上げると、その手には、いつの間にか銃が握られている。
  バァン
  一発の銃声。
  しかし、眼前から侍の姿は無くなっている。
  右前方より駆け抜ける影。とっさに身をかわすGUN MASTER。
  だが、頬に一筋の赤い線が残る。
  傷跡に指をなぞらせる。
  血の付いたその指を舐めながら、ニヤリと笑うGUN MASTER。
  「面白ぇ、無刀流ってヤツは、手刀を使いやがるのか」

  再び迫る黒い影。
  数メートル手前でスッと消える。
  「なるほど、忍者侍って名は伊達じゃねぇな・・・」
  「だが、百銃の王って名も、伊達じゃねぇってことを教えてやるぜ」
  GUN MASTER背後上空にフッとあらわれる影。
  忍者侍の手刀がGUN MASTERを襲う。

  「俺に死角はねえっ!」
  叫びざまGUN MASTERの両手に溢れる銃。そして、
  体中のありとあらゆる場所からスーツを突き破り飛び出す銃口。
  小銃・マシンガン・狙撃用ライフル・ガトリングガン。
  ありとあらゆる種類の銃が全方向に、いっせいに火を噴く。

  ブレる影の残像。
  落ちるように、ふっと空中からあらわれる忍者侍。
  「・・・・・・」
  他に傷はないが、両腕をやられたらしく、
  だらりと垂らした腕と、指先から血を滴らせたまま、
  立ちつくしている忍者侍。

  「そこで待ってな。今、俺が天国に連れていってやるよ」
  GUN MASTERは、忍者侍の立っている場所に歩みよる。
  「そういや、ジャパニーズが逝くのは、
   天国じゃなくて、極楽浄土とやらだったっかい?」
  忍者侍の目前まで来ると、タバコを取り出し、口にくわえる。
  懐から小型の銃をとりだすと、
  「コイツが百挺目なのさ」
  百銃の王はニヤリと笑い、ゆっくりと引き金を引く。

  シュボッ
  小さな赤い火が灯り、タバコから紫の煙がたゆたう。
  「アハハハハッ
   お前さんは武器を失った。
   刀が無きゃ、得意のハラキリも出来ないだろ?」

  「甘い」
  野太い声が辺りに響きわたる。
  「お主が奪ったのは、脇差しにすぎん」
  言うと同時に蹴りを放つ忍者侍。
  驚愕の表情を浮かべた、GUN MASTERの頭が、
  口にくわえたタバコはそのままに、ごろりと落ちる。

  「無刀流の神髄は手刀にあらず、足刀にあり」

  「南無」
  一言だけ発し、立ち去る忍者侍。


  どこか遠くで、アナウンスのような声が聞こえる。
  「勝者 元祖無刀流忍者侍」
  「勝者 元祖無刀流忍者侍」


   この夢では、自分が出てこない。自分=カメラのような感じ。
   こういう客観的な夢もたまに見る。いいカメラワークだったのに、
   文章で表現出来ずに残念だなぁ(苦笑)

   チープで陳腐な名前に妙にシリアスなバトル。素敵なB級映画のような夢(笑)
   世界中から妙なヤツを集めた、トーナメントのようなものが開かれているらしい。
   その中のカードの1つがこの試合。・・・のような気がする。
   無刀流のおっさん、かっこいい。 また会いたい(笑)
   

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