夢No.6 98年7月4日の夢
顔のない女性
顔の無い女性。
赤い唇だけが、妖しく微笑む。
そのイメージが頭から離れない。
歩いていても、信号待ちでも、
電車に乗っても、バスに乗っても、
寝ても、覚めても、
妖しいその笑みが、脳裏につきまとう。
唇が、スローモーションのように動く。
そしていつも、声には出さずに、ある言葉を形作る。
俺は、毎回その言葉を探ろうとするのだが、
いつもあと一歩で、彼女が何を言おうとしているのかわからない。
イメージだけの、
俺の頭の中にだけ存在する筈のその女性を、
いつしか、現実に見かけるようになる。
交錯する虚構と現実。
相変わらず彼女に顔は無く、
相変わらず彼女の唇の形作る言葉は謎のまま・・・
俺は何故か、彼女の名前が気になってしょうがない。
知ってはいるのに、思い出せないかのように、
どうしても気にかかり、そのひとを忘れられない。
行く先々で、顔の無い彼女の貌が俺を笑う。
彼女の名前は? 彼女はなにを言っているのだろう?
夢か、現実か、
突然、彼女が目の前にあらわれる。
俺の目の前に立っているにもかかわらず、
やはり顔は見えない。
唇がゆっくりと動きはじめる。
声は聞こえてこないが、これだけ近くなら、唇が読める。
ワ・タ・シ・ノ・ナ・マ・エ・ハ・・・・・・・・・
彼女の名前を確かに聞いた。
それに驚いて目を覚ましたのだから。
だが、その名を思い出すことがどうしても出来ない。
何故なのだろう。
悪夢は憶えていないものだと良くいうが・・・
後味の悪い夢だ。
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