夢No.8 98年7月24日の夢

カノジョたち


   ブーン。
  ブ〜〜ン。
  蚊が一匹、寝ている僕の耳元でうるさい。
  寝付けない僕は、怒って蚊をたたこうとする。
  が、蚊はなかなかすばしこい。僕はムキになるが、
  それでも、蚊は僕の攻撃をかわし、逃げ回る。

  しばらくすると、蚊は僕の肩にとまり、話しかけてきた。
  「ねぇアナタ、そんなに怒ること、ないんじゃないの?」

  よく見ると、なんだか、妙に色っぽい蚊だということに気付く。

  しかし、僕は怒って叫ぶ。
  「なんだと! お前がうるさいせいで、僕は寝られないんだ!
   おまけに、血は吸うは、痒みは残すは・・・迷惑なんだよ!」

  ぶんぶん飛びながら、
  ディズニーアニメにでも出てきそうな彼女は、僕の耳元で囁く。
  「じゃ、取引しない?
   アタシに血を吸わせてくれるなら、痒くしないであげるわよ。
   それに、アナタの血さえ吸えば、アタシはすぐにいなくなるわ」

  僕は、自分がその提案を検討し始めていることに気が付き、
  あわててかぶりを振り、言う。
  「なんで僕なんだ!? 他の誰かの血でも吸ってくればいいだろ!」

  彼女は、僕のまわりを、まるで僕を値踏みでもするかのように、
  3周ほど、ぶんぶんとまわりつつ、妖しい笑みを浮かべながら、言う。
  「アタシは子供を生む為に、人間の血が必要なの。
   それに、他の誰のでもなく、アナタの血が欲しいのよ。
   だって・・・アナタ、とってもオイシそうなんだもの」

  僕は、その声に惑わされた。
  (そんなに僕の血が欲しいのか。
   美味しそうと言われて、悪い気はしないな・・・
   痒みもないなら、少し血を吸われることくらい、いいんじゃないか?)

  「少しだけ・・・・・・だよ」


  チクリ
  かすかな痛み。
  腕にとまった彼女を見ていると、その腹がどんどんふくらみ、
  赤みを帯びてくるのさえわかる。その3秒のなんと永かったことか。

  すうっと彼女は僕の腕を離れると、クルリとこちらを向いて、
  「オイシかった・・・・・・。アナタのこと、忘れないわ」
  と言い残し、飛び去って行った。

  確かに、腕は痒くない。
  僕は、満足して眠りに就いた。


  ・・・数週間後・・・

  すべてを忘れていた僕の前に、黒い霧がたちこめる。
  僕にむらがる、黒い霧。
  いや、これは霧じゃない!?
  それは、彼女の面影を色濃く残す、
  数千、数万の、
  彼女の娘たち。

  僕の意識はフェードアウト。



   前半はコメディーっぽかったのに、
   オチはホラー系で、いや〜ん。
   タイトルの「カノジョたち」は、もちろん「蚊の女達」と書くぞ。 寒


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