夢No.9 98年7月?日の夢

クマの恩返し


  寝ていると、かすかに物音が聞こえる。
  もそもそと、なにかが動いている気配。
  ちいさなちいさな2種類の声。 空耳かな?
  うっすらと目をあけ、あたりの様子を探ると、
  なんと 2匹の赤いクマのぬいぐるみが、
  僕の枕元に近づいてくるところだった。

  僕はたぬき寝入りで、気付かぬフリ。
  クマたちは、僕の耳元までやってくると、相談をし始めたようだ。
  ちいさな声で、囁きあっているのが、断片的に、かすかに聞こえる。
  「こいつが・・・・・・・・・」
  「・・・だよ・・・ひと・・・」
  「なんで・・・・・・かない・・・」
  「・・・・・・は・・・ぼくらも・・・・」
  「・・・・・・」
  「・・・・・・」

  「ねぇ? おきてるんでしょ?」
  突然、耳元で声がして、油断していた僕は、びくっと体を震わせてしまった。
  「ほら、おきてるよ」
  「なんだ、ねたふりかよ、しゅみわるいぞ」
  僕はゆっくり、おそるおそる目を開ける。
  そこには、赤いクマのぬいぐるみが2匹。
  僕がまじまじと見ていると、大きい方のクマが喋る。
  「おまえが、おれたちに、なまえをつけた、にんげんかい?」
  「だめだよ、おにいちゃん。
   ぼくらになまえをつけてくれたひとに、おまえなんていっちゃ」
  小さい方のクマが、弟らしい。
  ちょこまかと動いて、身振り手振りを交えて話す仕草が、かわいらしい。

  すこし頭がハッキリしてきた。
  そうだ、この2匹は僕の部屋に昔からいる。
  部屋に飾ってあるクマのぬいぐるみたちじゃないか。
  確かに、気に入って名前を付けた覚えがある・・・
  「そうだよ、キミらに名前を付けたのは、僕だけど?」

  すると、彼等は短い相談をかわし、喋りだした。
  「じゃ、いうよ、いっせーの」
  「ありがとうございます」
  「ありがとな」
  「おにいちゃん!」
  「なんだよ、もう、うるさいなぁ。おとうとのくせに、なまいきだぞ・・・
   ちぇ。わかったよ。おれだって、ちゃんと、こいつにかんしゃしてんだぞ、
   ありがとうございますっ」

  
  「でね、ぼくらになまえをつけてくれたおれいに、
   きみにひみつをおしえてあげることにしたんだ」

  秘密? いったいなんのことだろう? 僕はどきどきし始めていた。

  耳元でクマの兄弟が僕に囁く。大切なこと。
  僕の本当の名前。本当の気持ち。本当の光。

  目から鱗が落ちたような気がした。
  突然、目の前の壁が取り払われた感覚。
  素晴らしい秘密。僕のまわりで世界が輝き出す。

  しかし、僕の一部は醒めていて、これが夢であることに気付いている。

  僕の心を見透かしたように、兄弟が一言ずつ言う。
  「おまえ、これがゆめだっておもってるんだろ?
   んで、それでなんのちがいがあるってんだい?」
  「ゆめだけど、みてるのはきみなんだよ・・・」

  そうだね。
  僕は呟くと同時に猛烈な眠気に襲われ、静かに目を閉じる。



   ぼくのお気に入りの赤いクマのぬいぐるみ×2。
   兄弟という設定(笑)で、名前も性格付けもバッチリ。
   夢の中でちゃんと兄弟の個性が出ていたので嬉しかったな。
   彼等のお顔がみたい人は こちら へ。

   本当に素晴らしい秘密を教えて貰ったのに、
   目が覚めたら、すっかり忘れている。ま、それが夢のセオリーなのかな?
   肝心な事を忘れてしまうというのは、良くあるパターン。
   それでもなかなか楽しい夢ではあったね。こういう夢は大歓迎なのさっ♪


もどる