■No.08120「弱い人たち」
GM:星空めてお 担当マスター:竹本柑太

 このリアクションは選択肢120を選んだ人の内、
一部の方に送られています。
───────────────────────
《あらすじ》
 プレステル公国の政変の危機を抑えるべく、宇宙
開発機構軍からのマークが続く中、南極海域からの
北上を続ける海上都市船ヴァンダーベッケン。
 しかし、政変には間に合わず、プレステル公国は
立憲君主制を廃止し、国連への再加入を宣言してし
まう。
 さらに、この政変にあわせるかのように、宇宙開
発機構軍は動いた。パンデモニアム&サドフォース
の圧倒的な戦力によって、ヴァンダーベッケンは制
圧されてしまうのだった。
 グローリアス・ビクトリアヌス・1世は生活に関
連するシステムを除くほとんどのシステムを凍結さ
せるという抵抗を見せるが、傷を負い、船から脱出
しなくてはならなくなってしまうのであった。
 そして現在、ヴァンダーベッケンに残る者たちは
どうなっているのだろうか?


 サドフォース新指揮官の増田直樹は、制圧した海
上都市船ヴァンダーベッケンのブリッジに、ホビッ
トを無線機として使用していた。ヴァンダーベッケ
ンの運航システムが凍結している以上、ホビットを
無線機として使用するしかなかったのである。
 そして、通信している相手は、空潜母艦サルガッ
ソに乗艦中であるパンデモニアム参謀の奥津城鋭次
である。
『───では、我々パンデモニアムは準備が整い次
第……早くとも明日になるかな。ともかく、グロー
リアスの身柄確保へ向かうことにする。ターゲット
の所在確認に多少手間取るとは思うが、後のことは
お任せする』
「ええ、了解しました。解除コードの件、お忘れな
きようお願いします」
『任せてくれたまえ。あなた方サドフォースは、そ
こで我々の吉報を気楽に待ってくれればいい』
「楽しみにしていますよ。こちらは広大な海上都市
の制圧維持という退屈な任務ですが、人員は足りて
いません。ですから、パンデモニアムの方々にもな
るべく早く戻っていただきたい」
『なるべくご期待にそえるよう、努力させていただ
こう。では』
「では」
 ホビットを切った後、増田はニヤリと笑う。
「本音を言ったな、奥津城。自分たちの任務の方が
我々の任務よりも格が上だと言いたいらしい。見て
いろ、出し抜いてやる」

 サドフォース付きの連絡役としてデーモン・ラウ
ルの秘書を務めている吉岡桂子は、増田の要請を受
けてラウルに地球上の機構軍をサドフォースに回し
てもらうよう頼んでいた。
『よかろう。制圧維持部隊の増援は認めてやる』
 依頼されたことを果たした桂子は、思い切ってあ
ること言ってみる。ちょっとした駆け引きだ。
「ひとつお伺いしたいのですが、閣下は何故グロー
リアス2世を手放してしまわれたのですか? もし
も、そんな軽率なことをなさらなければ、システム
凍結という幼稚な抵抗に苦慮しなくともよかったは
ずですのに。これは閣下の手落ちになるのではない
のでしょうか?」
『貴様、俺に責任を取れとでも言いたいのか?』
 ホビットからにじみ出る3Dラウルの迫力に気圧
されながらも、桂子はうなずく。
 ラウルは桂子に向かって淡々と語る。
『それは圧倒的な戦力差を以てしても確実に制圧出
来なかった貴様等の責任じゃあないのか? 俺にお
門違いな責任を押しつけるな。この───』
 ここでホビットに映るラウルの姿がバストアップ
から頭のみのアップへと段々と大きくなる。そして、
不意にラウルの姿が消滅したかと思うと、拳のアッ
プ出現する。
『───馬鹿がッ!!』
 この怒号と共に映像は消滅した。どうやらラウル
はホロカメラを破壊してしまったようだ。
 つまり、桂子は駆け引きに失敗したのである。

 海上都市船ヴァンダーベッケンは宇宙開発機構軍
によって制圧されている。機構軍側の人間であるミ
ラー・マフィンは、(機構軍側の)ジャーナリスト
として現状を全太陽系に知らしめるべく、ウェブに
直結されているカメラを片手に、居住区上層部に立
っていた。
 船に残っている一般市民は多くないはずだが、天
候がいいこともあって、多くの市民が上層部に出て
きていた。もちろん、そこには監視のために配置さ
れている機構軍の兵士がまばらに立っているのだが、
市民たちはさほど気にもしていないようだ。
 そんな中、ミラーは市民の感情を知ろうとインタ
ビューを試みる。
「報道の者ですが、今回の国王、いやグローリアス
氏の逃亡をどう考えてますか?」
 近くの店舗で買ったらしいタコ焼きを頬張ってい
た薄着の女性は、ミラーの問い掛けにきっぱりとこ
う言った。
「戻ってくるでしょ、陛下は」
「そ、そうですか?」
「当たり前じゃない。私たちの陛下がただ、逃げ去
るはずはないわ。きっと何かお考えあってのことに
決まってるわよ」
 ミラーはこの後も何人かにインタビューを試みる
が、誰もが似たようなことを答えるばかりだった。
これはミラーの意図から完全に外れている。結果と
して、グローリアスの人望の厚さを全太陽系に伝え
ただけの結果となってしまったのだ。
「うーん、居住区では緊迫感が全く感じられない。
これじゃあ、ダメだ。ロケーションを変更しなくて
はなりませんね」
     @     @     @
 ハイソール・西条は、地球軌道上にある宇宙港に
て、もう何日もで足止めを食らっていた。宇宙港の
予定表には、降下する予定のある機はあるようなの
だが、どれも降下時間の直前になっては降下中止の
要請が機構軍からかかるらしい。いっそのこと予定
表に無期限中止の表示が出てしまえば気も楽になる
のだが。
 プロジェクト<ホウセンカ>のリーダーである彼
がこんないつ往還機が降りられるのか判らない場所
にいるのは訳がある。彼の出身国である日本へ降り
立ち、デーモン・ラウルによって歪められて伝わっ
てしまったプロジェクトのイメージを、自らで払拭
する必要があったのだ。そして、もちろん<ホウセ
ンカに必要な受精卵を地球上の各都市から提供して
もらうためにである。
 だがしかし、機構軍による宇宙港の事実上の封鎖
は続いている。したがって、地上へ降りられない西
条が出来ることといえば、ホビットを活用した各国
政府、もしくは大都市議会へのアプローチしかない。
だが、これもあまり効果があるとは言えなかった。
なぜなら、西条がいくらプロジェクトの理念を詳し
く説明して理解されたとしても、往還機がこの宇宙
港まで上がってこなければ、肝腎の受精卵を受け取
ることが出来ないからだ。
「ふぅ……」
 普段は何かと手際のよい西条も、これでお手上げ
である。ため息のひとつも吐いてしまうというもの
だ。
 だが、さらに追い打ちをかけるような事態が発生
してしまう。ふとたまたま予定表に目をやった瞬間、
ついに無期限降下禁止の文字が表示されてしまった
のである。
 手にしていたホビットの液晶画面には金髪の少女
が舌ったらずな声で太陽超新星化阻止のために水星
への結集を訴えている。だが、これも自分のしてい
ることと同様で、地球圏においては実を結びそうも
ないのだろうな、と思う西条であった。
     @     @     @
「ふあああぁ〜」
 プロジェクト<ザムザ>のメンバーのレモン・ラ
イムは、実験室のベッドの上で、およそ半月ぶりに
目を覚ました。先月開発したエングラム技能<スビ
ナー>による冬眠効果によるものである。
 ライムの視界には共に研究を進めるザムザのメン
バーの顔があった。
「おはよ〜。あ〜よく寝たあ〜」
 ライムはそう挨拶をするのだが、メンバーたちの
ノリが悪い。
「ねえ、みんなどうしたの〜?」
 顔を見合わせるメンバーたち。その中の今岡形が
リーダーとして勇気をもって訊ねてみる。
「お、おはようレモンちゃん。あの、どうしてアゴ
のあたりにカビがうっすらと付いてるの?」
 ライムはアゴに手を当てる。そして気づいた。
「あ〜これ〜? カビじゃないよ〜、おヒゲだよ〜。
やだなあ〜、レモン、何日寝ちゃったのかな〜」
「ヒゲ? レモンちゃん女性なのにヒゲが生えるの?
 あー、なるほど。ホルモンの分泌が少し人と違う
のね」
 他のメンバーは薄々勘付いているのだが、なんか
もう意地でも認めたくない形である。
 こうして目を覚ましたライムを迎え、目的のエン
グラム技能を作り出すために、研究と実験を開始す
る<ザムザ>のメンバーであった。
     @     @     @
 アシュフォード・龍は水中翼船に乗り損ねたフェ
デレーションメンバーである。だが、しかし彼はま
だ諦めてはいなかった。
 現在、所有者のいないビルの一室で、アシュフォ
ードは志がほぼ一致する仲間にこう宣言する。
「オレはよう、これから王様ンとこへ行こうと思っ
てンだが、ついて来ようっていう奇特なヤツあはい
るかい?」
 この呼び掛けに何名かが名乗りを上げた。その中
のひとり、ウーノ・ラングレーが訊ねる。
「私も同行をしたいと思うのですが、本当に出来る
のですか? 今の私たちには個人携帯用の拳銃くら
いしかないのですよ」
「オレは、そいつすら預けっぱなしになっていたン
だぜ。だが、得物の心配はいらねーよ」
 そう言うとアシュフォードは、自分のすぐ傍にあ
るロッカーを思いっ切り蹴る。
 するとアシュフォードが足蹴にしたロッカーの扉
が全て開く。その中には、ゴムスタンガンやネット
ガンなどの近衛兵の装備が詰まっていた。
「パクったんじゃあねえよ。こいつは預けていた拳
銃についた正当の利子ってヤツだ」
     @     @     @
 サドフォース指揮官、増田直樹は薄暗いブリッジ
から、空潜母艦サルガッソを中心に、巡洋艦や駆逐
艦がヴァンダーベッケンから離れてゆくのを目にす
る。
「しかし、水中翼船1艇を止めるのに、あれだけの
兵力がいるのかな。……おかげで、こちらは随分手
薄になってしまった。ま、任務に支障はなさそうだ
がね」
 そして、増田が振り返ると照明が点りだす。ブリ
ッジの一部が明るくなり、増田自身とその周囲にい
る数名の機構軍兵の姿を照らしている。ブリッジの
機能が復活したのではない。機構軍兵により、バッ
テリー式のライトが持ち込まれたのだ。
 さらに増田は兵士たちに告げる。
「我々に与えられた任務はヴァンダーベッケン制圧
の維持だ。維持するためには制圧に必要な機能を復
活させる必要がある。何しろ我々に与えられた兵力
は微々たるものだからな、補充があるとはいえ」
 ひとりの兵士が答える。
「はっ、ただ今よりシステム凍結解除の任務につき
ます」
 だが、増田は首を振る。
「違うな。正しくは上にこう付け足して言うべきだ。
ヴァンダーベッケン制圧維持のためのシステム凍結
解除の任務、とな」
     @     @     @
 カルロ・山家・メンデスは、居住区上層部にある
バーにいた。ヴァンダーベッケンに残っている自分
自身を含めたフェデレーションメンバーについて人
道的処遇を求め、サドフォースの警備担当者のひと
り、ヴラッド・ナカノと交渉を行なっているのであ
る。
「───ということで、今ここに残っているフェデ
レーションメンバーの大半はそれぞれの目的のため
に残っているだけで、抵抗を考えていないのです。
ですから───」
 カルロが全てをいい終えてしまう前に、ヴラッド
は手にしていたグラスを置き、そして口を開く。
「それは理解していますよ、メンデスさん。事実、
問題らしい問題は起きていませんからね───」ヴ
ラッドはサドフォースの中でも人道を重んじるタイ
プの人間らしく、カルロの交渉に応じるまでもなく、
フェデレーションメンバーに対して人道的配慮を既
に進めていた。「───我々サドフォースも必要以
上に反感を買うことは望んでいない。だから、ここ
に残っている他のフェデレーションメンバーもあな
たのような態度を取っていてくれさえすれば、何も
問題はないんです」
「陛下についてはどうです?」
 実はこのことがカルロにとって、最も重要な懸案
だった。自分たちが助かっても、グローリアスが処
罰されるのでは何の意味もない。
「作戦担当が我々ではないため、オレの一存ではな
んとも言えないですが、解除コードさえ教えてもら
えれば、とくに何もないと思ってます。なんたって
王子の前例がありますから。ただ」
「ただ、なんです?」
 カルロはヴラッドがこれから口にすることは聞き
たくない種類の内容だとは確信していた。
「やっぱり我々はヴァンダーベッケンに駐留してい
る以上、問題のある態度を取られるとやむなく処罰
しなくてはならないんですよ。そこのところはご理
解いただきたい」
「それは致し方ないところなのですが、しかしです
ね───」
 その時、ヴラッドの無線機が音を発てる。
「どうした? ───なにッ、何者かが高速艇を奪
って逃走しただと! 直ぐに追跡しろッ!」
 無線機を切ったヴラッドは、すまなそうにカルロ
へこう告げる。
「申し訳ない。あなたの配慮を台無しにした方々が
いたようです。捕えることが出来次第、犯人は即処
分されることになるでしょう」

 時間は小一時間ほど遡る。
 アシュフォード・龍は数名のフェデレーションメ
ンバーを連れ、ヴァンダーベッケン船尾部分の構造
体に位置する船内ドックで身を潜めていた。
「いいか、仕掛けを動かしたら連中の視線や意識は
一点に集中するはずだ。そしたら、一気に突っ走っ
てあの足の速そうな船をぶん取って、こっからおさ
らばするって、寸法だ」
 アシュフォードがそう説明すると、九郎美姫が訊
ねる。
「船って、あれのこと? アシュちゃん」
「そっ、あのどっかの金持ちが置いていった最新型
だ。燃料も食料もたっぷり入っていた」
 更に冴木杏華が小さく手を挙げて質問する。
「あのさぁ、素直にヴァンダーベッケンから下船し
ま〜す、って言えば出してくれるんじゃあないのか
なあ? そうしたら後は好きに水中翼船探せるじゃ
ない」
「ちっちっちっ、分かっちゃいねえな。そんなやり
方で表に出れたとしても、時期が悪いから監視付き
になっちまう。そんなんじゃあ、王さんのところへ
はとても辿りつけねえ」
「本当に、大丈夫なんでしょうか? 誰も水中翼船
の位置は知らないんですよね? 闇雲に飛び出して
も王様のところへ着けないような。ホビットで連絡
つけようとしても機構軍に位置がばれてしまいそう
でなんだか恐いですし」
 ネット銃を抱えながらこんな心配しているウーノ・
ラングレーに、祀由雁は答えてやる。
「そう言われてみればそうよねえ。でも、何でも試
してみなくちゃ」
「そうだぜ。うだうだ言っていても仕方がねえンだ。
そろそろ始めるぞ」
 アシュフォードは手にしていた無線装置のボタン
をおもむろに押す。
 すると、アシュフォードたちがいる場所から遠く
離れた場所で、シュパンシュパンという何かが発射
された音と、白煙が舞い上がる。遠隔操作によって
ゴムスタングレネードと催涙弾が打ち込まれたのだ。
当然、警備を担当していた兵士は、グレネードが打
ち込まれた方角の捜索を命じるが、犯人であるアシ
ュフォードたちが見つかるはずもない。その当のア
シュフォードたちは、遠く離れた場所での混乱を尻
目に、高速艇へ乗り込んで、ヴァンダーベッケンか
らおさらばしている。もちろん、高速艇へ乗り込む
までに、立ちはだかった兵士は何人かいたが、ウー
ノの手にしていたネット銃でまとめてがんじがらめ
にしてしまった。
 こうしてアシュフォードたちはヴァンダーベッン
から脱出した。ただし、グローリアスのいる水中翼
船の位置は知らない。

 その頃、ドックでの騒ぎを同行している兵士の無
線で知ったミラー・マフィンは、ひどく悔しがって
いた。
「参りましたねえ、まさかそんなことが起きるのだ
と知っていれば、今日は一日中、ドックを張ってい
たのに」
 ミラーがそうぼやくと、彼が同行している部隊の
責任者、風鈴麗がすかさずこう言う。
「申し訳ありません。長い間拘束している割に、大
した絵を撮らせられなくて」
 申し訳ないと言っている割りに、目はかなり怒っ
ているようだ。当然である。鈴麗はヴァンダーベッ
ケンに隠しブリッジが存在するという情報を得て、
船内を探索し続けているのだが、かなり巧妙に隠さ
れているらしく、調査の起点となったブリッジにあ
った隠し通路を辿っても分岐があるばかりで、目的
の場所へは辿り着けてはいないのだ。
「まずはシステム凍結を解除してもらわないと、成
果が出せないかもしれない」
 そんな弱音をつい、吐いてしまう鈴麗だった。

 その鈴麗が探している隠しブリッジの中では、船
長を始めとするヴァンダーベッケンのクルーたちが
潜んでいた。
 隠しブリッジの中はメインブシッジほどは大きく
ないにせよ、運航するためのシステムはすべて揃っ
ているし、十分な食料はもちろん、クルーたちが寝
起きする多段式のベッドやシャワー室まで用意して
ある。更に、ホビット対応のデータライブラリまで
用意してあるという気の利きようだった。だが、武
器の類いは一切ない。
 クルーたちはとりあえずくつろいではいるが、落
ち着きはない。外の様子が気になっているのだ。シ
ステム凍結が解除されたのならば、船内カメラにこ
このシステムを直結して様子をうかがうという手も
あるのではあるが。
 そんな中、ホーリックス・アリストは、船長にあ
ることを訴えようとしている。
「船長、これからどうするんです。わたし、こうい
うものを持っているんだよ」
 ホーリックスは腰に手を回し、拳銃/ピース・ク
リエイターを取り出して見せる。ここにいるみんな
でヴァンダーベッケンを機構軍の手から奪回しよう、
と言いたいのである。
 だが、自分用として用意してあった椅子に座って
いる船長はゆっくりとかぶりを振る。
「ホーリー、それはしまっておけ。私は何らかの形
で陛下がお戻りになられるまで待つつもりだ。ひた
すら待つことだって闘いなんだぞ。───ま、この
施設がなければ、船もろとも自決してやろうとして
いた人間の言う科白ではないがな」
 そう言って笑みを浮かべる船長。
 そして、ホーリックスは恥ずかしそうに拳銃をし
まうのだった。
     @     @     @
 プロジェクト<ザムザ>のメンバーたちは、王立
総合研究所内に与えられた施設のバイオハザードモ
ードを内部から発動し、機構軍からの干渉を今のと
ころ回避している。
 プロジェクトリーダーである今岡形はメンバーた
ちに告げる。
「みなさんご存じの通り、いま私たちには時間だけ
はそれはもうたーっぷりありますから、徹底的に研
究に打ち込んじゃおうと思います。幸い、研究に必
要な電力エネルギーに関してはシステム凍結がされ
ていないので、設備機材や各種研究データを活用す
るのに支障はないはずですから」
 そして形は今回もチームを代謝機能系と細胞分裂
系の2つに分けた。
 代謝機能系のテーマは、代謝機能のコントロール。
具体的にはスピナーとサイバーアクセスの同時展開
によるコントロールを目指している。結果的には成
長速度の速いクローン代謝機能を下げ、延命してや
れればいいと考えている。担当はミスト・ルシオー
ネで、ニイヤ・ドッペルゲンガーがサポート。
 一方の細胞分裂系の担当はレモン・ライムで、因
幡弥生、張・麗、そして志木琴菜がサポート。現在
の目標は細胞分裂を活用した怪我の治療である。
 なお、形はリーダーとして、両チームを随時サポ
ートすることになっている。
 プロジェクト管理も担当する弥生にこんなことを
頼む。彼女は形とポゼッショナー技能で思考を共有
しているため、リーダーのサポートも担当している
といえよう。
「あとそれから、弥生ちゃんは提携プロジェクトの
みなさんへ実験データを転送しておいてね」
 弥生は小さく手を挙げて言う。
「あの、形さーん。やはり、滝さんと精神接触する
のはちょっとアレなんですけれど」
 弥生が言っている滝とは、プロジェクト<ビーム・
アス・ホーム>のリーダ滝倫太郎のことである。弥
生は滝とよりにもよってネイバーの関係にあるのだ
が、滝は異性に嫌われやすい精神構造を持つ男であ
るため、弥生は普段、それはもう堅く高い精神遮断
の壁を築いていたのだ。
 形も若い女性であるため、その気持ちは十二分に
理解できる。ましてや弥生の実年齢は15なのだ。
今後の弥生の人生に何らかの悪影響を与えてしまっ
ては、形も弥生の親御さんに申しわけが立たなくな
る。
「どうしても嫌だったら、ホビットでも構わないか
ら、弥生ちゃんが出来る方法で転送してあげて」
「はーい(少し嫌そうに)」
 そう返事を返す弥生。
 だが、形にはやはり、弥生の声のトーンが普段よ
りやや低めに聞こえてきたのであった。
     @     @     @
 整備員のファミール・グランフォードは、水中翼
船に乗らず、ヴァンダーベッケンに残っていた。た
だ、それはファミールだけではなく、作業艇乗りを
含めた整備員の大半がこの船に残っていた。リーゼ・
ジグルト・ラングナールはグローリアスの帰還を信
じ、以前から空きっぱなしな水中部分の外壁の修復
を続けていたし、天ヶ瀬匠生も機構軍には従順なふ
りをして黙々と破損箇所を見つけては修理している。
ちなみに、甲斐武人は整備員でこそないがキョウカ・
ライシャワーと共にどこかへ潜伏してしまったし、
カナ・デキルは何か他ごとをしているようだった。
 そして、ファミールもリーゼや匠生と同様に整備
員としての仕事をしている。だが、その他にもちょ
っとした役割を受け持っていた。それは、水中翼船
にいるファミールのネイバーであるイナ・マスタと
の連絡である。基本的に時間を決めてあるので、“
交心”状態は互いに遮蔽していないため非常に良い。
(こちら、ファミール。そちらの様子はいかがです
か?)
『はい。こちら、イナ。平穏無事といったところで
しょうか。そちらは?』
(一応、平穏です。ただ、高速艇が1艇脱出したそ
うなので、もしかするとそちらへ向かったかもしれ
ません)
『わかりました』
(ところで、そちらの現在位置は?)
『……よく、わかりません。海の上です。そちらは
いかがです?』
(───こちらも、よくは。感覚的にはお互いの位
置がわかる気はしているんですけどねえ)
『ねえ』
 どうやら、肝心なところで役に立ってはいないよ
うである。
     @     @     @
 機構軍所属の女性科学者インフルエンザは、その
日ご機嫌であった。数名の兵士を引き連れ、居住区
上層部にある王立総合研究所の正面玄関から堂々と
中へ入って行く。
 そして、インフルエンザは研究所の放送室へ入る
と、所内全施設のウェブモニターに放送されるよう、
まず兵士たちに緊急放送時モードに設定させる。そ
れが終わると彼女は3Dカメラの前に立ち、こんな
ことを言い始めた。
「みなさーん。ヴァンダーベッケンは宇宙開発機構
軍の手により解放、解放されましたー。よって、こ
の研究所は機構軍の管轄下に入りまーす。
 所員は全員、非武装かつ、研究データを全てその
ままにして出て来なさあい。
 現行プロジェクトはみぃんな解散ッ! あなた方
は当船から追放けってーい。おーっほっほっほ」

 プロジェクト<アガスティア>実験室。
 ウェブモニターにはインフルエンザが映っている
が、ほとんどのメンバーは無視して自分の前にある
トランプひと組みをじっと見つめている。
 その中で、唯一モニターを視ていた小石川虎美は、
自分の頭に人差し指を向け感想を言ってみる。
「なんやあ、この女。きれいやのに、めっちゃイタ
そうやん。なあ貞瑠ちゃん、あんたどーもう?」
「イタそう、という部分で同感。極力関わりたくな
いね」
 と、閂貞瑠は即答する。
 ウェブモニターの中ではインフルエンザがこんな
ことも言っている。
『所員は今すぐ、ロビーに集合しなさあい。
 でないと、施設ごと爆破してしますわよー。
           おーほほほほほーっ!』
 やっぱりなんだか心配になる虎美。
「バレンちゃん、あないなことゆうてるけど、ええ
の、ほんまに?」
「無視。馬鹿に関わってる暇なんてないもの」
 と、バレンシア・フォレスターも即答した。
「しかしなあ、本当にあの女を無視してもいいもの
だろうか?」
 何だかさすがに心配になってくる大虎斑源八。
 ゲオルグ・オスマイヤーは言う。
「大丈夫だろう。なぜなら我々はSDSなどの研究
データは機構軍に対し既に公開しているし、何とい
っても───」
 ゲオルグは言葉を止めて背後を振り返る。そこに
は彼らを監視する機構軍の兵士がいる。
「───彼の表情を見てみろ。困惑しているじゃな
いか」
 結局アガスティアの面々は、ロビーへ向かおうと
もしなかった。
 篭城状態のザムザは当然として、WGとして活動
している<エンパシプール>や、ハーベイ・フォー
ンセットたちも自分たちの施設から出て行くことは
なかった。

 放送室。
 インフルエンザは、ちっともロビーに集まらない
所員たちに腹が立ち、もう1回何か言ってやろうか
しら、と思案していた。そこへ、ホビットを持った
兵士が駆け寄って来る。
「指揮官からです」
「えっ、何よもう」
 不粋ね、と思いつつインフルエンザはそのホビッ
トを受け取る。
『何をやっているんだ、インフルエンザ。研究所に
おいての研究続行はデータの公開という条件のもと
に許可しているんだぞ』
「ザムザは抵抗していますわよ」
『アレに対しても手は用意してある。近いうちに出
てきてもらえるだろう』
「うるさいですわ。わたくしは大統領閣下直属部隊
の兵士なのですのよッ! あなたこそ口出ししない
でいただけないものかしらッ!!」
 インフルエンザは、増田が多少は萎縮するのでは
ないかと考えていたが効果はなかった。
『あなたが直属であろうと関係はない。制圧の維持
を閣下直々に命じられたのは我々サドフォースだ。
余計な真似はやめていただこう。ただ、駐留部隊全
ての銃口をあなたに向けてもよろしいのならば、そ
のままお続けいただいても結構ですよ』
 多分、本気でこう言っていると気づいたインフル
エンザは仕方なく折れることにする。
「───わかったわよッ! じゃあ、せめてわたく
しがこの施設の長になることは許可していただけな
いものかしら?」
『肩書きだけでよろしければどうぞ。では』
 ホビットから増田の姿は消えた。
 ようやく増田から解放されたインフルエンザは、
連れてきた兵士たちを睨む。
「誰、増田に言いつけたのは?」
 兵士たちは萎縮するばかりで動きはない。その時、
放送室の出入口から銀髪の男、センリ・アーネルト
が入ってきた。
「俺ですよ。こんな設備の揃っている場所で勝手は
してほしくなかったものですから。ロス・アラモス
と比べると夢のようですからね。あなたも機構軍側
の科学者なら分かるでしょう、この気持ちが」

 ハーベイ・フォーンセットと彼の仲間たちは、エ
ングラムインターフェイスの中に見た少年の正体を
突き止めようとしていた。総合研究所にいる以上、
当然彼らにも機構軍の監視はついているのだが、取
り立てて隠すようなものもないため、普段どおりに
やっているようだ。
 だかしかし、ここに問題が発生した。エングラム・
インターフェイスの状態が非常に不安定なのである。
「ハーベイはん、どーします? インターフェイス
の具合よくないみたいですよ」
 月代沙綾華にそう指摘されて、ハーベイも思い悩
む。
「むう、出来ればさより菜と沙綾華が見たという少
年を保護してみたいものだが。あと、胎児の確認も
しておきたい」
 羊・さより菜・リンネルシュタインが養父に短冊
を差し出す。
『とりあえず ためしてみたら お義父さん
       ちゃんとしっかり 見てるから』
 その短冊をルーファ・ブルーも見る。
「私はなんとか大丈夫だと思いますよ。わずかな間
でも安定してくれさえすれば十分に調査する時間は
あるのですから」
 沙綾華は手をポン、と叩いた。
「あーそうか、あっちは時間の流れが変なんやった
わ。体感時間で考えてもうた」
 こうして実験は始められることとなった。
 実験の方法は至って簡単だ。エングラム技能<名
称不明>を持ち、精神にインターフェイス内を覗き
込ませるのだ。早速、ハーベイと沙綾華は、さより
菜たちにモニターを頼み実験を開始する。
 今回はハーベイと沙綾華がネイバーという関係で
あるため、名称不明も高レベルで使用可能している
状態にある。その効果で、前回は同じ場所から動け
ない状態であったのだが、今回は多少移動が可能だ
った。名称不明の能力は、彼らが必要としない情報
を極力遮断してくれているおかげである。
 沙綾華は胎児が見えた場所へ実際に向かい探して
みるのだが、何も見えず何も見つからなかった。し
かし、少年の方は見つけることが出来た。ただし、
とても少年のところまでは近づけそうもない。ハー
ベイと沙綾華は声を出してみるのだが、少年は決し
て彼らを相手にしようとはしなかった。
 やがて視界がゆっくりと歪みだすように見えたた
め、インターフェイスに何らかの不都合が発生した
と判断したハーベイたちは、自主的にこの世界から
出ることにした。
 ハーベイたちが意識を取り戻したその時、セブン・
デイズ・システムの主任が実験室を訪れていた。主
任はホロモニターに映る少年の姿を見て意見を述べ
る。
「ハーベイ、やはり彼はランバージャックだよ。ウ
ェブに流れているその姿と一致している。おそらく
は、胎児のデータを解析したことで今の姿を得たの
だと思う」
     @     @     @
 その頃、ヴァンダーベッケンにいるサドフォース
指揮官の増田直樹は、プレステル公国へ派遣してい
たアルバ・フォルクから報告を受けていた。
『───ということで、ヴァンダーベッケン建造以
後のグローリアス周辺の金の流れはクリアーなもの
で、指揮官が危惧されているようなことはないと思
われますね。そういう噂も聞きませんし』
「なるほど、ノイエ・ヴァンダーベッケンなんてい
う存在は単なる噂話に過ぎなかったということだっ
たか」
『考え過ぎでしたね。ところで、これは調査中に聞
いたはなしなのですが、佐渡島氏がここプレステル
に現れたそうです。何でも、国連から離脱させるた
めに国王派にアプローチを掛けていたそうです』
 短い沈黙の後、増田は口を開く。
「……まさかとは思うが、佐渡島氏はプレステルの
指導者にでもなろうとしていたのか?」
 フォルクも短い沈黙をおいてから口を開く。
『ええ、まあ……』
「さすがにそれは無理だっただろう?」
『はい。武力で訴えるにしても、佐渡島氏には何人
かの忠実な部下の方々がついているとはいえ、機構
軍の兵力があっての我々でしたからね』
「まったく、無茶をしてくれる。しかも今の我々で
は手も貸せないというのに」
     @     @     @
 プロジェクト<アガスティア>の研究室では、以
前バレンシア・フォレスターが提示したテーマ、裏
になっているカードの絵柄を当てる方法の正解発表
が行なわれていた。
 テーブルの上には言い当てるべき1枚のカードと、
残りのカードが分けて置かれている。
 バレンシアは対象のカードを指差し、メンバーた
ちに向かって宣言する。
「はい、それハートの9」
 実際、それはハートの9だった。
 これはあくまで<タイムトレースムービー>を作
り上げるため必要な理論付けの一環として行なわれ
ているので、実際に当てなくともいいのだが、バレ
ンシアは実際に当ててみせてくれた。
 だが、メンバーたちの反応は薄い。そして、バレ
ンシアもその反応は当然のものとしている。
 なぜならバレンシアはアナ・ビジョンを使用して
言い当てたからだ。
 ゲオルク・オスマイヤーは言う。
「バレンシア、あなたはこの問題を提示した時、ア
ナ・ビジョンを使って見るというのはナシだと言わ
なかったかね?」
「言ったわ。でも、それはアナ・ビジョンで直接対
象のカードを見ることで、いま私がやったのは、ア
ナ・ビジョンで対象以外のカードを見ることで言い
当てたのよ。つまり、カードの山すべてを見てしま
えば、まだ見ていないカードが正解だと知ることが
出来るのよね」
 バレンシアはハートの9のカードを手にして、さ
らに言葉を続ける。
「このカードを知りたい結果と仮定するならば、結
果を知るには周辺の情報(残りのカード)を知る必
要があるのよ。ただ、この場合は現存している1枚
のカードだから、必要とする情報は51種類でいい
のよ。
 でも、私たちがやろうとしているのは未来を予測
することだから、情報というものが多ければ多いほ
ど、正しい未来の結果へ近づけることになるのよね。
そして、それらの情報をどこに蓄積するのかという
と───」
 閂貞瑠は言う。
「エングラムですね」
「そう。エングラムの向こう側にある世界に情報を
蓄積し、導きだされた結果を正しく選択するの。こ
れこそがタイムトレースムービーの基礎となる発想
なのよ。これで後はもう、技能を正しく組み上げる
ことが出来れば、とりあえず新しい技能を生み出せ
ると思うのよ」
     @     @     @
 ミハイル・ルクは、ヴァンダーベッケン内にいく
つかある汚水処理場のひとつにいた。システム凍結
によって、食物プラントや生活用水を作り出す汚水
浄水システムが停止してしまったのではないかとい
う危惧を抱いていたため点検に訪れていたのである。
 幸い、それらの施設やシステムはいずれも正常に
作動しており、船内生活に関しては何ら支障はでて
いないはずである。
 なお、ヴァンダーベッケンにおける生活用水は2
種類のやり方で作られている。海水を汲み上げて真
水に分解する方法と、排水や汚水を汚水処理場に通
して生活用水に戻す方法である。いずれの水も船内
に無数ある浄水装置を何度も通過するため、仮に有
害な何かを生活用水に混入したとしてもどこかの浄
化装置で必ず引っ掛かり、有害なものは除外される
ことになるのである。
 浄水システムを見て回っているミハイルだったが、
少し気になることがあった。それはシステムとは直
接関係ないことなのだが、妙に人影を何度も見てい
るのだ。普段ならこんな施設で人を見ること自体め
ずらしいというのに。

 その人影の正体の一部分であると言えるメイド服
姿の女性、滅日流石は、機構軍制圧前のヴァンダー
ベッケン乗船審査直前に、エングラム兵器プリズナ
ーを持ち込んで暴れたことが原因でフェデレーショ
ンメンバーに捕まっていた。だが、機構軍がヴァン
ダーベッケンを制圧してくれたおかげで、彼女は無
事に釈放されていたのである。
 その滅日流石、フェデレーションメンバーに捕ま
ったことにひどく腹を立てていたようで、是が非で
も仕返ししてやろうと、生活用水に汚水を入れたの
である。しかし、それらの汚れてしまった水は、何
度も何度も浄水システムに引っ掛かり、浄化されつ
つ、最も近い汚水処理場まで流されると、最終的に
は汚物や汚水を分解する各種微生物らによって、と
ことん浄化されてしまったのである。

 滅日流石はフェデレーションメンバーに敵対する
意味で汚水を生活用水に流したのだったが、エステ
ーバン・ギィエルモ率いるWG<RON>の第2班
は、RONの他の班と同様に、フェデレーションメ
ンバーでありながら機構軍の増援部隊に混じってヴ
ァンダーベッケンに乗船し、機構軍兵士の無力化が
目的で生活用水に睡眠薬を混入しようとしていた。
 もちろん、一般市民への配慮として、こちらの事
情を説明して飲料水や食料を配布するつもりだった。
さらに言うと、この配布する飲料水の中で、機構軍
に配るものについては睡眠薬を混ぜておくという手
のこんだものだったのである。
 だが、ヴァンダーベッケンの浄水能力の強力さが、
ヴァンダーベッケンを解放しようとする彼らの計画
をまず阻んでいたのである。
 ミハイルのいる汚水処理場とは全く別の場所で、
キャンディ・マウントバッテンは、歳相応の少女ら
しからぬ口調でぼやきいた。
「まったく、余計なものを作ってくれているわねえ。
計画が頭っから台無しじゃあないのさあ」
 未樹圭一と天野魅姫が口々に言う。
「どの道、成功は難しかった」
「一般市民の中に機構軍側の奴がいるようやったし、
いっくら秘密裏に事を進めたって、絶対にバレてた
て。あー、3班へ行っとくべきやった」
 拳を振り回す魅姫に、エステーバンは諭すような
口調で言う。
「そもそも、第1班がやろうとしていること、サド
フォース指揮官説得の様子をウェブに乗せるという
のに効果があるのかどうか難しいのです。前任者の
佐渡島であれは、おもしろい結果になったと思いま
すが、増田は一般市民や研究者たちに対してかなり
寛大なところを見せています。仮にここで我々が解
放だといって戦闘を繰り広げるにしてもですよ、悪
いイメージがついてしまうのは、間違いなく我々の
側になるのですよ」
「そやったら、オレらはどないしたらええっちゅー
んやねん」
「我々のイメージを考えて戦いをいどむにのならば、
混乱状態でなければならないでしょうね」
     @     @     @
 プロジェクト<ザムザ>は、ある選択を迫られて
いた。それは機構軍に対して立てこもるのを止め、
研究データを公開することである。ザムザにとって
何のメリットもなければ、このまま立てこもってい
ればいいのであるのだが、機構軍はザムザに対しと
ても魅力的な条件を掲げてきたのである。それは、
ひと月前、ザムザが入手に失敗したナノマシンを与
えてくれるというのである。
 ただ、そのナノマシンは元々、銀白猫がザムザの
ために木星から地球圏まで運んできたものであった。
したがって、正統な所有者はザムザにあり、こんな
取引に持ち出すこと自体が変なのである。
 今岡形はメンバーに問う。
「今、篭城やめると、ナノマシン付きなんだけどど
うしようか?」
 代謝機能系担当のニイヤ・ドッペルゲンガーとミ
スト・ルシオーネは言う。
「うーん、いまさら欲しくもないのですが、僕らは
成果を出してませんから口出し出来ませんね。腹立
たしいですけど」
「……好きにしていいですよ。白猫さんが木星から
運んできたには違いないですから」
 一方、細胞分裂系担当のレモン・ライムは物欲し
そうな顔をしている。
「補助で使いたいな〜」
 形は結論を出す。
「じゃあ、バイオハザードモードは解除しちゃいま
しょうね」
 志木琴菜と張麗はぼやく。
「折角、トラップ色々あったのになあ」
「そうですよねえ。ネバネバしているものとかあり
ましたのに」
 話がまとまったところで、プロジェクト管理をす
る因幡弥生はこんな提案をする。
「ところで、代謝機能系も細胞分裂系もあまり成果
が出ていないんですよね。一旦、データを融合して
みては? ナノマシンもいいですけれど、互いに持
たないデータを組み込むことで、成果が出やすくな
ると思いますよ」
 こう決めてバイオハザードモードを解除した直後
は、機構軍へのデータ公開などて研究はあまり進ま
なかった。しかし、銀白猫が持ってきたというナノ
マシンと、RONのエステーバンが実は直接運んで
きてくれていたナノマシン、更にはクシュナ・ザ・
デトネイターという被験者を得てからは早かった。
 残念ながら、ミストが目指していた代謝機能の制
御はクローン兵士のデータ等を活用しても、思うよ
うな成果は挙がらなかった。しかし、ライムの行な
っていた細胞分裂系の研究データに代謝機能系のデ
ータを加えたことで新技能が完成したのだ。
 それは第3者の肉体にエングラムで干渉すること
により、代謝機能速度の上昇と細胞増殖を促進させ、
肉体破損箇所の修復を行なうというものだ。つまり、
エングラムで自分以外の怪我人を治してやれる技能
なのである。
 何にせよ、細胞分裂系のデータと代謝機能系のデ
ータを組み合さねば完成しなかっただろう。
     @     @     @
 サドフォース指揮官の増田は、システム凍結解除
コードの探索をパンデモニアムだけに任さず、自ら
の部下にも探索を続けさせていた。すでに随分時間
をそれに費やしていたのだが、この日ついに部下が
解除コードを見つけだし、増田は即ラウルに報告を
入れた。これまでのようにホビットでなく、復活し
たばかりのヴァンダーベッケンのブリッジにある通
信機を使って。
 増田の報告を聞いたラウルはやや怪訝な顔をした
が、増田を誉め、そして即こんな指示を出す。
『ヴァンダーベッケンはプレステルへ進めておけ、
その間に、世界中の往還機がそこへ集まることにな
るだろう。貴様は引き続き現行任務を維持していろ。
出来るな?』
「はい。あの、解除コード発見の件、パンデモニア
ムには私から伝えましょうか?」
『いや、それも俺から伝えておこう』
 それだけ言うとラウルは自分からウェブを切って
しまった。
 増田は次に何をすべきか考え、そして再び通信機
のスイッチを入れる。
 コード解除に成功した増田は、いまこの瞬間にも
解除コードをグローリアスから聞き出すべく苦心し
ているに違いないパンデモニアムの参謀、奥津城鋭
次にぜひ報告してやりたかっのだ。
『なんだ、増田指揮官殿。こちらは手の放せない状
況にあるんだ。緊急でなければ後にしていただきた
いんだが』
 モニターに映る奥津城の姿は、体裁を取り繕って
はいるが、間違いなく困惑しているようだった。
「こちらは後で構わないんですがね、そちらのこと
を思うとお伝えした方がいいと思いましてね」
『もったいぶるのは止めてくれ。そんなやり口はグ
ローリアスだけでもう十分なんだ』
 相手の様子を見て満足した増田は、咳払いをひと
つして本来の用件を鋭次に告る。
「では伝えよう。ヴァンダーベッケンのシステム凍
結は、我々サドフォースが解除した。もう解除コー
ドを入手する必要はない。既に大統領閣下へは報告
済みだから心配はいらない。この後、閣下直々で通
信が入るはずだ」
 それだけ言うと、増田は通信を切ってやった。
 増田にとって、それは実に痛快な瞬間だった。
     @     @     @
 王立総合研究所。
 新技能のための理論付け成功に至ったプロジェク
ト<アガスティア>のメンバーは、アナ・ビジョン
をベースに各種エングラム技能を組合せ、ついに新
たな技能らしきものを作り上げてしまう。やはり、
散々理論付けに苦労した分、素材のことはよく研究
しており、組合せの手際は非常に良かった。
 ただ、完成したデータを即機構軍に公開してしま
ったのは多少悔しいものがあったが。
 バレンシアはリーダーとして、さっそくこの技能
を使ってみる。彼女の場合、額にあるエングラムに
意識を集中させ、周囲の空間情報をエングラムの向
こう側にある世界へ送り込んで蓄積する。
「うーん、使っている実感はあまりないのよねえ。
まあ、この研究室にそんな危機なんて転がっている
わけないか。施設全体でも怪しいもんだわね」
 貞瑠はこんな提案をしてみる。
「俺と虎美はネイバー同士だし、活性率も上がれば
いろいろ違ってくるかもしれない」
「そりゃええね。ためそ、ためそ」
「だったら我々も御一緒に」
「うむ」
 貞瑠と虎美どころか、ゲオルグと源八までもそれ
ぞれのエングラムに空間情報を送り込む。
「やっぱ、なんも起きへんもんや───」
 突然、虎美の動きが止まる。
 そして、彼女とネイバーである貞瑠が言う。
「何か嫌な予感がひしひしとッ!」
「なんかもう、めっちゃ、こっから逃げたい!」
 2人はバレンシアに意見を求める。
「実は私も。理由は判らないんだけど……」
 ゲオルグも源八も同感のようだ。
 顔を見合わせた5人は、機構軍の監視兵を無視し
て、研究室から脱兎の如く飛び出した。それぞれ途
中、目に付く非常警報のボタンを押しまくり、警報
が鳴り響く中、上層部にある玄関から脱出した。
 すると、バレンシアの中で鳴り響く心の警報機が
突然停止した。他の4人も同様のようで、表情が若
干和らいでいる。
 そして、バレンシアたちが鳴らした警報のおかげ
で何事かと思った他の所員や研究者がぞろぞろと出
てきて、何もないと気づくとバレンシアたちを人騒
がせだと非難する。
 そして、バレンシアたちが平謝りしていたその時、
誰かが叫んだ。
「おい、研究所が薄くなっているぞッ!」
 本当に研究所の建物の存在だけが薄くなっている。
まだ中に残っていた所員もそれに気づいたらしく、
慌てて外や、研究所の区画外へ逃げ出し始めている。
 そして、建物が薄くなりだして数分後、王立総合
研究所は完全に消失してしまった。上層部はもちろ
ん、下層部も全て。ヴァンダーベッケンのほんの一
点だけではあるが、抉られたようになくなっている。
ただ、不思議なことに、消えたのは建物と中にあっ
た設備だけで、逃げ遅れた人間や生物は何一つ消え
なかったようだ。
 ───事件から数分後。誰ともなく調査を始める
べきだと、主張し始めた瞬間、また新たな事件が発
生した。
 研究所のあった場所の穴から突然1本の巨大な樹
木が成長しながら出現したのである。その巨大な樹
木はいつか出現した植物の幻影同等のものらしく、
その影響なのかどうかは不明だが、ヴァンダーベッ
ケンの各所にまた、植物の幻影が再出現したのであ
る。しかも、以前よりも広範囲で大量に。
 植物の出現が収まった時には、ヴァンダーベッケ
ンの上層部には複数の小さな森が出来上がっていた
のだった。
     @     @     @
 バレンシアが新技能を作り上げて訳のわからぬ間
に、研究所が消えて、幻影の森が出現したことに呆
れていたところへ、懐にしまっていた彼女のホビッ
トに通信が入った。
 こんな時になんだかなあ、と思いつつスイッチを
入れるバレンシア。
『フォレスターさん、研究所はどうなってしまった
んです? 跡形もないどころか、代わりに木が生え
てますけど』
 ホビットには江陽隆旭が映っていた。隆旭は茫然
としているようだが、無理もないとは思うバレンシ
アだったが、こっちは消滅した総合研究所から緊急
脱出した当事者なのだ。
「そんなのこっちだってわかんないわよッ! せっ
かく技能開発成功したと思ったら研究所ごと消滅し
ちゃったのッ! その上、また幻影が出てきて大騒
ぎなんだから。あっ、この木、例によって幻影だか
らね。それから、戻ってきているのならこの混乱に
乗じて乗船しちゃいなさいよ。今なら大丈夫よ、き
っと」
 ホビットを切った後、バレンシアは呟く。
「私が最初に技能を試した時は何ともなかったんだ
けど、……まさか、ねえ?」

 この様子をブリッジから眺めていた増田であった
が、もちろん彼も困惑していた。
 現状を報告しようとする部下たちからの無線の着
信音がブリッジ中に鳴り響いている。どうせ言うこ
とは同じ事ばかりなので、通信士に取らせて増田自
身は一切、出ようとはしなかった。
「どうして、こんなことになるんだ。……まさに、
これからだったというのに……」
 この現実から逃避しようと、眼下の風景から目を
そらした増田の視界には、やはりブリッジにも出現
していた植物の幻影が入ってしまった。

 その頃、それぞれの仕事の最中、幻影の再出現に
遭遇していた整備員たちは、あることを期待して、
空港で整備の仕事をしていたカナ・デキルの元へ集
まって来ていた。
 往還機が並ぶ空港の整備区画は、幻影の草原と化
していた。数百メートル離れた滑走路では次々に往
還機が運び込まれているようだが、整備員たちは完
全に無視してカナの様子を見守っていた。
 不安気な表情でカナは呟く。
「本当に来るかなあ?」
「きっと来るわよ」
 とキョウカ・ライシャワー。
 ファミール・グランフォードが突然、ちょっとし
た自分だけのいいことを打ち明けるかのように、こ
んなことを言い出す。
「そうそう、もう陛下が近くまで戻られているんで
すって。ネイバーのイナさんが教えてくれたわ」
「じゃあ、工兵部の真似ごとはもう、辞めてもいい
わけかしら?」
 今まで機構軍の工兵隊に紛れ込んで仕事をしてい
た甲斐武人はそう呟いて、機構軍の制帽を投げ捨て
た。
「おい、あれを見てみろよ」
 天ヶ瀬匠生が指を差す。
 幻影の巨木から1羽の鳩が自分たちの方へ向かっ
て飛んできている。
「何かくわえているみたいね?」
 リーゼ・ジグルト・ラングナールは金髪をかきあ
げると、目をこらし、そして自分自身で結論を導き
だす。
「木の枝のようよ」
 そう言っている間にも鳩は、どんどん整備員たち
の立っている幻影の草原に迫っている。
 そして感極まったカナは、両腕を天に向かって広
げると嬉しそうに大声を出す。
「マーサ、お帰りッ!」
 整備員たちが期待していたこと、それは幻影のリ
ョコウバト“マーサ”とカナとの再会だったのであ
る。
 マーサは木の枝を加えたままカナの回りを数回ま
わると、以前していたようにカナの頭の上へと止ま
った。
 整備員たちの視線は、すべてマーサに向けられて
いたと思われていたが、実はそうではなかった。
 カナたちから少し離れた場所で清水沢音が嬉しそ
うな声を上げていた。
「ほらあ、みんな見て見てー」
 清水沢音の嬉しそうな声がする。
 カナたちは沢音の声がした方を見ると、そこには
1匹のシーラカンスが沢音の周囲をクルクルと回り
なついているのだった。
     @     @     @
 ハイソール・西条はまだ宇宙港にいた。
 今は宇宙港の硬質素材の窓の内側から眼下に広が
る地球を眺めているのだが、ホビットを使ったアプ
ローチを続けていたのである。
 そして今、西条はとんでもないものを目撃する。
何もなかったはずの地球軌道上に、地上にあったで
あろう建造物が出現したのである。
「なんですか、あれは?」
 懐から旧式のオペラグラスを取り出して観察して
みる西条。その建造物の上半分は普通のよくあるビ
ルであるようだが、半分から下は壁の部分を取り外
したようになっていて、家具や何かの機材がこぼれ、
真空中を漂っていた。おそらくは地上に建っていて、
何らかの原因で転移してきたのではないか、という
仮説しか立てようがない西条だった。

 なお、半時間もしないうちにこんなニュースがウ
ェブ上に流れた。
『地球軌道上に謎の建築廃材が出現!
            悪質な不法投棄か!?』
 そして、こんなニュースの見出しも、
『宇宙開発機構軍の太陽超新星化対策発覚!
  関係者が語る想像を絶するその内容とは!?』


            (TO BE CONTINUED!!)
───────────────────────
《お知らせ》
○現在、地球軌道は機構軍によって完全に封鎖され
ています。従って、しかるべき手段を持たないPC
が移動できる選択肢は地球上のものに限定されます。
特にヴァンダーベッケンは、サドフォースの許可が
無い限り自由に出入りできません。
○太陽超新星化まであと……30日。
○前回発行したエングラム技能『スピナー』のエン
グラムパターンが一部誤っておりました。本来なら
ば修正して発行し直すべきところですけれども、エ
ングラムカードの性質上難しいため、カードにある
エングラムパターンを正しいものとして扱います。
 混乱を招いたことをお詫びいたします。
             【GM 星空めてお】

■重要遭遇者一覧
《08120》地球:ヴァンダーベッケン
○新エングラム技能『フォーサイト』完成/バレン
シア・フォレスター(00938-02)/RA.08120
○新エングラム技能『スレッド』完成/レモン・ラ
イム(00949-02)/RA.08120
○サドフォース指揮官/増田直樹(03046-02)/RA.0
8120

■関連リアクションおよび住所リスト
《08121》地球:グローリアス・水中翼船
○彼女の理念はどうなっている?/ジォビネッタ・
デ・ヴィオネット(00777-01)/RA.08121
○シルマリル攻略戦へ/ジュダス・ベトライアー(0
0377-01)/RA.08121
《08130》L4:ロス・アラモス
○兵器開発室長/ドルミーシュ・ハイダル(00815-0
1)/RA.08130
○反物質戦艦ブリシンガメン開発責任者/時雨月辛
(00959-04)/RA,08130
○シルマリル攻略をラウルに上申/オレグ・ミハイ
ロフ(00665-01)/RA.08130

《08150》プレステル・ヨハン:G.V.I王子
○哀れな人質/サヤ・スターリット(00225-01)/RA.
08151
○CAT'S YAWNリーダー/キャプテン キャット(0098
3-01)/RA.08151
○アタランテ改級『グングニル』艦長/チャーリィ
 フォックストロット(01757-01)/RA.08151


■新エングラム技能カード
 プロジェクト『アガスティア』が開発に成功した、
新エングラム技能です。同名の技能として五種類存
在し、効果もすべて同じです。異なるのは転写コス
トと、開発者のエングラムパターンです。転写希望
の際は、コストとパターンの組み合わせから都合の
よいものを選び、コピーしてご利用ください。
 これらのエングラム技能が転写されるたびに、カ
ードに書かれた開発者の活性率が上昇します(スタ
ーティングマニュアル56ページ)。

「フォーサイト」[120][AHI]
 数秒〜数分内の未来に起きる、危機的状況を察知
する。エングラムを通じて情報世界上へ周辺情報を
蓄積し、直感的な情報選択を行うことによって予測
を可能とする。予測範囲は使用時の活性率により大
きく変動し、起こり得る危機の具体的状況や、その
正確な時刻についても知り得る場合がある。プロジ
ェクト『アガスティア』のバレンシア・フォレスタ
ー(00938-02)らによって開発される。−−−バレ
ンシア・フォレスター[00938-02-0018]

「フォーサイト」[150][CHI]
 数秒〜数分内の未来に起きる、危機的状況を察知
する。エングラムを通じて情報世界上へ周辺情報を
蓄積し、直感的な情報選択を行うことによって予測
を可能とする。予測範囲は使用時の活性率により大
きく変動し、起こり得る危機の具体的状況や、その
正確な時刻についても知り得る場合がある。プロジ
ェクト『アガスティア』のバレンシア・フォレスタ
ー(00938-02)らによって開発される。−−−−−
−−−−−−−閂貞瑠[00847-03-0019]

「フォーサイト」[150][AFI]
 数秒〜数分内の未来に起きる、危機的状況を察知
する。エングラムを通じて情報世界上へ周辺情報を
蓄積し、直感的な情報選択を行うことによって予測
を可能とする。予測範囲は使用時の活性率により大
きく変動し、起こり得る危機の具体的状況や、その
正確な時刻についても知り得る場合がある。プロジ
ェクト『アガスティア』のバレンシア・フォレスタ
ー(00938-02)らによって開発される。−−−−−
−−−−−小石川虎美[00365-01-0020]

「フォーサイト」[150][AFL]
 数秒〜数分内の未来に起きる、危機的状況を察知
する。エングラムを通じて情報世界上へ周辺情報を
蓄積し、直感的な情報選択を行うことによって予測
を可能とする。予測範囲は使用時の活性率により大
きく変動し、起こり得る危機の具体的状況や、その
正確な時刻についても知り得る場合がある。プロジ
ェクト『アガスティア』のバレンシア・フォレスタ
ー(00938-02)らによって開発される。−−−−ゲ
オルグ・オスマイヤー[01587-01-0021]

「フォーサイト」[150][CHL]
 数秒〜数分内の未来に起きる、危機的状況を察知
する。エングラムを通じて情報世界上へ周辺情報を
蓄積し、直感的な情報選択を行うことによって予測
を可能とする。予測範囲は使用時の活性率により大
きく変動し、起こり得る危機の具体的状況や、その
正確な時刻についても知り得る場合がある。プロジ
ェクト『アガスティア』のバレンシア・フォレスタ
ー(00938-02)らによって開発される。−−−−−
−−−−−大虎斑源八[01274-01-0022]


■新エングラム技能カード
 プロジェクト『ザムザ』が開発に成功した、新エ
ングラム技能です。同名の技能として八種類存在し、
効果もすべて同じです。異なるのは転写コストと、
開発者のエングラムパターンです。転写希望の際は、
コストとパターンの組み合わせから都合のよいもの
を選び、コピーしてご利用ください。
 これらのエングラム技能が転写されるたびに、カ
ードに書かれた開発者の活性率が上昇します(スタ
ーティングマニュアル56ページ)。

「スレッド」[100][CFK]
 使用者以外の人体へ働きかけ、負傷部分の完全な
再生を行う。代謝機能と体細胞に直接干渉し、当人
の遺伝情報と比較したうえで欠損部分を補うよう指
令を発する。負傷部は急速に自己治癒を開始するた
め、技能行使は最初のみで構わない。治癒中および
治癒後の同期間は、代謝活動が鈍化し、休眠欲求が
著しく高まる。プロジェクト『ザムザ』の中でレモ
ン・ライム(00949-02)によって開発される。
Lv.1[〜180] 他者の軽傷の治癒。期間は数時間。
Lv.2[〜260] 他者の重傷の治癒。期間は数日間。
Lv.3[261〜] ?
−−−−−−−−レモン・ライム[00949-02-0023]

「スレッド」[120][AGJ]
 使用者以外の人体へ働きかけ、負傷部分の完全な
再生を行う。代謝機能と体細胞に直接干渉し、当人
の遺伝情報と比較したうえで欠損部分を補うよう指
令を発する。負傷部は急速に自己治癒を開始するた
め、技能行使は最初のみで構わない。治癒中および
治癒後の同期間は、代謝活動が鈍化し、休眠欲求が
著しく高まる。プロジェクト『ザムザ』の中でレモ
ン・ライム(00949-02)によって開発される。
Lv.1[〜180] 他者の軽傷の治癒。期間は数時間。
Lv.2[〜260] 他者の重傷の治癒。期間は数日間。
Lv.3[261〜] ?
−−−−−−−−−−−−今岡形[00642-01-0024]

「スレッド」[120][CGL]
 使用者以外の人体へ働きかけ、負傷部分の完全な
再生を行う。代謝機能と体細胞に直接干渉し、当人
の遺伝情報と比較したうえで欠損部分を補うよう指
令を発する。負傷部は急速に自己治癒を開始するた
め、技能行使は最初のみで構わない。治癒中および
治癒後の同期間は、代謝活動が鈍化し、休眠欲求が
著しく高まる。プロジェクト『ザムザ』の中でレモ
ン・ライム(00949-02)によって開発される。
Lv.1[〜180] 他者の軽傷の治癒。期間は数時間。
Lv.2[〜260] 他者の重傷の治癒。期間は数日間。
Lv.3[261〜] ?
−−−−−−ミスト・ルシオーネ[01267-01-0025]

「スレッド」[120][AGI]
 使用者以外の人体へ働きかけ、負傷部分の完全な
再生を行う。代謝機能と体細胞に直接干渉し、当人
の遺伝情報と比較したうえで欠損部分を補うよう指
令を発する。負傷部は急速に自己治癒を開始するた
め、技能行使は最初のみで構わない。治癒中および
治癒後の同期間は、代謝活動が鈍化し、休眠欲求が
著しく高まる。プロジェクト『ザムザ』の中でレモ
ン・ライム(00949-02)によって開発される。
Lv.1[〜180] 他者の軽傷の治癒。期間は数時間。
Lv.2[〜260] 他者の重傷の治癒。期間は数日間。
Lv.3[261〜] ?
−−−ニイヤ・ドッペルゲンガー[01521-01-0026]

「スレッド」[120][CEL]
 使用者以外の人体へ働きかけ、負傷部分の完全な
再生を行う。代謝機能と体細胞に直接干渉し、当人
の遺伝情報と比較したうえで欠損部分を補うよう指
令を発する。負傷部は急速に自己治癒を開始するた
め、技能行使は最初のみで構わない。治癒中および
治癒後の同期間は、代謝活動が鈍化し、休眠欲求が
著しく高まる。プロジェクト『ザムザ』の中でレモ
ン・ライム(00949-02)によって開発される。
Lv.1[〜180] 他者の軽傷の治癒。期間は数時間。
Lv.2[〜260] 他者の重傷の治癒。期間は数日間。
Lv.3[261〜] ?
−−−−−−−−−−−−張・麗[01053-01-0027]

「スレッド」[120][BEK]
 使用者以外の人体へ働きかけ、負傷部分の完全な
再生を行う。代謝機能と体細胞に直接干渉し、当人
の遺伝情報と比較したうえで欠損部分を補うよう指
令を発する。負傷部は急速に自己治癒を開始するた
め、技能行使は最初のみで構わない。治癒中および
治癒後の同期間は、代謝活動が鈍化し、休眠欲求が
著しく高まる。プロジェクト『ザムザ』の中でレモ
ン・ライム(00949-02)によって開発される。
Lv.1[〜180] 他者の軽傷の治癒。期間は数時間。
Lv.2[〜260] 他者の重傷の治癒。期間は数日間。
Lv.3[261〜] ?
−−−−−−−−−−−因幡弥生[00266-03-0028]

「スレッド」[120][DFI]
 使用者以外の人体へ働きかけ、負傷部分の完全な
再生を行う。代謝機能と体細胞に直接干渉し、当人
の遺伝情報と比較したうえで欠損部分を補うよう指
令を発する。負傷部は急速に自己治癒を開始するた
め、技能行使は最初のみで構わない。治癒中および
治癒後の同期間は、代謝活動が鈍化し、休眠欲求が
著しく高まる。プロジェクト『ザムザ』の中でレモ
ン・ライム(00949-02)によって開発される。
Lv.1[〜180] 他者の軽傷の治癒。期間は数時間。
Lv.2[〜260] 他者の重傷の治癒。期間は数日間。
Lv.3[261〜] ?
−−−−−−−−−−−志木琴菜[00324-01-0029]

「スレッド」[120][BHL]
 使用者以外の人体へ働きかけ、負傷部分の完全な
再生を行う。代謝機能と体細胞に直接干渉し、当人
の遺伝情報と比較したうえで欠損部分を補うよう指
令を発する。負傷部は急速に自己治癒を開始するた
め、技能行使は最初のみで構わない。治癒中および
治癒後の同期間は、代謝活動が鈍化し、休眠欲求が
著しく高まる。プロジェクト『ザムザ』の中でレモ
ン・ライム(00949-02)によって開発される。
Lv.1[〜180] 他者の軽傷の治癒。期間は数時間。
Lv.2[〜260] 他者の重傷の治癒。期間は数日間。
Lv.3[261〜] ?
−−クシュナ・ザ・デトネイター[00422-01-0030]


リアクションリストに戻る

ジオシティーズの入り口へ このコミュニティの入り口へ ご近所を訪問する