しんしんと今も雪が降っている、いつ頃から降っているのだろう。
「今日はいい天気じゃのう。」
そう老人はつぶやく・・・。
そうだろうか?作者にはどう見ても雪が降っているようにしか見えないのだが。
「うるさいわい、このぐらいの雪ならば外に出て鍛練ができるではないか。吹雪いていないだけましじゃわい。はっ、わしは今誰に向かって叫んでいたのじゃ?」
「まあそんなことはどうでもいいわい。そうそうわしの名前はルテティアじゃ。ペンギンと格闘をこよなく愛するものじゃ。自称”連続技の達人”じゃ。夜は寝るのが早いのでくれぐれも電話などせんようにな。」
と、またまた誰に向かっていっているのかわからないことを言っている。もうボケているのだろうか?
「なにおう。」
うーむこの老人は私の考えていることがわかるのか。さすが”達人”というだけのことはある。
「お爺様、いったいさっきから何を叫んでいらっしゃるのですか?」
そう言って部屋に入ってきた人物は16歳くらいの少女である。お爺様ということはこの少女は孫ということか。明るく活発そうな雰囲気を持っている。肩あたりでそろえた緑色の髪(別に染めているわけではない、この世界ではいろいろな髪の色の人種がいるのだ。)、つぶらな大きな青い瞳、まずまずの美人である。惜しむらくは白衣をきているということだろうか。
「わしの時よりも説明が長いのう。ぶつぶつ。」
「ですからお爺様いったい誰に向かって話しているのですか?」
「おお、レインか。なにやらわしに向かって不快な思考を送ってくるやつがいるのでちょっと抗議していただけじゃ。」
「それではお爺様。私の考えていることもわかるのですか?」
「いや。誰の思考も読めるというわけではないぞ。」
レインは自分の思考が読まれていないことを知って内心ほっとした。ついでにこの祖父が老人にありがちなボケが始まったのでないこともわかってほっとした。
「おまえ、何を考えておる。」
「いえー、べっつにー。」
「何か目がわしを馬鹿にしていたようじゃが。」
「気のせいですよ。」
うーん、思考を読まないまでもすさまじい洞察力だわ。
「そういえば、昨日家が揺れたがあれはおまえさんの仕業か?」
ぎくっ、おそらくちょっとニトロの分量を間違えて爆発させてしまったことをいっているのだろう。まずい、ばれると夕食抜きかも。何とかごまかさなくては。
「いいえ、お爺様、ただの地震でしょう。私はその時寝ていましたよ。」
「そうか、でもおまえさんの部屋のランプが点いていたようじゃが。」
「そ、それは、本を読んでいてそのまま眠ってしまったからですわ。」
「ふむ、じゃあただの地震かの。」
「それよりお爺様、そろそろペンギンさん達が迎えにくるころですよ。」
「おっと、そうじゃったわい。」ルテティアは慌てて2階へ駆け上った。
コツコツ、戸をたたく音が聞こえる。
「あら、もう来ちゃったわ。お爺様、もうお迎えが来ましたよ。」
「すまんが、レインよ。ちょっと待っててくれと言っといてくれ。」
「しょうがないわね。」
コツコツ、またまた戸をたたく音が聞こえる。
「ハイハイ、今行きますよ。」レインがドアを開ける。
ペンギンが2匹レインを見上げている。
「ちょっと待っててね、お爺様はすぐくるから。」
ペンギン達はわからないようだった。相変わらずレインに何かを訴えているような目をしている。
「あーんもう、私はお爺様と違ってあなたと意思疎通ができないのよう。」
レインは困った。どうしよう・・・。そうだ身振り手振りでやってみよう。しかし、じじいがもうすぐ来るということをどう表現するというのだ。レインはまたまた困った。そうだ絵を見せてわからせよう。いやそんな物を書いている間にお爺様がくるだろう。うーん、どうしよう・・・。うずくまって頭を抱えたレインにペンギンが頭をなで始めた。どうやらレインが頭痛を起こしたものと勘違いしたらしい。
「おー、来たか。ってレインおまえ何を慰めてもらっているのだ?」
「お爺様、私はペンギンさん達とコミュニケーションが取れないのにどう応対しろっていうんですか。」レインはさめざめと泣いている。
「そういえばそうじゃったな。とにかくお疲れさん。わしは行ってくるぞい。さあ行くぞおまえ達。」
ペンギンはレインにお辞儀をして、ルテティアの後についていきました。
「なぜお爺様はペンギンと意志疎通ができるのかしら?」レインは開けっ放しのドアを閉めるのも忘れてしばらく茫然と突っ立っていました。
「いけない、部屋の爆発の証拠を抹消しなくては。」
レインはいそいで部屋に戻った。雪はなおもしんしんと降り積もっている。