ねえ、知ってた?
ワタシが本当に欲しかったモノ。
それは、女王の座なんかでも、『天才』なんていう固有名詞でもないの。
ワタシの本当に欲しかったモノ。
それは、ただ一つ。
アナタの笑顔。
ねえ、知ってた?
ワタシが初めてこの人に会ったのは、とても清閑で神秘的な森の中。
そこには、とても有名な、キレーな滝があって、
お祈りをすると、願いが叶う、って言われてた。
眉唾だよネ?
なんたって、叶う願いは恋の悩み、ってんだからさ。
そーんなロマンチックな場所で、運命のヒトかしらん?
なんて出会いではなかったワケ、ワタシ達。
ううん、むしろ。
どっちかってーと、サイアクな第一印象だったのよね。
普段恋愛なんか全然興味ないし、
王立研究院で、同期の女のコ達がキャーキャー騒いでるのを、
あっきれた。
ってカンジで見てたの、ワタシ。
周りにいる男達は、どいつもこいつもくだらなくって、
言い寄ってくる男は、みんな、下心見え見え。
男なんて、バッカみたい。
粋がって、カッコつけて見せて、結局成績はワタシよりも下なんだからさ。
なんだって、あんなに自己顕示欲の強い生き物なのかしら。
信じらんない。
・・・おっと、話が横道にそれちゃったね。
で、ワタシとこのヒトの出会いだったっけ。
さすがのワタシもさ、やっぱり女のコ(それも、とびきりイカしたね!)なワケで、
やっぱりこんなロマンチックな場所で、
しかも王立研究員としては最後の眺めともなると、
ちょっぴりメランコリーな気分にもなるってもんでショ。
ばかばかしい、とは思っていたものの、
明日からの女王候補としての生活、
そして、もしそのまま女王にでもなっちゃった時の事を考えたら、
もうステキな男のコと恋に落ちちゃう、なんて事もないんだあ。
って、ネ。
なんだか自然に、滝の前で手を合わせちゃったワケ。
で、その瞬間。
バッシャーン、って。
頭上から、ヒトが落っこちてきたの。
信じられる?
最初は、ヒトだなんてわかんなかった。
考えてもみてよ?
こーんな高い、急な滝の上から落下してくる人間が、いると思う?
あ〜ん、超お気にの服だったのに!
水しぶきを浴びて、ワタシ、超ブルーな気分になっちゃったわよ。
滝にバカにされた気分。
そしたら。
目の前の滝壷から、急に、何かが飛び出てきたワケ。
驚いたのなんのって。
キャーーーッ、なんて、ワタシ思わず叫んでた。
その、飛び出てきた何かが、水面に顔を出すなり、
ぷはあっ、
って、おっきく息をついた。
それで、ワタシはそれが『生き物』だって理解したの。
彼はね、陸に上がると同時に、
「驚いたあ〜。」
って言ったわ。
第一声が、それ。
どーいうコト?
目の前に、びしょぬれのレディがいるってのに。
まずは、女のコに気を使うのが、当たり前でしょ?
そのヒトが単にワタシに気づいてなかっただけ、ってコトを本当は知ってたんだけど。
何だか急にムカムカ〜って、頭にきちゃった。
それから、やっとワタシに気づいたその男は、慌てたように声をかけてきたの。
「ゴ、ゴメン、君、大丈夫?」
「・・・大丈夫に見える?」
完全に頭にきてたワタシのセリフに、カレがすまなそうに言ったわ。
「本当に、ゴメン。まさか、ここに人がいると思わなかったもので・・・」
そのセリフに、ただでさえ頭に血が上っていたワタシは、完全に切れたね。
これから、女王陛下の謁見があるのに!
ワタシの、一番好きな服が、だいなし!
大体、何よ。何、言い訳なんてしてるワケ?
「この服、チョー気に入ってたんだヨー!?もー、びしょ濡れだよ、信じらんない!」
さすがにカレも、カチン、ときたみたい。
ムッとしたように返してきたわ。
「だから、謝ってるじゃないか。」
カーッと、頭に血が上ったワタシは、思わず心の中で思ったセリフを、そのまんま口に出しちゃった。
「謝ればいいってもんじゃないでショ、ワタシこれから、大事な用があったんだから!どうしてくれんのよ、これ。マジ気に入ってたんだから!」
「なっ・・・、だ、大体、服なんて、乾かせばすむコトだろ!?」
「男のくせに、言い訳がましいのって、ホント、マジサイテー!」
カレ、あまり口がうまくなかったみたい。
あっさりとワタシに言い負かされちゃって、真っ赤な顔で、くやしそうにワタシの顔、睨んでた。
おっきな、青い瞳を見開いて・・・ネ。
「口で勝てないからってそんな二ランだって、ちっとも怖くないヨ。ホント、男って、よってたかって、そうなんだから。サイアク。」
ワタシ、クルリと背を向けると、そのままスタスタと歩き出した。
「〜〜〜〜〜〜〜!!!」
アイツの憤慨が、背中を通して伝わってきたけど、気にしない。
いちいち張り合ってたら、キリがないもんね!
男って、ホントにサイテー。
ガキで、バカで、そのくせ強がってて・・・
その時のワタシは、本当に、怖いモノ知らずだったの。
今考えると、バッカみたい。
男の、本当の強さを知らなかったのかな?
ううん、本当は知ってたんだと思う。
だけど、今まで身近にいた男達は誰も、
どんな憎まれ口を叩いても、絶対に手をあげるコトはなかったし、
どんなキツイ態度をとっても、反撃するコトはなかったから。
世間の男達はみんな同じだって、勝手に思い込んでたんだ。
本当は違うって解ってたのに、それに慣れちゃってたんだね。
ワタシ、大慌てで着替えて、聖殿へと向かったの。
そこでは今日初めて、ライバルとのご対面。そして、女王陛下と守護聖サマ方との謁見が行われるコトになってたんだ。
補佐官のロザリア様には、一度会ったコトはあったんだけど、すっごく美人なの。
ワタシの憧れなんだ。あんな女性になりたいな。
ロザリア様は、
「守護聖の方達は素敵な方ばかりよ。」
って、おっしゃってらしたけど・・・。
守護聖サマって言ったって、王立研究員の男達と、そんなに変わり栄えしないんじゃないのかなあ?
そんなに期待もできないね。きっと。
謁見の間に入って、でもワタシは守護聖サマにはそんなに興味もなくて。
「アンジェリーク・コレットと言います。乙女座のA型で・・・」
なんだか明後日の方を向きながら、ライバルの自己紹介を、ぼんやりと聞いてた。
アンジェリークはなんだか、ボーッとしたカンジの、見るからに内気そうな、大人しそうな女のコだった。
なんだかつまんないな。
もっとこう、バリバリやりそうな、張り合い甲斐のありそうなコを想像してたから。
このコ、大丈夫なのかな?
ワタシがちょっと手厳しくやったら、すぐに泣いちゃいそ。
ちょっと、苦手なタイプみたい・・・。
そんなコト考えてたら、不意にロザリア様に名前を呼ばれた。
「ではレイチェル、自己紹介をお願い致します。」
「えーと、レイチェル・・・」
名前を言いかけて顔をあげたワタシは、初めて守護聖サマの方へ目をやった。
そして、ある1人の姿を認めたところで目線が止まった。
・・・目線と、実際は言葉もね。
相手もそこで初めて、ワタシに気づいたみたい。
「あーーーーーっ!!」
2人同時に、声をあげていた。
そ。それこそが、滝の上から降ってきた人物。
風の守護聖、ランディ様だった・・・ってワケ。
「まあ、2人とも、知り合いだったの?」
陛下が微笑み、
「ふふ、それは心強い事。あなたも隅におけませんわね。」
ロザリア様が、涼しげな笑みを浮かべながら言った。
「いえ」
「そんな訳じゃ・・・」
またまた2人、声を合わせて答えてた。
アイツは、気まずそうに頭をかいている。
まさか、まさか。
あの、言い訳がましい、男らしくない男が、守護聖だったなんて!
サイアク、サイテー!
さっきの、ワタシの態度とか言動、余計な噂になって広まったりしたら、もうここではやっていけないんじゃない?
守護聖様達が1人1人自己紹介をしてたけど、ワタシ、正直言ってそれどころじゃなかった。
だけど、奴の自己紹介になると、さすがにソッチを直視しちゃった。
「風の守護聖ランディだよ。」
そう、風の守護聖。
王立研究院にいれば否応ナシに守護聖様の噂が昇るし、名前を聞いた事はあったわ。
実際に、ジュリアス様やルヴァ様や、何人かの守護聖様には会った事もあった。
でも、よりによって、ランディ様の顔は一度も見た事がなかったの。
「色々、大変だと思うけど、ガンバレよな!困った事があったら、いつでも相談にのるよ。」
一瞬、心臓がドキン、って鳴った。
だって、さっきの事なんか全く忘れちゃったような、
ううん、元から何もなかったかのような。
そんな、全開の笑顔でワタシの方を見るから。
きっと、ワタシの方を見たんじゃないんだろうけど。
そうよ、あれはきっと、アンジェリークに向けられた笑顔、言葉。
でも・・・。
あの時は気づかなかった。
なんて綺麗な、澄んだ大きな青い瞳。
その時ワタシは、初めて男のヒトに胸を高鳴らせた、ってワケ。
それからワタシは、ランディ様を意識するようになった。
ランディ様を見かける度、自然に目がカレを追い、
全身の神経を集中させて、カレの言葉に耳を傾けたわ。
だけど・・・
だけどね。
ワタシとランディ様の仲は、あの日、滝からカレが降ってきた日以来、
本当にサイアクな状態だった。
当然のように、自然にランディ様はアンジェリークと仲良くなって、
ワタシのつけいる隙なんて、全くなかった。
ううん、それどころかワタシ、ランディ様に嫌われてたんだ。
育成のお願いをしに行っても、どこか態度がよそよそしかった。
アンジェリークに向けられる大輪の笑顔が、
ワタシの顔を見かけた途端、緊張のそれに変貌した。
いつも、いつも、いつも。
ランディ様は、ワタシを避けていた。
それがたまらなく、辛かったの。
原因は、ワタシにあるって、わかってた。
ランディ様は、あの謁見の後、本当に何事もなかったかのように、
まるで謁見で初めて顔を会わせたかのように、振る舞ってくれた。
でも、ワタシがそれを壊しちゃったんだ。
「これから、よろしくな。オレにできる事があれば何でも協力するから。お互い頑張ろうな。」
そう言って差し出されたランディ様の手。
本当はとても、嬉しかった。
すぐにその手を握り返して、答えたかった。
でも、ワタシのちっぽけなプライドが、それを遮った。
ワタシ、ランディ様の手を、ツイとかわして言ったんだ。
「アナタが守護聖様だなんて、信じらんない。」
その瞬間。
ランディ様の綺麗なスカイブルーの瞳が大きく見開かれ、
顔から笑みが消えたの。
険しい顔で、一言だけ、言ったわ。
「オレも、君のような子が女王候補だなんて・・・信じられないよ。」
それが、ワタシとランディ様が交わした、最後の言葉だったってワケ。
もちろん、ルーティスの育成には、ランディ様の風のサクリアも必要だった。
だけどワタシはランディ様と顔を合わせるのが怖くて、
必要最低限の育成しかお願いしていなかった。
それも、マルセル様や、オスカー様を通して。
直接本人に育成のお願いをしないのは、酷くて卑怯で、ルール違反だって解ってる。
でも、優しいランディ様は、それでも必ず、ワタシが願っただけの力の量を、ルーティスに送ってくれていた。
あるいはカレも、ワタシと顔をあわせたくなかったのかもしれない。
だって、顔を合わす度この口から、心にも思っていない、心ない言葉が飛び出してしまう。その度に、ランディ様の笑顔を曇らせてしまう。
それならいっそ、全く関わらず、言葉を交わさない方が気が楽だって思ってた。
だけど。
ランディ様、ランディ様、ランディ様。
会わなければ会わないだけ、心が辛くて、苦しくて。
ワタシ、どうしちゃったんだろう。
その日、ワタシはジュリアス様の執務室に呼ばれた。
いくら育成がうまくいっていても、
守護聖、のみならず、色々な人達の心を纏める事ができなければ、
女王となる資格はない。
そんな事は解ってた。
だけど、仕方ないじゃない。
どうしてこうなっちゃったのか、
ワタシ自身にも全然解らないんだもの。
ピンポーン。
部屋のチャイムが鳴った。
今日は誰とも、約束をしていなかったはず。
ドアを開けるとそこに、ランディ様が立っていた。
自然と、ワタシの表情と声が、強ばる。
「・・・何の、用ですか?」
「・・・部屋に、入れてもらってもいいかな?」
ランディ様の声も、強ばっていた。
『帰ってください』
口を開けばまた、余計な言葉が出てきそうで。
ワタシは黙って、ランディ様を中に通した。
本当はとても、嬉しかった。
心臓が、早鐘のようにドキドキ脈打ってた。
どうかランディ様に、この心臓の音が聞こえませんように。
ソファに座ったランディ様は、しばらく黙っていたけど、
やがて決心をしたように、ポツリと話し出した。
「・・・なあ、レイチェル、オレ、そんなに君に嫌われちゃうような事、何かしたかな?」
「ランディ様・・・」
ワタシの事、心配してくれてたの?
ワタシと、仲直りしようと思ってるの?
ワタシを、許してくれるの?
「ごめんな、部屋までおしかけちゃって。だけど、君はオレを避けて、顔を合わせようとしないし・・・。迷惑だって事はわかってる。」
『そんなこと、あるわけないじゃない』
次の瞬間、ランディ様の口から出た言葉に、ワタシの心に広がった優しい気持ちが、一瞬にして消え去った。
「だけど、ジュリアス様に、このままじゃいけないって注意を受けたんだ。君は女王候補でオレは風の守護聖だ。そうだろ?」
『ジュリアス様に言われて、仕方なく、ここに来たの?』
「確かに、オレ、初めて君と会ったときの印象はサイアクだったかもしれないけど、それだけで怒ってる訳じゃないだろ?君の正直な気持ちを教えて欲しいんだ。」
『アナタが好きなの!』
「ご自分の胸に聞いてみたらどうですか?」
ワタシは嘘吐きだ。
こんなに、胸が高鳴っているのに。
思った事と全く逆のセリフが、口をついて出てくる。
ランディ様が、再び無言で、俯いた。
ワタシは、どこかおかしいのかな?
ランディ様の傷ついた表情を見る度、申し訳ない気持ちと。
それともう一つ。
身体の奥のほうから、何かゾクゾクとした快感が沸き上がってくる。
ランディ様はいつも、身体にぴたりとフィットした、細身のパンツをはいていて、華奢で整った体つきがはっきり見てとれた。
今日もまた例に漏れず、白のサテン地の、肌触りのよさそうな・・・
ワタシの視線は、ランディ様の、男性なら誰でも持っている、パンツの中央のふくらみで止まった。
『ランディ様は、女のコと経験した事があるのかな?』
そう思った瞬間、熱い何かが、身体の中心部から溢れ出るのを感じた。
ワタシは、彼の隣に腰掛け、超ミニのスカートから伸びた足を、大袈裟なモーションで組んでみせた。ランディ様がチラッと目を向け、慌てたように目線をそらしたのを、ワタシは見逃さなかった。
「・・・だってランディ様、アンジェリークとばかり仲良くされていらっしゃるから」
そう言いながら、わざと足を組み直した。
「べ、別に・・・!」
弾かれたようにこっちを振り向いたランディ様の視線がワタシの腿の辺りに当たった。彼の頬がわずかに染まり、困ったように自分の膝に目を向ける。
「彼女とばかり仲良くしている訳じゃないよ。オレ、君に避けられてると思ってたから・・・」
ワタシはここぞとばかり、ランディ様に身体を近づけ、ぴたりと寄り添った。
「ワタシが何の為に、アナタをさけなきゃなんない訳?」
「レ、レイチェル・・・?」
ランディ様の頬がますます朱に染まり、もじもじとワタシから離れた。
逃すまいと、ワタシは更に身体を密着させる。
ワタシの胸が、ランディ様の腕に当たっている。
再び身体の芯から、熱い液体が溢れ出すのを感じた。
ランディ様がそわそわしている。
彼の股間に視線をやった。
あらら。大きくなっちゃってるみたい・・・。
「ランディ様・・・」
ワタシ、精一杯色っぽい目線を作って、ランディ様の顔をのぞき込んだ。
手を彼の太股に置き、そのまま軽く、手で撫であげる。
ビクッ、とランディ様の身体が一瞬硬直するのを感じた。
手をそのまま、股間へのばしていくと、
「レイチェル!」
ランディ様が急に声をあげて、身体を離した。
「ランディ様、無理しないで・・・ね?」
ワタシは構わず、再びランディ様の、今度はダイレクトに股間に手を這わせた。
「・・・!」
ランディ様が目をつぶり、眉間にしわを寄せた。
カンジちゃってるみたい・・・こんなに、大きくなって。
唇をペロッと舐めて、ワタシはランディ様の耳元で囁いた。
「ワタシ、ランディ様の事、嫌いなんかじゃないよ。むしろ・・・」
そのまま、耳たぶを舐めると、ランディ様の口から、深い、溜息のような呼吸が漏れた。肩に手をやり、ちょっと体重を移動させたら、ランディ様の身体が簡単にソファに倒れ込んだ。
「ねえ、ランディ様、女のコとセックスした事、ある・・・?」
「なっ・・・!!」
ランディ様ったら、完全に顔を真っ赤にしちゃって、かーわいいんだ。
本当に、純情なんだね。
最もワタシもまだ、バージンな訳だけど。
ワタシはランディ様の身体をソファに押し倒したまま、股間の手を離さなかった。
軽く、触れるか触れないか。
円を描くように手を動かし続けると、だんだん、ランディ様の息があがり、苦しそうに眉間にしわが寄りだした。
「まだないんだ。ね、ワタシと・・・しよっか?」
「レイチェル・・・」
ランディ様が目を細めてワタシを見た。
その目には、軽蔑の光が見えたけど・・・
だけど、もういいんだ。
ランディ様だって、快感を求める身体にもはや、逆らえなくなってるじゃない?
これで、おあいこだよ。
パンツのファスナーをさげ、完全に大きくなっているランディ様のソコに指をからめた。
ア・・・
小さな声をあげたランディ様の身体が、わずかに跳ねた。
その声に、ワタシの興奮も高まっちゃった。
何てカワイイ声を出すんだろう。
男のコって、みんなこうなのかな?
残念ながらワタシには、比べる対象がないから、わからないけど。
だけど、ワタシ以外の誰にも。
この声を聞かせたくない。
この表情を見せたくない。
誰にも、渡したくはない。
ワタシ、ランディ様が愛しくて愛しくて、髪にソッと口づけた。
そして今、ワタシの胸の中で眠ってる、この人。
この人の笑顔だけを、いつも見ていたいと思ってた。
それだけでよかったんだ。
ごめんね、苦しい思いさせちゃったね。
喉に残ってる、紫色になった、ワタシの指の跡をさすってみた。
ごめんね、アナタの、ワタシを見る軽蔑の眼差しに耐えきれなかったの。
アナタをあの、もう1人の女王候補に渡したくなかったの。
ごめんね。
ごめんね。
だけどこれで、アナタの笑顔はワタシだけの物だよね?