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あの日君を見送ったのは
砂が風に飛び散るスティション レールウェイが遠く霞んで 街に冬が近づいていた |
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| ねえルヴァ、本当に行っちゃうの? |
| 悲しそうな瞳をした少女は、黙って頷く青年の頬にソッと触れて言った。 |
| ・・・シャ |
| 青年は、優しく少女の名を呼んだ。 |
| 素敵な事だと思いません?このレールの向こうに、新しい未来が待っているんですよ。 |
| どうして、と少女は言う。 |
| どうして向かい風に逆らおうとするの?どうして遠い道を選ぶの?と、少女は問う。 |
| 何かを見過ごしたまま、と青年は、穏やかな瞳で言った。 |
| 生きるのは、寂しい事だと思いませんか? |
| 青年はいつも、違う生き方を夢見ていた。 |
| 青年が見つめていたのは、別れではなく、始まり。 |
| 青年は、行かなくてはならない。それが例え、本意でなくとも。 |
| これは、それを理解った上での、少女の我侭、儚い抵抗。 |
| 青年が、愛しそうに少女の髪を掻き上げた。 |
| どんなに離れていても、ひとりきりで泣かないで。 |
| 少女も、愛しそうに青年の頬を掌で包んだ。 |
| 待ち続けるわ、あなたが好きだから。 |
| 悲しみに沈む時にも、忘れないで。1人じゃない。 |
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それは、長い間忘れていた過去の出来事。少女の名も思い出せぬ、儚い、夢。
(98.7.yas.) |