先輩 後輩
「やっぱ、かぐやん手おっきいよねー」
「そうでもないけどなぁ」
「あ、指長い。いいなぁ」
クラスメートにもかぐやんとか呼ばれてんのか、あの人。
うんまぁ、嫌われてるタイプじゃないもんな。
男友達多そうだし。
まさか、休み時間に女と話す人だとは思ってもいなかったけど。
「ほら、かぐやん手貸して」
「うわ!なにすんだよ」
「やー、こうして比べると、はっきり判るわ。うん」
「思ったより、ゴツゴツしてないよね」
「いや、それよりアタシは、そのイガグリを触りたい」
「あ、バカ!やめろって」
あー、もしかしていじられキャラなのか?
クラスの他のやつらもほのぼの見守ってるし。
普通こういう場面は、敵意も感じるけど。
「あー、やっぱ坊主いいね。この感触」
「おーまーえーらーなー!」
怒ってる怒ってる。本気じゃないけど。
あーいうの、カワイイよな。
…つーか…
「加具山センパーイ!」
俺以外に触らせんなっつーの!
「あれ、榛名?」
「え?なに、かぐやん。あの子誰?」
「格好いー!知り合い?マジで?紹介してよ」
「後輩、野球部の二年。…知らないのか?」
「野球部なの?へー」
「ハルナくーん、よろしくねー!」
「あー、もうウルセェな。なんか、呼んでるみたいだから、行ってくる」
「加具山センパイは、けっこう人気者っすね」
「あいつら、坊主めずらしがってんだよ。このクラス、坊主なんて俺と大河くらいしかいないからな」
「へー」
「で、なんか用か?…その前に、なんかオマエ変じゃね?」
「べーつーにー」
「榛名?」
「なんでも無いっすよ、センパイ」
「は?なんだよ、用があったんじゃないのか?」
「もういいですよ、アンタの顔見にきただけだし」
「…そんだけ?」
「そう、それだけ」
「用も無いのに三年の教室くんなよ。なんかあったらどうすんだ?」
「何もありませんよ」
「だけどなぁ」
「…へぇ?心配してくれるんすか?」
「そりゃ、先輩としてはな。大会前になんかあったらヤバいし」
「大丈夫っすよ、俺は」
「…オマエの自信は野球だけにしとけよ」
「わーかりました。加具山センパイが心配してくれてるし、もう戻ります」
誕生日、半年も変わんないのにな。
「…そういえば、なんでさっきから先輩とか付けてんだ?」
そりゃアンタ、嫌味だからにきまってんでしょうが。
「一応、後輩らしくしとこうかと思いまして」
「はぁ?」
ホントは、名前で呼びたいくらいですけどね。
それはそのうちに叶えさせててもらいますよ。
「ああ、加具山さん」
「なんだよ」
「アンタに触っていいのは、俺だけだって言っといてくださいね」
「…っ!バカかオマエは!」
あーあ、ほんとにもう。
カワイイね、この人は。