ハルカグの短い話。スクロールしてってください。
あいするさぎょう(はるかぐ)
「愛してるんです」
「うん」
「だから、愛してるんですって」
「へぇ」
視線は、ずっとそれたままでいる。
一方的に注がれている視線は。
どうしたって、うっとおしい。まとわりつく、細い蜘蛛の糸のように。
「…だから、キスしていいですか?」
どこが、だからなんだろうという疑問さえ。
とうの昔の、産業廃棄物。
「そういえばさぁ?」
「え?」
「なんでおまえ、いちいち了解とんの?」
「そういえば、なんででしょうね…?」
まぁ、なんというか。
きっと。それは。
愛するという作業のうちに含まれて。
ながれるほしと。 (はるかぐ)
上履きの、ゴム底がわずかに湿ってでもいただろうか。
きゅっきゅっと。
歩くたびに音をたてる。
呼ばれて、振り返る間も。
きゅっと鳴る。
「…返されないと、不安なのかよ」
見上げる形になることが、また。
腹立たしい。
見下ろされている形が。
うとましくて、たまらない。
「それはアンタのほうでしょう」
なんだよ。
わかってんじゃねぇか。
だから。
また、ゴム底を鳴らせて。
追いかけてくる、足音を。
置いていく。