SSではなくて、ちょっとTALKなんかを(笑) さて、うちのネストリの基本は「甘い」事なのです。ただこの甘味というのは、人それぞれで、私がいくら甘いのだと言っても、それは私が甘いのだと信じているだけで、そうではない方もいらっしゃるでしょう。 それでも、今まで書いた物も、これから書くものも「甘い」ものである事はまちがいありません。
ただし、彼らの過去に於いては、その限りでもない事も記しておきましょう。過去ねつぞう話は、本編で語られていない限り「創作」されてしまうのが、世の常というもの。多分に洩れず、私も過去ねつぞう話を創作しております。
その勝手窮まりない理論と妄想で生み出された過去話では、「甘い」関係の前段階である、辛気くさい話であり、はなはだしくキャラクターの性格は破綻しております。
これを読んで下さった方は、これからもし、私がネット上で彼らの過去ねつぞう話を公開しましたら、その点お含みいただいて、読んでいただけたらと思います。
しかし、基本は「甘い」でのす。
たとえ辛気くさくても、陰気でも、「甘い」ものである事には間違いありません。
・・・甘いと、幸せが天秤の両側で釣り合っている事が、一番の目標なのですが・・・









「ネス・・・あの・・・ね・・・」
「どうしたんだ?こんな時間に・・・」
「うん・・・」
 深夜にドアを叩いた妹弟子を、ネスティは渋々部屋に迎え入れた。本当なら、もう就寝の時間なので、それについて何か言おうと思ったのだが、夜着の裾をもじもじと掴みながら、そろりと上目使いに見上げられて、何も言えなくなった。
 トリスが派閥に連れてこられてから、2年目に入った。頑なだったトリスとネスティの心も、ようやくその冷たい氷の壁が融けた頃で、お互いに目を見て話を出来るようになっていた。
「トリス・・・?」
 様子のおかしいトリスを、ネスティは立たせたままにも出来ず、ベットの縁に腰掛けさせた。そして、夜着の上に何も着ていないトリスに、自分の上着を掛けてやった。
 触れた肩が冷たい。
(そういえば、僕はどうしてこんな時間まで起きているんだろう・・・?)
 ふとそんな事を思いだしながら、ネスティは普段にない程ぼんやりとした視線をトリスに向けた。
 けれどそれも一瞬で、我に返るとネスティは問いただすように、トリスに再度尋ねた。
「どうしたんだ?」
「う・・・ん・・・」
 トリスはやはりもじもじとはっきりしない素振りをみせて、言葉を濁そうとした。
「や、やっぱり、なんでもないの。ごめんね、ネス」
 慌てたように、立ち上がる。
「・・・なんでもないのに、こんな時間に他人の部屋を訪ねるのか、君は?」
「ご、ごめんなさい・・・」
「・・・眠れなかったのか?」
 ぴくりと、トリスの肩が揺れた。
「うん・・・でも、もうねるよ・・・大丈夫だもん」
 なんとか笑うといった様子で、トリスは言うと、ぱたぱたと駆け足で部屋を出ていってしまった。
「・・・・・・」
 閉まって閉まった扉を見つめながら、ネスティは暫くぼうっとしていたが、何か思い付いたのか机の引き出しを探り、目的の物を発見したのか、それを握り締めて部屋を出た。



 トリスの部屋は、ネスティの部屋をそれほど離れてはいない場所にある。
 コンコン。
 いつも妹弟子に注意しているように、ネスティは落ち着いた様子で、部屋をノックした。何度注意しても、トリスはノックの習慣が身につかない。たまにノックする時は、やたらと音を立てて、騒音にしかならなくなる。
 コンコン。
 返事がないので、ネスティは一瞬だけ考えこんだが、部屋の主が開けてくれない扉を自分で開いた。
「トリス・・・」
 トリスは、窓の下でじいっと見をかがめていた。
 はたはたとカーテンがゆれていて、窓が開け放たれている事がわざわざ確認するまでもなく、見てとれた。
 先刻羽織ったままだった、ネスティの上着を抱え込んだまま、トリスは小さく小さくうずくまっている。
(今日に限って、どうしてなかなか眠れなかったんだろう・・・)
 ネスティは、ゆっくりとトリスに近づいた。
「トリス・・・僕だ・・・わかるかい?」
「・・・ネスぅ・・・」
 更に、トリスは小さくぎゅうっと身を縮めた。
 震えている。
 雲に覆われた夜空からは月の明かりさえ入ってこなくて、僅かにともされた蝋燭の明かりだけが、トリスを照らしていたが、それでも彼女が震えている事が、ネスティにはわかった。
「もう、大丈夫だ・・・ほら・・・」
 冷えた体を包むように、ネスティはトリスを抱き締めた。
「ネス・・・怖いよ・・・こわいの・・・」
「わかったから・・・」
「ねむれないの・・・ゆめ・・・」
「ああ・・・大丈夫・・・大丈夫だから・・・」
 腕の中でしゃくりあげる少女の髪をなでながら、ネスティは同じ言葉を何度も繰り返した。
「もう、安心していいんだ・・・」
 トリスが、寝息を立てはじめるまでずっと。



 涙の後の残る頬を拭いてやると、トリスはわずかに身じろぎした。ネスティはブランケットを掛け直しながら、少しだけ微笑んだ。
「おやすみトリス・・・」
 寝息をたてるトリスを起こさないように注意しながら、ネスティは少女の枕もとに、小さな石のついたブレスレットを置いた。
 それ以前買い物に行った店で、悪夢を払う石だと勧められたもので、ネスティ自身は特に欲しいと思ったのではなかったのだが、眠れないの事を泣きつく事も出来ない妹弟子がいたのを思い出して、つい購入していた物だった。ブレスレットに加工されていたそれは、さほど高くはなく、それどころか効能を考えれば安すぎるものだったので、眉唾ものだろうとは、確かにネスティも思ったのだが。
 それでも、あんな風にして朝まで耐えている少女の、守り石になればそれで良かったのだ。気休めでも。





 それからネスティは、寝付けない夜は、妹弟子の部屋に行くことにした。



 そうするとたいてい、半分涙を浮かべた瞳で、守り石を握り締めているトリスが驚いたような顔でネスティを見たから。




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