知っていたら、違っただろうか?
もっと利口に立ち回れただろうか?
成り上がりの厄介者。
それがあたしを指す、名前みたいなものだった。
最近だと、落ちこぼれってのもありかも。あはは、素質はあっても、才能ってものがないのよね。きっと。
だって、別に召喚術師になりたかったわけじゃないんだもの。まぁ、他に何かしたいのかと聞かれてても困るんだけど。
でも、わかっていればあの時、サモナイ石なんか触ったりしなかったのに。
あたしはただ、綺麗な石に触りたかっただけで……
「ただの孤児だったんだけどなぁ……」
召喚術の暴走で、町を壊したあたしは、捕まって牢屋に入れられて…気づくと蒼の派閥に連れてこられたんだ。なし崩しに、召喚術師になる事を決められて。
どのみち、他に行くところなんかなかったんだから、運が良かったのかもしれないけど。
確かにここなら、食べるのに困らないし、雨もしのげるし服も支給されるし。
あたしみたいのでも、養ってくれるんだから、少しは感謝しなくちゃね。
「トリス!どこに行ったんだ!」
あらら、ネスじゃない…
「全く、目を離すとすぐにこれだ……」
別に、探してほしいんじゃないんだけど。
いいじゃない、どうせ講義なんか聞いてもわからないんだから。こうして涼しい木の上で、お昼寝でもしていた方がどれだけ有意義か…
なんて、ね。
仕方ないか……
「はいはーい、ここでーす」
「……!トリス、君は……!」
「うっかり眠っちゃったのよ、ごめんね。すぐに行くから」
急いで木から降りて、あたしはネスの横を通り過ぎた。
引き取られた時から、あたしの面倒をみてくれているネスティ。思えば彼も、とんだ貧乏くじを引かされたものだ。あたしなんかの兄弟子だったばかりに。
ラウル師範だって、あたしみたいなのを、弟子にしなければよかったのに。
「待て、トリス!これで何度目だと……」
「……ゴメンね、ネス」
「……トリス…?」
ネスは真面目だから、ラウル師範に頼まれたから、こんな面倒な事をしなくちゃならないんだ。
あたしは本当に馬鹿だった。
何も知らなくて……
あたしが生きている罪を………
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