泣いたら負けだと思う。
どうせ困ったり泣いたりしたらいいと思ってるやつらに、わざわざ見せてやる必要なんかない。
別に好きで「なりあがり」にも「みなしご」にもなった訳じゃないんだから。気づいた時には、あたしは一人だった。そんなことまで、あたしのせいじゃない。
ここにだって、来たくて来たんじゃないのに。
あたしの知らない所で、誰かが決めたくせに。
なんにもあたしの自由になんかならない。
だから、絶対に泣いてなんかやらない。
いつもの、山の様な課題を前に、あたしは頭を抱えていた。
蒼の派閥に連れてこられてから何年かたって、随分ここの暮らしにも慣れてきたけれど、どうにもこの課題にだけは対応できないでいる。・・・って、なんかどんどん増えていってるし。こんなの出来っこないじゃないのよ〜
しかも窓から見えるのは青い空。全く勉強なんかしてる場合じゃない天気よね!
「こんな日は、外でのんびり・・・」
「のんびり、何をする気なんだ?」
う、ネス。
「想像はしていたが、本当に全く手をつけてないようだな」
「・・・その前に、部屋に入る時はノックくらいしてよ」
「したさ。僕がそんな初歩的なマナーも、守れないとでも言う気か?君は」
気づかなかったんだもの、意味ないじゃない。
「・・・むぅ。で、ネスは何の用なわけ?」
「君が逃げ出したんじゃないかと思って、わざわざ出向いてきた兄弟子に、随分な言いぐさじゃないのか?トリス」
いやもう、随分なのは、あなた様の方じゃないですか?確かにやってはいないけど、一応頭を悩ませてはいるし、外に行こうとはしたけど、まだ脱走してないし。
何か言ってやろうとしたけど、ネスの表情が説教モードに入りそうだったので、黙っている事にした。ネスのお説教長いんだもの。
「いつまでも提出しないから、こんなになっているんだぞ?少しは、真面目にやったらどうなんだ」
ああ、もうお説教モードだし。
「はいはい、ちゃんとやるわよぉ。いくらなんでも、これは溜めすぎたなって反省してるんだから」
「今度からは、反省する前にやっておくことだな」
「・・・はぁい」
「で、どこがわからないんだ?」
あ、何だ。手伝ってくれるんだ。
「えっと・・・全部、っていうのは冗談で・・・」
優秀な兄弟子さまのおかげで、どうにか片付きそうな予感。ま、かわりにやってくれはしないけど、ね。
「あ〜あ、すっかり夜になっちゃったなぁ・・・」
本当は山の様な課題は、もっと溜めといても、散歩に行きたかったんだけどなぁ。今日は、お昼寝してないし。やっぱり天気のいい日くらい、外で昼寝くらいしたっていいと思うんだけど。
「よっと・・・着地成功!」
それにしても、都合よく窓に枝が差し掛かるように成長したわよね。この木も。感謝感謝。
ひやりとした夜の空気に、あたしは少しだけ身を潜めた。
流石に夜は本部の外まで行かないけれど、庭の散歩くらいならいいよね。月夜の散歩なんて、ちょっと情緒的だし。
「んー・・・月も綺麗ね」
眺めのいい、いつものお気に入りの木の側に、持ってきたクッションを置いて座る。ひだまりの中の昼寝も好きだけど、こうして月を見上げるのも好き。ぼんやりしてると、本気で眠くなるんだけどね。
そういえば前に、こうしててすっかり寝込んじゃった事あったっけ。
「・・・ネスに思いきり叱られたんだよね」
余計な事まで思いだしちゃった。まぁ、あの時は・・・風邪をひきこんだりしたから、そのせいかもしれないけど。
うん、本当。月が綺麗だな・・・
あたしいつから、ここで泣かなくなったんだっけ?
BACK
KONO
このページは
です
無料ホームページをどうぞ