多分小学校高学年の頃のとある春だったと思います。
その日は日差しも暖かく、快適で思わず居眠りをしてしまいそうな、そんな日でした。
しかし、そんな春の暖かさをも吹き飛ばしてしまうような面白・・・・いや、恐ろしい事件が
私を待ち構えていたのです・・・・
私が学校から帰ってくると、近所を縄張りとするネコが寄ってきました。
ネコの名前は「平太郎(メス)」。
平太郎と私は少なからず因縁がありつつも仲が良く、団地の中二階から放り投げても、
近所の溝川に放り込んで水の上を走るのを眺めても、笑って許し合える・・・そんな仲でした。
その日はあまりにもその平太郎が寄って来るので私は芝生の上に座り込み、
喉や背中をなでてやったりしていると、正座している私の膝の上に乗ってきて、
そのままそこで丸まって寝てしまいました。春の陽気が心地よかったのでしょう。
私はそのまま動く事もできず、しばらくは静かに背中を撫でてやっていたのですが、
そのうち自分も眠くなってきて、そのまま目を閉じてしまいました。
そして数分後・・・・・
ふと目を開けた私ですが、その膝の上にはまだ平太郎が寝ています。
さすがに家に帰りたくなった私は、そのまま降ろして帰ろうと、平太郎を掴んで
立ち上がろうとしたその時!
「ミギャァァァッ!?」
突然地面が傾いたので吃驚したのか、平太郎が飛び起き、しがみ付くようにして
駆け上ってきました。そう、私の胸あたりまで・・・・。
(おぉうっ?、こいつ寝ぼけてるな?)
と思った私は、驚きつつも立ち上がり、胸から引き剥がそうと平太郎を掴んだ、その瞬間!!
ザシュッ!!!!
唇の内側から感じる、刺すような痛み。
そう、落下の恐怖にさらされた平太郎はさらに上部にあがろうと前足を伸ばし、
ちょうど引っかけられるような部分、つまり私の唇にそのつめを突き立てたのです。
痛みに泣きそうになりながらも
(こいつ、後でしばいちゃる(T_T))
などと思いつつその爪をはずそうと前足を掴んだその時、さらに悲劇が。
事もあろうか平太郎は、その前足を残し、すべての足を私の体から放してしまった・・・・
当然平太郎の全体重は、私の唇にかかる事になり、
びろ〜ん・・・・
痛みで歪みしかも唇がめくれあがった私の顔と、
それに片手でぶら下がるネコ・・・・
そしてその現場に運悪く(良く?)通りかかったのが
「お兄ちゃん・・・・・なにしてんの?」
私の妹。
ここに史上初(?)、ネコを唇にぶら下げた男が完成しました。証人付きで・・・・
その後、平太郎と私の死闘が幕を開けました。 |