転校生

 

工藤邸

「新一、学校遅れるわよ〜」

「あ〜、わかってるよ少し待ってろ、今行くからよ・・・」

「もうっ、遅刻してもいいの?今度こそ留年するかもしれないわよ」

そう俺の名前は工藤新一、高校生名探偵工藤新一だ、そして俺を呼ぶ声は幼馴染の蘭。

謎の黒い組織は壊滅し、灰原の調合した解毒剤によって俺は元の姿に戻った。

しかし、事件が全て解決したのは卒業式間近という時期、結局高校2年生をほとんどコナンの姿で過ごしていたため留年の危機にみまわれたが、

春休み中の補修の嵐でまあ何とか無事進級することができた。

ふと蘭が博士の家を見る、

「そういえば、博士の家にまた女の子が来たのよねえ」

(女の子・・灰原、いや宮野のことか)一瞬ドッキとしながらも「ああ」と受け流した

「確か哀ちゃんのお姉さんだとかっていう話でしょ、でもなんで苗字が違うのかしらね・・」

「さあ、両親が離婚でもしてんじゃないの?」

「でも、姉妹が別々ってのもなんか変よね、詳しいこと博士から聞いてないの?」

「さあね、まあひとり息子ほったらかして外国に行ってる無責任な親もいることだしとりたてて問題にすることじゃないだろ・・」

「クスッ、それ新一の両親のこと?そういえばコナン君もそうだったわね、なんか無責任な親ばっかりね・・」

「そうだな、おまえの所も別居中だしな・・」

「うるさいわねえ。でも、あの姉妹って本当によく似てるわね。ほら、哀ちゃんと志保さんのことよ・・」

(はは、そりゃあまあ同一人物だからな)

「そういえば、彼女何をし・・・」

「あ!やべっ、忘れ物した・・」

「もう、新一ったら本当に遅刻するわよ・・」

まあ、隣のヤツにでも借りればいいかと思った俺は学校へ急ぐことにした。

 

学校

「おお、久しぶりだな工藤、夫婦揃って登校か?」

実際新一は元に戻ってから授業にはまだ一回も出てないのでこれが数ヶ月ぶりのクラスメイトとの会話であった。

「バーロ、誰がこんなヤツと・・」

「誰がこんなヤツですって、遅刻しそうな人を起こしてあげたのは誰かしら?」

「で、一体全体どんな事件に巻き込まれたんだよ?数ヶ月も休学してたなんて、

それにしても、お前よく進級できたなあ・・」

「ん、まあそのうち話してやるよ・・・」

「そういえば、あたしまだ聞いてないわよ、その事件について・・・」

「そうよ、この推理バカのせいでどんだけ蘭が心配したと思ってるの?せめてどんな事件だったかぐらい教えなさいよ!」とすかさず突っ込む園子。

「いや、まあ色々と複雑な事情があってだな・・」

「事情ってねえ、あんた・・」

「まあ、いいじゃない無事新一が帰って来たことだしね・・」

「まあ、蘭がそういうなら仕方ないけど・・」

なお、なにか言い募ろうとする園子から逃げるためにとりあえず、席に座ろうと俺は自分の席を探したが・・

「おい、そういえば俺の席ってどこだ?」

「バカね、数ヶ月も学校来ないからあんたの席なんてないわよ・・」

「おぃおぃ、ちょっと待ってくれよ・・」

「あ、あそこに丁度空いてる席があるからそこ座ったら?隣は誰もいないらしいけど・・」

「マジかよ、あんな隅っこに1人で座ってなきゃならないのかよ・・」と愚痴をこぼす。

 

「そういえば、工藤知ってるか?」

「あん?何が?」

「実は転校生が来るらしいんだよ・・それも女子生徒だぜ!」

「ふ〜ん、3年のこの時期にねえ。どんなヤツなの?」

「さあ、噂ではなんでも帰国子女らしいぜ、めちゃくちゃ頭がいい子でさあ、なんでも向こうでは大学を卒業したとか・・」

「バーロ、なんでそんなヤツがこんな高校に転校してくるんだよ・・いい加減なこというなよ・・」

「でさあ、もしかしたらその子はさあお前を追いかけてきたかもしれないって思ってさあ・・」

「はあ?なんで俺を追いかけて来るんだよ、だいたいそんな知り合いなんかいるはず・・」

ここまで言いかけてある1人の人物のことを俺は思い浮かべた

(いや、まさかな・・そもそもアイツは19歳になるんだろ、いくらなんでも違うだろうな・・)

「おい!工藤もしかしてお前心当たりがあるとか言い出すんじゃないだろうな?」

「はぁ?い、いや、そんなわけあるわけないだろ、あははは・・だいたい、なんで俺を追いかけてくるんだ?」

「いや、うちの高校で有名なことと言ったら、高校生名探偵の工藤新一、お前のことぐらいしかないからさあ・・」

「あはは、そうかよ・・」

「ふう」と俺はため息をついた・・・

「ちょっと前にいたジョディ先生はなんかしらないけど突然辞めちゃっただろ、転校生が美人だったらいいなと思ってさあ・・

でも、その子がお前のファンとかだったら俺にチャンスが回って来ないだろ?だから心配になってな・・」

(ははは、心配するならもっと別のこと心配でもしろよな、しかしそのジョディ先生の正体も知らずにのんきなヤツだなあ・・)

てなことを話しているうちに先生が入ってきた、

「はい静かに、朝のホームルームの時間です、みんな着席するように。ところで今日は2つのお知らせがあります・・

1つ目は工藤君が無事3年生に進級できたこと、みんな盛大な拍手をどうぞ」、

笑い声と共に盛大な拍手が起こった、俺は「おぃおぃ」と思いつつもとりあえず苦笑いをするしかなかった・

「そして二つ目は、既に話は聞いてるかもしれませんがこのクラスに転校生が加わる事になりました・・

名前は宮野志保さん、さぁ、入ってきてね・・」

「げ!」と思わず俺は叫びそうになったが、かろうじてその声を抑えることに成功した。

蘭の方を見てみると、どうやら蘭も驚きを隠せないらしい、

教室に入って来たのはウェーブの赤みがかった茶髪、クールな瞳、まさしくあの宮野志保本人だった。

クラスの男子たちは思わぬ美人の登場に一瞬にして静まり返った・・

宮野が教壇の前まで歩いてきて、「宮野志保といいます・・」と相変わらずクールな声で簡単な挨拶をした。

「え〜と、席ですが、そうね、工藤君の隣の席が空いてるわね、じゃあ隅っこで申し訳ないんだけどとりあえず宮野さんの席はそこね・・」

宮野はつかつかと俺の隣まで来ると不適な笑顔を浮かべて「よろしくね」と言って俺の隣に座った。

これがこれから俺を悩ませる1年の始まりだった・・・

 

続く