午後のひととき
教室
おそらく生徒が最も眠たくなるであろう5限の授業中新一は暇をもて余していた。
そんなに暇ならノートでもとればよいものだが前日に探偵業のために徹夜で捜査をしていた新一は疲れていた。
かといって午前中の授業の間ずっと寝ていたため眠気はさほどない、しかし疲れのため新一は無気力感に襲われていたのである。
そもそも新一は今日は学校を休むつもりであったが蘭に強引に学校に連れてこられたというのが真相であった。
「ったく蘭のヤツ、せっかく人が家でゆっくりと休もうとしてたのに・・」
もとはと言えば徹夜で探偵業などにかまけている新一が悪いのであるが本人にそんな意識はない・・
ふと隣を見てみると志保が熱心に携帯をいじっていた。
てっきり志保のことだから暇つぶしに本でも読んでいるんだろうと思っていた新一には意外な光景であった。
「おい、何やってんだ?」
「何って、メールを見ているのよ・・」
「さっきからずっと?」
そんなに読むほどのメールがあるのかときいてみると冷ややかな視線が返ってきた。
「あっ、あのメールね・・」
「ええ、100通もあると読んでいるだけでいい暇つぶしになるわ・・」
「・・・悪かったな・・そういえばその後どうなったんだ?」
「ええ、おかげさまで一日10通ぐらいしか来なくなったわ・・」
もちろん感謝の言葉などではない。
(相変わらずかわいげのない女だな・・)
「あら、何か言いたそうね?」
新一の表情から何かしら察した志保が尋ねた。
「ああ、えーと、そのメールってどんな内容なんだよ?」
志保は無言で携帯を新一に渡した。
「え〜と、なになに・・「はじめまして宮野志保さん、一目姿を見て以来あなたのことが頭から離れません・・(以下略)」・・こいつバカか?」
「あら、かわいいじゃない・・」
澄ました顔で志保は答える。
「お前なあ・・他のメールもこんな感じなのか?」
「ええ、だいたいこんな感じね・・」
「はぁ〜、よくまあこんなメールを送る気になるなあ・・マジで頭おかしいんじゃねえか?」
「あら、こんな美人放っておく手はないんじゃないかしら?」
「・・・自分で言うなよ、自分でよ!ったくとんでもな・・・痛っ!」
突然志保が新一の足を踏みつけた。
「オメー何すんだよ!突然人の足踏みつけやがって!」
「先生が呼んでいるわよ・・」
いつのまにか先生に呼ばれていたようだ、俺は慌てて答えた。
隣をみると宮野は何食わぬ顔でノートをとっていた。
放課後
この日は蘭の部活が休みだったので新一は蘭と一緒に下校していた。
「ねえ、新一・・」
蘭が躊躇いがちに声をかけた。
「あん?」
「今日5限の授業の時・・どうしたの?」
「え、ああ、別にたいしたことじゃねえよ、ちょっとボーっとしててな・・」
「ふ〜ん・・で、志保さんと何話してたの?」
「え、宮野と?」
(ゲッ、なんでこいつ知っているんだ?)
「何よ、私に話せないことなの?」
「いや、別にたいしたことじゃないし、気にするなよ・・」
「そう・・」
蘭はこころなしか寂しげな表情を浮かべていた。
「ねえ、新一って志保さんと仲いいんだね・・」
「あん?俺があいつと?何で?」
「だっていつもよく話しているじゃない・・」
「そうかあ・・まあ長いっていえば長い付き合いになるからな・・」
「えっ、長い付き合いって・・?」
しまった思ったが既に遅かった。
「あ、いや、その・・あいつは阿笠博士の親戚すじだからまあ長い付き合いみたいなもんだよ、アハハハ・・」
我ながらめちゃくちゃないいわけだと思ったが今はそれで押し通すしかなかった。
「ふ〜ん、そういう意味なのね・・」
「え!」
あっさりと納得した蘭に新一は驚いたがおかげでなんとか切り抜けることができた。
「そういえば、もうそろそろ新一の誕生日ね・・」
「あ、ああ、そうだな・・」
蘭の方から違う話題を振ってくれたことに思わず安堵感すら覚えた新一であった。
「じゃあ、私が料理でも作りに行ってあげようか?どうせ普段ろくなもの食べていないんでしょ?」
「バーロ、それはうちの親のせいだよ、だいたい息子の誕生日にも帰って来ないし・・俺のこと忘れてんじゃねか?」
そこまで言うと新一はハックシュンと大きな音を立ててくしゃみをした、蘭が心配そうに風邪かと尋ねると
「う〜ん、最近忙しくて徹夜続きだったからな・・今日もオメーに無理やり起こされて学校に来るはめになったし・・」
そう新一が答えると蘭は呆れたように呟いた。
「あのね・・それは学校そっちのけで推理ごっこしてた新一が悪いんじゃないかしら?」
どうやら天下の名探偵の推理も蘭にとってはただの推理ごっこになってしまうらしい。
「まあ、それなら尚更推理ごっこになんかかまけていないでちゃんと学校に行って規則正しい生活をすることね・・」
「わかったよ、まあとりあえず事件も一段楽したししばらくはのんびりできると思うけどな・・」
「ああ、そうだ、せっかくだから博士達も呼んであげたら?いつもお世話になっているんでしょ?」
「博士達って博士と宮野のことか?」
何故突然そんなことを言い出すのか新一は不思議に思ったがあえて口には出さなかった。
「ええ、そうよ、大勢で食べた方が楽しいじゃない・・」
新一としては蘭と二人の方がよかったが蘭がそういうなら仕方がないと思って特に反対はしなかった。
「じゃあ楽しみに待っててね、腕によりをかけておいしいものを作ってあげるから・・」
「ああ、頼むから腹の具合まで悪くなるようなもんは作らないでくれよ・・」
「もう、失礼しちゃうわね・・」
「ははは、じゃあな〜楽しみに待ってるぜ」
そう言うと新一は蘭と別れて自分の家の方に向かっていった、別れ際に大きなくしゃみの音を残して・・
終わり
はい、無理がありますね。まあどう考えても新一の誕生日にわざわざ蘭が志保を呼ぶはずがありません。
明らかに不自然ですね(まあこのSS自体不自然な所だらけといういう話はおいておいてくださいね(笑)
しかしそうしないと次の話に志保っが出て来れないので、仕方なしということに・・もっとうまく書ける人なら
自然に話しを運べるんでしょうけどね、すいません。というわけで次の話は新一の誕生日での話です。