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「それじゃまず、何から話せば良いのかしらね?」

 

エリナは腕を組みながら、いつものように微笑を浮かべて、周囲を見渡した。

皆の何処か硬い表情に、あらためて、アキトのもたらした恐怖の度合いを知る。誰もエリナの問いに、答えようとはしないのだ。それだけ、憚られるのだろう。

考えることすら、拒否しているのかもしれない。

説明もなしに、あの状況に立たされれば、誰でもこうなるはずだった。

気持ちは、理解出来る。

だからと言って、認めようとも思いはしなかった。エリナにとって、その程度の事実でしかないのだから。

アキトはアキトでしかない。

誰よりも、エリナが知る事実なのだろう。

 

あの時、誰もがアキトの駆るエステバリスから放たれた閃光に、撃たれた、と目を閉じた瞬間、伸びた光はエリナ達ではなく横を擦り抜け、背後でヘリに襲い掛かろうとしていたチューリップの触手を、正確に弾き飛ばしていた。

それが、アキトの答えだった。

「………次はないと思え、エリー?」

言うと、機体をゆらりと動かし、即座にチューリップに対し、動き出していった。

さっさとナデシコにマスターキーを入れろ、と言葉を残して。

通信から届く声に、普段の少年の茫洋さを感じ取り、ため息を付いてしまったのをエリナは、確かに覚えている。

 

結局、アキトの援護により、ヘリは無事に艦へと戻った。

ナデシコは全ての機能を取り戻し、艦長の命令の元、敵の内部に潜り込んだ後、グラビティブラストを撃つことで破壊すると言う、無謀とも見える手段でチューリップを殲滅。

今では、艦内に残された多数の怪我人をトビウメへと移送しているところだった。あまりの数に、ナデシコの医療室では対応し切れなかったせいもある。キノコ頭も、しっかりと人数の中に入っていた。

怪我はないが、精神状態が不安定になっているらしかった。他の軍人にも、言えたことだったが。

 

そして、エリナは約束通りにこうして質問に答えるために、ブリッジへと来ている。

アキトは今ごろ、エステバリスに乗ったまま、トビウメへの威嚇を行っていることだろう。

移送にかこつけて、下手なことでもされたらもう、止められない。

艦外でトビウメに対し、睨むように佇んでいるエステは、言いようのないほどの強制力を持つはずだ。

何しろ、カノン砲を撃ち込んだのは他の誰でもない、アキトなのだ。もしもの時には、躊躇なく、引き金を引く。コウイチロウも理解しているのか、動きはまるで、見られなかった。

 

沈黙だけが、ブリッジに流れていた。

 

これでは、しかし、話が進まない。

こちらから切り出しても構わないのだが、何となく、アキトに対するクルーの拒否を感じ、エリナは少し、自身の機嫌が悪いことを自覚していた。

聞きたければ、聞きなさい。

答えるから。

視線で、言った。

 

聞きたいことは、ブリッジに集まる主要クルー達には、山のように溢れかえっている。しかし、突き詰めれば、アキトへと全てが帰っていくのだ。問いたくても、口に出し辛いとでも言えば良いのか、それとも、出すことで何かしらの災いが襲い掛かってくるのを、恐れているのかもしれない。

ユリカを初め、ルリ、ミナト、メグミ、ゴートとプロスぺクター。どういう訳か、ホウメイとウリバタケに、ヤマダまでもが、難しい顔をして立ち竦んでいた。

いや、違う。

ルリだけは落ち着いているようにも、感じられた。

 

「何から聞けば良いのかも、わからないんです、エリナさん」

ルリは、ユリカの隣からエリナの近くへと移動すると、顔を見上げるようにして、言った。

皆の気持ちを代弁するかのような物言いに、誰もが頷きを見せる。

尤もな話だ。

何から聞けば良いと言うのだろう。

理解不能なことなのだ。

わかろうとしようとしても、何処から理解し始めれば良いのかを、まず先に考えざるを得ない。

「そうね………。だったら、さっきの火星の話の続きからで良いかしら?」

エリナは、肩を竦めるように、言った。

両腕を組んでいるせいか、胸がこれでもか、と言うくらいに強調されている。

意識してはいないのだろうが、深い微笑と伴い、妖艶さを醸し出していた。

「はい。皆さんも、それで構わないと思います」

振り返りながら、クルーの顔を見渡す。異論があるはずもない。ユリカにいたっては、何度もルリに頷き返していた。

もしかすれば、気詰まりなこの状況に、困っていたのかもしれない。

 

「アキト君が火星出身だって言うのは、艦長も皆も知っているわよね?何しろ、艦長のお隣さんだったらしいから。…………問題はそこから後、よ」

「戦争が始まった後、ですね?」

ルリ。

鈴が転がるような声で、エリナに答える。

必死に、聞き漏らさないように耳を傾けているその仕種に、微笑ましさすら覚えてしまう。

少女と呼ばれるのは、このようなひたむきさを持ち合わせている女の子のみが、手に入れることが出来るのだろう。

何とも言えず、可愛らしい。

「そうね。アキト君はその時、五歳。どんな状況だったのか、私には理解すら出来ないわ。アキト君自身にもその頃の記憶なんて、殆どないに等しいらしいしね。でも、彼は一人で生き抜いてきた…………」

「それは、我々も理解している。我々が知りたいのは、テンカワが何故あれほどの戦闘力を持ち、あのように変わるか、だ。火星にいたからと言うだけであのようになる訳ではあるまい?」

ゴートが、口を挟んだ。

職種上、どうしてもアキトの力が気になってしまうのかもしれない。

性格なのか、何なのか、詰問しているかのようだ。口調が、荒い。

「変わる?」

エリナは、聞き返した。

「そうだ。顔にあのような紋を浮かび上がらせ、腕まで形を変える。あんな化け物が火星にいたと言うだけで生まれてくるとでも言うのかっ!?」

叫びに、ブリッジが震える。

しかし、皆の眼は、別のことに驚愕した。

エリナが、微かに身を屈めるようにし、スカートの裾の方へとゆっくり、手をやる。手繰り寄せると、内から小型の銃を、瞬時に取り出した。

狙いはゴート。

躊躇いもなく、真っ直ぐに向けられた。

虚を付かれたのか、ゴートは対応しきれていない。

ルリですら、動きを止めた。

 

「化け物…………。その言葉、次は許さないわよ?いくらあなたでも、この距離なら私は決して、外さないわ?」

 

エリナの瞳に、静かな怒りが見えた。

本気だった。

 

「エリナさん…………」

ユリカが、小さく呟く。

 

「あれは、ナノマシンよ。極端なことを言えば、そこにいるエステバリスのパイロットや、ルリちゃんの持つIFS用のものと同じ。ただ、違うことはアキト君のものは通常のそれとは違い、独自の形態を持っていると言うことだけ」

エリナは、ゴートに向けた銃を下ろすことなく、ちらりと視線をヤマダにやった後、話し出す。声はゆっくりと、ブリッジに漂った。

「ナノマシン……………。あれが?」

ミナトが、首を傾げた。

疑問を持つのも、仕方がない。

ミナト達が理解するナノマシンとは、あくまでも己のイメージをコンピューターに伝えるためのサポートであり、アキトのように能力が変化するものではなかった。

「そうよ、あれもナノマシン。アキト君の感情、心、イメージに即座に対応しようとする、ナノマシンでしかないわ。火星でも、アキト君以外、そんな人は誰もいなかったそうだけど」

エリナは、答えた。

「じゃあ、アキトはどうして?」

ユリカだった。

誰もが思った、疑問だった。

「さぁ、わからないわ?調べようにも、アキト君が了承してくれないしね?それに今は、私も別に知りたいとは思わないもの」

どうにかしようものなら、命をかけてアキトと相対することになる。

エリナは、嫌と言うほどに、理解していた。

ましてや、現状において、知りたいとも本気で思っていない。

アキトはいる。

十分だ。

気持ちを、片手に握り締めた銃に込める。

 

「おいおい、物騒だな、エリー?………何やってんだ?」

 

その時、声が響いた。

もしそうだとしても、この少年だけには言われたくない。

突然、エステから通信が開かれ、ウインドウがブリッジに広がる。呑気に頭を掻いているアキトが、欠伸とともに映し出された。

余程、暇だったのかもしれない。

伝わる雰囲気は、何処までも呆けていた。

先程のアキトと、本当に同一人物なのか疑いたくなってしまうくらいだ。

 

拍子抜けしたかのような、クルーの表情。

ルリが小さな微笑を浮かべたことに、誰も気が付かなかった。

 

「アキト君…………」

物騒。

言葉に何かを感じたのか、エリナは銃を下ろした。苦笑しながら、アキトに向き直す。

「ほとんどこっち、終わったみたいなんだが、戻っても良いのか?」

のんびりだ。

軍の怪我人の移送も終了したのか、言った。

 

クルーの状況を、まるで気にもしていないらしい。アキトらしいとも思うが、察してくれても良いのではないのか、と心の内で考えてしまう。エリナには、例えアキトが獣であったとしても、自分の知るアキトだった。

手間がかかる。

 

「はぁ………………」

ため息が出た。

 

「お〜い、エリナ。戻っても良いのかって聞いてるんだぞ?」

間延びした声を、かけてくる。

「聞こえてるわよ…………。ったく、こっちの苦労も知らないで。さっさと戻ってらっしゃい、アキト君?」

エリナは、片手をひらひら振り、言う。

様子に、ユリカを含め、誰もがエリナの抱える苦悩を、少しだけ理解した。

一体、うら若きこの女性は、誰のために銃までも抜いていたの言うのか。

「何か、機嫌悪いな?嫁の貰い手がなくなるぞ?」

「あのね……………」

「それでなくても、寸胴なのに」

関係あるのだろうか。

 

「おいおい……………」

ウリバタケが、苦笑する。

微塵も感じぬ恐怖。何を、恐れていたのだろう。

 

「………寸胴………。寸胴ですって〜〜〜〜〜〜〜っ!!上から87、57、85のこのプロポーションの維持にどれだけ苦労してると思ってるのよっ!!」

ものすごい勢いで、怒鳴り声を上げた。

「見たことないから、知らん」

簡単なものだ。エリナが目の前にいないからこそ、楽に思ったことを口にしている。後でどうなるのか、までは考えていないらしい。

うけけけけけ、と訳のわからない笑い声を撒き散らしていた。

「見てない……?着替えしてた私の下着姿を、しっかり見たのは何処の誰よっ!!」

良いのだろうか。誤解を招きかねない言葉だった。

ユリカの肩が、大きく跳ね上がる。

聞き逃す方が、無理なくらいの大声なのだから、仕方がないのだろう。

 

「更衣室を間違えただけだろうがっ!!大体、鍵もかけないほうが悪いだろうっ!!」

「普通は間違えないわよっ!!おっきく女子更衣室って書いてあるんだから。わざとじゃないでしょうね?」

「ひ、人を変質者扱いするな〜〜〜〜!それを言うなら、人の部屋に勝手に入り込んでるエリーの方がよっぽど酷いだろうに!俺はちゃんと鍵を閉めてるぞっ!」

「仕事よ、仕事っ!アキト君こそ、誤解を受けること言わないでよね?好きでやってると思われるでしょう!?」

「自分用の湯のみまで用意しといて、良くそんなことが……………」

「アキト君の部屋になんもないからでしょうがっ!!」

「人の部屋に文句つけるなっ!良いだろうが、必要ないんだからっ!!」

「私には十分必要でしょうがっ!!」

理論も何も、関係なくなってくる。

感情の高ぶりだけが、そのまま言葉に変わっていた。

 

何なのだろう、この二人。

あまり、考えたくはなかった。

クルーは、全員で顔を見合わせ、ため息を付くと自分達の持ち場へと戻っていく。ユリカまでもが、同様に。ルリは、くすりと笑った。

ウリバタケとホウメイは、軽く首を振りながら、ブリッジを出る。呆れているようだ。

異論はあるまい。

これでは、痴話喧嘩だ。

 

「喰らうぞ、エリーっ!?」

「やってごらんなさいよ。私はアキトがエリーと呼んだ女よっ!!」

 

睨み合う。

互いに互いの場所で、触れ合いそうなくらいに、コミュニケに顔を近づけていた。

さらに、唸った。

 

ウインドウが閉じられ、エステバリスとの通信が切れる。

エリナは、手に持った銃の遊底を僅かに引き、チャンバー内に初弾が装てんされているのを隙間から確かめると、ブリッジから走り出した。

誰も、止めるものはいない。

 

扉が、閉じられる。

静かに、エリナが巻き起こした風だけが、流れた。

 

静寂。

 

「テンカワさんは、テンカワさんだってことですよね?」

ルリの言葉に、皆が頷きを返しながら、苦笑する。

その通りだ。

恐らく、格納庫は忙しいことになるだろう。

何となく、想像がつく光景だ。

 

 

 

 

 

うやむやの内に、時が過ぎた。

ただ単に、呆れ返っていただけなのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動戦艦 ナデシコ IF

〜昨日よりも もっと 優しく〜

第三話 A パート

 

By かすい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な〜に、まだ怒ってるの、アキト君?」

 

エリナは、アキトの部屋にノックすることなく扉を開けて入ると、開口一番、いきなり言った。相変わらず、鍵は持ち続けているらしい。

逞しい、とでも言えば良いのか。

かつて、ブリッジで大喧嘩をしたことは、既に記憶にはないのかもしれなかった。

違う。

覚えてはいるのだが、気にはしていないのが、本当のところだろう。

そうでなくては、アキトにこのような言葉は出て来ない。

もう、どれくらい口を利かないでいるのか。

指を折りながら、エリナは考えた。

変わらず暇が出来ると、アキトの部屋に来てはだらけているのだが、互いに話すこともなく、時間だけが流れていくのが、ここしばらくの過ごし方だった。

アキトは寝ているし、エリナは本を読んだりしているし、だ。

ある意味、穏やかなような気もする。

平和であることを思うと、正解なのだろうが。

 

アキトは、ベットに寝転がっている。

背を向けて、エリナの方を向こうともしなかった。

 

「あんまりしつこいと、本気で私も怒るわよ?」

エリナは、腰に手を当て、アキトを覗き込むようにして言う。

今まで、怒っていなかったらしいが、とてつもなく疑わしく感じるのは、何故だろう。性格を少しでも理解してしまえば、誰でもそう思う。

 

静かに、風が漂った。

 

「あのな〜〜〜〜っ!」

いきなり、アキトが身体を勢い良く、起こした。

「あら、起きた?」

にこり、と笑いかけると、気にする風でもなく答える。

「格納庫で人を見るなり、銃をぶっぱなされて、怒るなって言う方が無茶苦茶だろうがっ!!」

尤もだ。

「当たらなかったんだから、良いじゃない」

「避けてなかったらしっかり当たってたぞ、エリー?」

頬を引くつかせながら肩を震わせて、アキトは言った。撃たれていたのなら、場所によっては、確実に死んでいたのだ。

怒るな、と言う方が無理だ。

ましてや、全弾撃ち尽くすとエリナは駆け寄り、思いきりアキトを殴り飛ばしていた。

自分は正しい。悪くない。

アキトは、エリナに睨まれ気弱になりそうになる心を、必死で叱咤した。

ここで負ければいつもの如く、だ。

 

「…………わかったわよ。謝れば良いんでしょう?…………ごめんなさい、やりすぎました。………でも、アキト君があんなこと言うから」

むくれている。

余程、頭を下げたくなかったらしい。

すぐに反論しようと、言葉を続けていた。

「わかった。そのことについては、俺も謝る。…………すいません。言い過ぎました。これでいいか?」

アキトは、掌でエリナを遮ると、今度は自分が謝罪する。

そうしなければ、収まりはつきそうもなかった。

確かに、言わなくても良いことまで、言ってしまった。

後にルリが教えてくれたのだが、エリナは自分のためにゴートに銃を構えたらしい。

テンカワさんも言い過ぎです、とはルリの弁だ。

その通りなのだろう。

 

間。

 

互いに、吹き出した。

 

「まったく、何をしてるんだか……………」

エリナは、ベットに腰掛ける。苦笑しながら、口にした。一体、何を自分達はしているのだろうか。妙に、不思議な気分だった。

それは、少年にとっても同じ様子だ。

アキトはごろり、と横になり直すとそっぽを向いていた。

 

「んで、何か用か?」

 

掛かる声に、エリナは微笑を浮かべ、背を向けているアキトの髪を撫でてやる。

行為にあまり、意味はなかった。

ただ、したかっただけでしかない。

アキトの髪は、触り心地が良かった。

「別に、たいした用事はないんだけど、ね?………艦長が来週、新年になったら軍に連絡をいれて、ビックバリアを解いてもらうようにお願いするって言ってたわ」

言った。

ナデシコが宇宙へと出るまでに、まだまだ越えなくてはいけない山が幾つもある。

先に不安だけを持つことは愚かでしかないが、対策を練ろうとすることに、無駄はないはずだ。ユリカがそこまで考えているのかはわからないが、それはそれでいいのかもしれない。

 

緩やかな風が、揺れていた。

 

「そうか、後一週間で一月一日ってやつか?」

茫洋と言う。エリナの手を払いのけるでもなく、させたいようにさせていた。

何を言ったところで、聞きはしまい。

そこは、理解している。

嫌な気分は、しなかった。

「そうよ、ちょうど後、七日。前はテスト施設だったから、新年なんて気がしなかったんじゃない?」

何しろ、外には出れないのだから、あの場所は。

「ここだってそんなに変わらないだろう?戦艦なんだし」

「そうでもないわよ?艦長、いろいろ考えているみたいよ?………カルタ取り大会とか、福笑い大会とか…………」

 

ユリカは、良く理解できなかった。

アキトにとって、幼馴染ではあるらしいが、既に種が違うとしか思えないほどに。

ことある毎に、昔の話を持ち出してくるが、何も思い出すことはない。

ただ、おかしな娘ではある。

思った。

しかし、カルタに福笑いとは何のことだろうか。

 

「俺には、良くわからん………………。ほら、俺はもう寝る…………。今日のこれからの待機はあのヤマダとか言う奴だ。静かに寝させろ」

言うと、エリナの座る反対の方から掛け布団の中へと潜り込んだ。エリナがいるサイドは、しっかりと尻で押さえられている。動きようがない。

言えば殺されるし、自分は疲れている。

実際、今日は今まで働いていたのだ。

眠い。

着替えすらも、していなかった。

「もう寝るの?」

エリナ。

ベットから離れる。何処か、つまらなそうだ。プロス辺りが聞けば、驚くかもしれない。仕事の時とは、あまりに違いすぎた。

 

「寝る。…………出るときは、部屋の電気、消してけよ?」

欠伸をしながら、答える。

既に、眼を閉じていた。

「私もさっき、ミナトと操舵、代わったばかりで時間あるのよね〜〜〜〜。まぁ、いいわ。私も眠ることにするわ」

「そうしろ」

これで、静かに出来る。心の中で安堵しながら、変に引き際が良いことに一抹の不安をアキトは覚えた。

何か、企んでいる。

火星で生きてきた、戦士としての感が告げていた。

まして、相手はエリナだ。

 

もそもそ。

冷たい空気が、あたった。

ぽふ。

動きが伝わってくる。

 

「……………………………………………おい」

「………………何?」

「何、じゃねぇ。何で人のベットの中に入り込んでる?」

「いいじゃない、別に。朝になったら、自分の部屋に戻ってちゃんと着替えるわよ?………狭いわね?もうちょっと、そっちに寄ってくれる?」

「ん…………。じゃなくて、そういう問題か?」

「そういう問題よ。…………おやすみ」

 

エリナは、アキトの枕を引っ張り、自分の方へ寄せると、強引に頭をのせる。ベットは一人用で、二人で使うには小さい。横を向いて寝るしか、方法はなかった。

背中を向けたアキトの髪が、鼻を擽る。

うなじ辺りに、顔を埋めた。

何処か、子供のようだった。

 

はて。

何かが、違う。

言い包められているような、そんな気がする。

思いながらも、アキトは好きにさせることにした。

わざわざ、エリナを連れて行くのも面倒ではあったし、自分も疲れている。

睡魔には、勝てそうもなかった。

背中に、エリナの温もりが伝わってくる。

 

「まったく、何をやってんだか…………」

呟きに、獣の面影はない。

 

「…………うるさいわよ、アキト君…………ねむねむ」

「…………俺の部屋なんだが」

 

 

 

 

 

十二月二十五日。

クリスマス。

 

 

ゆるりと、夜は流れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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かすいです。

 

はて、いきなり話が変わったような……………?

第三話Aの割に、話がまるで進んでないぞ?

エリナさん、さらに変化?

困った、どうしよう?

こりゃ、逃げるしかあんめ〜〜〜〜?

 

感想、まってるです。

 

では、またの機会に。

 

 

 



艦長からのひとこと。

はい、かすいさんの投稿です。

エリナさーん!
可愛いよぉ、マジで(笑)
でも、このタイプに惚れられて、裏切ったりしたら・・・
命狙われますぜ(爆)

さあ、ナデシコの新年が見たいんだったらメールだ!


PS:艦名、よろしゅおますか?(笑)

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