【Hsu様の体験談】
犬の足音
一人暮らしをしていた頃の、ある冬の寒い朝。
日の出前に私はある足音で目がさめた。
廊下に続く扉の向こう側で、
犬がツメをカツカツいわせて、今まさに座ろうとしている。
その足音。
でも、なかなか姿勢が決まらないらしく、立っては座りを繰り返している。
布団の中で、それをボーっと聞いていた私。
でも、私、犬なんて飼ってないんだよね。
夢じゃない事を確認する為、私は体を起こし、深呼吸をして扉を見つめた。
たしかにその向こう側では、カツカツいっている。
トイレにも行きたくなったので、私は起きて扉を開けた。
やっぱり何もいない。
気のせいなのかと思い、トイレから帰ってきて、さっと布団をめくったら、
犬の、あの毛のにおいがブワーッと広がった。
でも、それは憶えのある匂いだった。
私は少し眠ってから、実家に電話した。
「ねぇ、ジョン君が来たよ」
「昨日こっちで言ってたんだよ。
こんなに話してるんだから出てきてくれてもいいのにって。
やっぱりおまえの所に出たか」
「でもなんで来たのかな?」
「なんだ、今日はお彼岸じゃないか」
そう。1ヶ月前に18歳で大往生した犬のジョン君だったらしい。
そういえば座り心地を気にする神経質な犬だったかも(^^;
でもなんで部屋に入って来なかったんだろう?
それと姿は見えなくて、音と匂いだけっていうのは・・・不思議。
私だけ彼の臨終に間に合わなかったから来てくれたのかな(^-^)
うれしい。ええ犬やった。ううう。
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