4-1. どうすれば麻雀で勝てるのか聞きたいんだけど

 と昔、稀〜に聞かれることがあった。
 優しく教えてくれるとでも見えたのだろうか。
 その時の彼は大学生風。とはいえ私も一応学生だったのだが。
 以下は私が大学生の時、2度休学して(辞めたはずだがなぜかこの扱いだった)麻雀で必死こいた一時期からの話になる。
 麻雀に根ざした生活の中ではかなり稀な部類(他人に語ることは無い)で、故に覚えている事を書いているが、勿論会話は一語一句同じではない。
 また文章が下手なため2人のやり取りに不自然さを感じるかもしれないけれど大目に見て欲しい。
 内容と話の展開に間違いはない。
 自慢話に感じるかもしれないが、
全然自慢になってない所を確認しつつ読んで頂きたいと思う。
 麻雀打ちなんてこんなもんだと見てもらって構わない。
 所詮、駒なんだという意味で。
 (こんな風に書くと現役から何か言われそうだし時代が違うんじゃないかと言われそうだが、納得できるよくある内容ではないかなと思う^^)
 マンガみたいに格好いい話は普通、無い。

 本文に入る。
 雀荘から出てきてふらふら歩いてる時に捕まえられたところである。
 不意打ちをくらったので警戒する。ろくなもんじゃない。

さて、私はこんなふうに答えたと思う。
「ツモってキってりゃ大抵うまくいくもんだよ」
彼:「・・どうすればそういう風に勝てるのか聞きたいんだけど」
私:「あれっ?勝ってるかなあ」
彼:「ここ何週間か見てたから知ってるんですよ」
私:「ふ〜ん・・で?いくら出すんだ?・・もう一万ぐらいしかないんだろ?」
彼:「・・・」
私はこういうときはとってもイヤな奴である。
だって一万残して理由無く勝負場から逃げてきて教えてくれっていう人間、この先やっていけるわけないもの(^^;)
どうして一万なのかは囲んだとき彼が財布を使ってたところからわかり、このことは彼がバカ正直であることを指し、先に一万差し出して話を聞き出そうとする頭もないので、向いてないと思う。
才能とかそういうものでは決してなくて、彼は人を甘く見、目の前の人間すら理解しようとせず、どういうわけか自分を高くみている。
いや高くみることは良いことなんだけど立場をわきまえず高いところにいる。
彼は彼なりに真剣だったのかもしれないがこういう風に雀荘の外で付きまとわれるのは迷惑である。
が、基本的にこういう人は私に似ていて哀れだな(^^;)と思ったので一緒に飯を食うことにした。
困ったときに飯を食うのは私のクセ。

そこで彼は自分が如何に麻雀が好きであるか、麻雀について分析したか、仲間内では負けたことはない、しかしどうしてリーチ(フリー)じゃ勝てないのか、などをとうとうと喋り始める。
喋りたくて仕方ないところなどますます私にそっくりだ(^^;)
黙って聞いてるうちにだんだん腹が立ってきたが妙に懐かしくて心地よくて
私:「仲間内で勝てるんだったら勝てるとこでやりゃいいんじゃねーかなー」
彼:「勝てない勝負はするな、ってことですか?」
私:「そうだね」
彼:「だってそれじゃ格好悪い」
私:「あはは、こんなの格好悪いことだらけだよ」
彼:「そんなことないでしょ。だって現に・・」
それから彼は麻雀打ちが如何に格好良いかということをとてもドラマチックな物語を添えて喋り始めた。
彼はとっても幼く、一緒に囲んだ人間にはまるで目もくれない。
つまり麻雀に対して平常心を失い、認識力が低下しているように思える。
この辺りになるとだんだん嬉しくなってくる(^^)
こいつは何見て喋ってるんだろう?
彼:「俺、運を信用したくないんです」
私:「いいんじゃないかな」
彼:「牌効率に沿っていけばうまくいくはずなんです」
私:「全然間違ってないと思うよ」
彼:「でもそれじゃ、あそこで勝てない」
私:「・・・」
彼:「それで何か知ってるんじゃないかと思って声かけてみたんですよ」
私:「あはは。知ってるように見えたか。・・じゃあそろそろ話していいか?」
彼:「・・お願いします」
私:「・・お前と囲んだ2回目の半荘でお前の対面の、、中華丼喰ってたおっちゃん。南1局、早いおっちゃんリーチにお前オリたろ」
彼:「あー、あれはチャンスじゃなかったから。俺、1つの半荘で最低2回のチャンスが来ると思ってるんですよ」
私:「そんなもん喋ってんじゃねんだよ。おっちゃんのリーチ、ありゃたぶんハってねえ」
彼:「・・・?どうして?」
私:「知らん。でな、その2巡後におっちゃん追っかけてお前の上家がリーチしたろ」
彼:「ええ。やっぱりチャンスじゃなかったって思いました」
私:「で、お前なんで振らなかった?」
彼:「だからオリてたんだって」
私:「そうじゃねえって言ってんだろう。あん時の上家のリーチは危ねえんだよ。なんで俺に振らなかったって言ってんだよ」
彼:「・・何ですか、それ?」
私:「・・そういうことなんだよ。お前の麻雀にゃ基礎がねえんだよ。まずな、お前には『イク』『オリる』の2つしかねえんだよ。それとな、おっちゃんの気持ちぐらい感じなきゃダメだ」
彼:「わかんねえ・・」
私:「おっちゃん情けねえよ。俺ら若い奴に『後は何とかしてくれ』だもんな。・・んーでもな、あそこは俺らが何とかしなきゃならなかったんだよ。まだわかんないか?」
彼:「じゃあ何?俺とあんたが結託すれば良かったの?」
私:「いいかお前、1人で麻雀打ってると思ってんだろ。お前が居て、敵が3人いて麻雀になると思ってんだろ」
彼:「当然でしょう。俺は俺のためにしかやる気はない」
私:「自分のために一旦協力すんだよ。ほんとバカだな」
彼:「・・・」
私:「覚えられるかどうか知らんが教えてやる。麻雀はトップとそれ以外の戦いだ。トップしか浮かない。この原則があるから信頼が保てんだよ。いいか、トップは1対1じゃ無敵なんだ」
彼:「じゃあ、あの時の状況教えてよ。あの時はおっちゃんがトップだったはずだろ」
私:「仕方ねえから教えてやる。どっかで会ってまた荒らされんのはイヤだし な。 あん時(南1局)、点棒は確かにおっちゃんが一番持ってた。でもおっちゃんの東1局の親番がまずかった」
彼:「親マンツモっただろ?何がまずい?」
私:「アガリもまずかった。前の半荘からの続きで・・そうか、お前は流れも見ようとしねえよな。でも聞いとけ。おっちゃん、前の半荘の尻尾みたいなやつだけでアガっちゃったんだよ。何にも工夫しないでアガっちゃったんだよ。おっちゃんも分かってるはずだけど、あれはミスなんだよ。それでその後おっちゃんは眠らざるを得ない状況に陥る」
彼:「運か・・」
私:「・・悪ぃが続けるぞ。そういう訳でだ、親番は結局どうやって流れた?」
彼:「俺が満ガンツモって流した」
私:「そう、そしてその点棒はあっさり無くなっていく」
彼:「仕方ないでしょう。事故はあるもんでしょう」
私:「お前さっき1半荘にチャンスは最低2度来ると言ったなあ。じゃあ他は何回事故が来てもいいのか?」
彼:「・・そういうこともある」
私:「まあ、いいか。お前に分かりやすく点棒でいったのがバカバカしかったな。とにかく、上家に有利な条件はお前が与えたんだということは知っておくべきだ。もちろん俺にも責任はある。その上でだ、普通なら横一線でもおかしくない東4局、上家がアガる。」
彼:「たしか・・ツモだったか」
私:「ツモだ。お前鳴いたよな。いや、でもそれはいい。お前がこの半荘のカギを握っていたんだから、一歩抜けるのは一応3人にチャンスがあった」
彼:「なんで俺がカギなの?」
私:「お前をどう使うかが焦点だったんだよ。負ける奴を作っておくのが1つのパターンなんだ。そして上家はうまく使えていった。いや、あのおっさん(上家)は上手かったと思うよ。上手いね、あの人は。 で、南1局だな」
彼:「聞いてると俺が勝負に入ってないみたいだけど」
私:「あ〜、仕方ないねえ。同じ土俵には立てないんだよ。たぶん皆そう思ってたと思うよ」
彼:「・・・」
私:「いや、俺もよちよち歩きなんだけどな。まあ、続けるぞ。 南1局、上家が出てくるのは俺もおっちゃんも分かってたと言っていい。つまりこの時点でトップが出現してだな、それが上家なんだ。点棒の話じゃねえぞ。そこでおっちゃんは面倒になったからか早い巡目でノーテンリーチしちゃう。さっき言わなかったけど何でノーテンじゃないかってわかるのは、そんなテンパイ有り得ないからなんだ」
彼:「・・・」
私:「おっちゃんは情けないけど、お前を信じられないからノーテン早リーチで上家を少しでも惑わそうとしてる。流局も有り得ないから、おっちゃんの流局チョンボは無い。もしおっちゃんがホントにハッてたとしてもアガリはないよ。アガリ牌は上家が持ってるか王牌に近いとこに眠ってるか、もしくはオリたお前が持ってくんだからな。そして俺はテンパイを崩せない、、お前の俺への振り込みを信用するしかないからな」
彼:「なんで言い切れんの?」
私:「状況をちゃんと把握すると、何も障害が無ければ上家がアガるのが当然なんだ。もう、止まんないんだよ、お前の協力なしじゃ。で、おっちゃんはお前に期待できないから1人で勝手にやっちゃって俺にその役を渡しちゃった。んー、つまりおっちゃんはもう諦めたんだね。いい歳したおっちゃんが諦める、普通の麻雀じゃ有り得ない。お前は何でそんな意味不明な事までおっちゃんがしなきゃいけないのか何も感じてない。あの麻雀はちょっと意味があったんだよ」
彼:「ちょっと待ってくださいよ。事情は知らない。けどリーチして諦める?だったら、あんたとおっちゃんが組めば良かったんじゃないの?」
私:「ダメだね。あくまでお前が焦点なんだよ。お前が生きない限り、ダメなんだ。言っとくが俺とおっちゃんはいつでも組む準備はあったよ。でもおっちゃんはお前が信用できなかったんだよ」
彼:「・・・」
私:「もしおっちゃんが上家の立場だったとしたら、俺らはおっちゃんを3人で阻止しに行かなくちゃならない。 トップって意味、わかるか?」
彼:「じゃ、もしあの局面で俺があんたに振り込んだならどうなってた?」
私:「さあね。あそこまでいってると上家有利は揺るがないかもしんないけど、展開に面白味ができてくる。何でかっていうと、お前が生きたことをおっちゃんと上家が意識するからなんだ」
彼:「・・でもなあ、トップ対ほか3人の構図は分かるような気がするけど、やっぱり運だの流れだのは・・」
私:「・・無くていいんだよ。運や流れなんてのは仮定の話で、フォームに組み込む上で便利だから使ってるだけなんだよ。人が絡んでくると確率が大きく揺らぐってことじゃないのかな、と適当に思ってる」
彼:「牌効率はどう?意味ないのか・・」
私:「あはは、バカだねえ、ホント。このまま美味く育てたいくらいだよ〜。でもお前とはもうやりたくないから言うけど、牌効率も知らない人間が勝ち組に入るなんて無理な話だよ。 よく考えろよ。南1局、結局上家のアガリはどうだった?」
彼:「・・ツモアガリ」
私:「バカ(笑)。そりゃ当たり前だ。麻雀好きなら覚えてんだろ。捨て牌と手牌、上家がどういう手順でアガりに向かったか。そして待ちはどんな風になってた?」
彼:「・・(みなさん、想像してね)」
私:「うん。わかりやすいんだよ。この先どんどんあんまり考えなくてもいい配牌になっていくっていうのまでわかるか?そこが大事で、考えなくてもいいってのがつまり、1つは牌効率に沿うことなんだ。牌効率通りに進むのならもう上家は無敵なんだよ。もっと先は一層アガれるように出来てくる。そしてお前が役に立たないからどうやっても・・」
彼:「わかったよ。そうなったらダメなんだろ。確かに上家は半荘トップだったよ」
私:「次の半荘もな。ひっくり返そうと思ったらやるこた1つなんだよ。でも出来ないのが分かったから俺はそこで止めなくちゃいけなかった。あいつ(上家)は巧いよ。1度取ったアドバンテージを絶対に譲らないで攻めきってる。定石だが、拍手もんだよ。 んー、こんなところでこの話はいいよな?」
彼:「・・・」
私:「は〜、ところでお前、誰に一番負けてんのか分かってるか?」
彼:「・・俺自身って言いたいんでしょ・・」
私:「オ〜イ、かっこいいな。でもそれだけじゃねえんだよ。お前を一番カモにしてんのは雀荘なんだ。」
彼:「・・雀荘が金取んの当たり前でしょ?商売なんだから」
私:「商売!じゃあ、お前がやってるのはなんだ?」
彼:「勝負する場所がなけりゃ困るんだから金出すのが当然・・」
私:「まあ、当然としようか。で?お前は何をしたんだ?勝負できたのか?」
彼:「・・・」
私:「遊びにきたんだよ、お前は。金払ってゲームして、それで終わり。優しくしてくれんのが雀荘なんだよ。で、それが悔しくてまた来る。身内の金握ってな」
彼:「身内じゃないよ。他で勝った金で来てる」
私:「(笑)どうしようもないねえ。囲んだ人間だからわかるがお前は自分で生活の金出しちゃいないだろ?親の金だ。あんなんじゃやっていけない。そして学校の仲間から奪った金は自分で稼いだ金だと言う。お前は一生懸命身内を喰いちらかして生きてんだよ。・・死ぬときゃ周りもミチヅレだねえ」
彼:「・・格好悪いな」
私:「そうだね、格好悪い。身内を喰うってのは下手な奴がすることだ。身内は何だかんだ言ってもお前のために金出すんだよ。」
彼:「・・・」
私:「勝てるとこでやりなー。セット(仲間4人で打つ)でいいじゃねえか。麻雀、遊びでやれよ。その方がたぶんお前の言う『格好いい麻雀』になる。 こりゃ親切心だよ・・どうかしてっかな?親も健在みたいだし美味しくなったんだがなあ(笑)」
彼:「・・でも、、もう少しやってみるよ。あそこ行けば居るんでしょ?」
私:「頼られても何もやってあげないよ。それに俺はもうあそこには行けない。たぶんおっちゃんももう来ねえんじゃねえかなあ。」
彼:「・・俺のせい・・?」
私:「さあねえ。いろいろあんだよ」
彼:「・・・」
私;「とにかく、リーチ(フリー)は止めといた方がいい。基礎がなくちゃ話にならん。基礎、作る金ももうないんだろ? セットでやっとけ。麻雀はコミニュケーションツールにしとくのが一番だよ。」
彼:「俺じゃ勝てないってこと?」
私:「今のままじゃ2ヶ月持たないね。いいか、勝負ってのは一瞬で殺されることがある。でもな、お前自身はゆっくり死んでいくんだ。ゴッチャにしちゃいけない。自分でも気づかないうちに死にかけてる。これが一番怖いんだよ。生活のリズムは、もっとずっとゆっくりなんだよ」
彼:「・・・」
私:「運なんか深く考えんなよ。考えてどうなるもんじゃないって考え、それでいいんだよ。今のままでいいじゃねえか」
彼:「・・でも運を知らないと勝てないんでしょ?」
私:「・・わからん。だけど運ってやつはやっかいでな、普段からカウントするクセがないと役に立たないんだよ。ゴッチャにする危険が多いんだ。 もしそれでもやりたいんだったら、、まず、周りを見ていけ。その中で自分の役割を見つけていけばいい」
彼:「役割?」
私:「・・て、、わかんないよなあ(^^;)自分中心から見える世界は思ったより小っちゃい、と思う。俺がそうなだけかも知らんが。 まあとにかく役割を見つけることで、運っていう不確かなものが自然に見えてきたりする。むしろ無きゃ困るようになってくる。そういう風に、見て行け。穴ができにくくなる」
彼:「・・あんまり格好いいもんじゃないな」
まだこんな事言うんです、この人^^;
私:「俺な、運や流れをどうこうできるつもりなんてないんだよ。逆にそういう奢りはマズイと思ってる。このまま運なんか簡単に受け入れたらお前はきっと奢っていく。俺も運なんて信じたかないんだ。あの概念には手順がないからな。流れにゃあるけどね。そして手順を大事にしない奴に強者はいない。あはは、これ、確かだよ」
彼:「間違ってるかもしれないけど牌効率と同じように見ていいのかな」
私:「うん、いいんじゃない(苦笑)。結局、難しいのはいつだって人間なんだ。そう思わないといけないのと同じじゃないかな(もうどうにでもなれ〜)。
   
・・・今何時だ?」
彼:「○時○分」
私:「そろそろか。・・お、ついて来んなよ」
彼:「・・・」
私:「これから人と会わなくちゃなんない。なんとなくね、、ありがとね。」
彼:「・・元気で」
私:「・・・なんじゃそりゃ(笑)あ〜あ」

蛇足。
このときの麻雀を含め、その数週間は自分の懐を痛めて打ったものではない。
「彼の上家」の様子を知るためにある人に頼まれたものであり、実は勝ち負けは問題ではない。
「彼の上家」は巧い人で、非常にバランスの取れた麻雀を打つ人だった。
その日のその後を知らないが、それまでの数日間の打ち方からみていい切り上げ方(圧倒的に勝ち続けない)をして帰ったと思われる。
その時許されたならどんどん攻めてみたかった。
きっと良い麻雀になったんじゃないかと思う。
おっちゃんは良くわからない。が、何かしら関わっている人間には違いなかった。
あのリーチは状況が許したとはいえ、やはり異質だったと思う。
歳とってる割に強引すぎる。試されてるとしか思えない。

それから少ししての話になるが、別の雀荘でその2人と偶然にも囲むことになる。
偶然?・・なわけありませんね(^^)