第2回 逆手構え
新堂は飽きずに本手構えでの基本的な突きを練習している。
「杖尾を握る方の手が、ひっくり返らないように注意しろ」
「はい」
「それと、手首が浮き上がらないように」
新堂が、きょとんとした顔をする。
俺は、杖を持ち上げて、どんな風になりやすいか、実際の形を見せた。杖尾
側、つまり、手前になっている方の手首が、山形に浮いた状態だ。最初のうちは、
杖を使うと、こんな風になりやすい。
「杖を握る時は、両手とも、斜めから握るようにする。その時、前腕から拳にか
けてまっすぐでいるような感じだな。途中を浮き上がらせない。手首が浮いてい
ると、実際に杖で打ち合ったりする時に、傷めるぞ」
そういえば、新堂は得物を使うのは初めてなんだよな。
「……手首は鍛えておいた方が良いな」
「では、本手構えに慣れてきたところで、逆手構えを行う」
これも、当然ながら、右と左、両方で行う。
本手構えとほとんど同じだが、杖先側の手が、本手とは逆向きになるわけだ。
つまり、指のある方が杖尾に向くわけだな。
「左逆手」
元構えから、右手を杖先として逆に握る。左足を一歩踏み出しながら、左後
ろ上から杖を繰り出し、次いで左手を手前に引く。この時、杖先が対峙する相手
の目の高さくらいに合わせる。杖を右本手に持ち替えてから、(本手構えの要領通
りに)元へ戻す。
「右逆手」
杖は左に提げているので、まず、左逆手に取る。そのまま右手を引いて杖の
両端を取り、右足を一歩出しながら右後ろ上より杖を前へ繰り出し、右を杖先側
で逆手に握って、杖先を相手の目の高さくらいに合わせる。左本手に直してから、
元に戻る。
「杖尾がへそより下に下がらないように気をつけろ。手の持ち替えが多くなると、
今までより逆に、強く握りやすくなる。握りは軽く」
俺はそのまま、新堂が逆手構えの練習に入るのを見守った。逆手構えになる
と、杖を高く上げる動作が入る。一旦、後ろ上へ上げる時、杖尾側の腕が頭より
高くなり、杖先がそれより下になる感じだ。
「基本的な構えは、あと、引き落としのやり方を憶えれば終わりだな。こいつは、
次にまわそう。その時に、本手、逆手、引き落としを使った突きのやり方もでき
るといいんだが。俺と新堂次第かな」