SCENE01-XX Another Mission


時刻によって開閉する天井(空)が今は完全に開き宇宙を見せている。朝には朝日。昼には晴れた空を投影する天井が今示しているのはまごうことなき深夜である。静かな夜に宇宙を見上げている青年が一人。蒼い髪の彼は一人呟く。

「静かないい夜ですね…。」

呟く彼は今まさに任務の最中なのである。瞳に宿る陰惨な輝きがその任務の内容を如実に語っている。そう、待っているのは標的。それを狩るのが彼の任務なのである。

「貴様らの組織に命令された事は万事やってのけた!これ以上俺に何の用があるんだ?」

背後から掛けられた怒声に振り向く彼の手には何時の間にかセイバーを2本くっつけたような武器が握られていた。それを見て怒声を発した巨漢が驚く。

「貴様らの思惑通り、奴らは例のクエストに赴かせた!それ以上何を望む!?」

「いえ。何も望んでないですよ、それと任務遂行ご苦労様。」

彼は至って柔和な口調で語りかける。しかし、その口調を裏切っているのもまた彼の手に持つ蒼い2条の光だ。

「なんだ?驚かせやがって。早くその悪い冗談を閉まってくれ。」

巨漢は安堵と一抹の焦慮を表情に浮かべながら吐き捨てる。しかしそれには応えず彼は、

「貴方に以前お会いした時、私こう申しましたよね。私には2つの任務がある、その内一つを貴方に手伝って頂く。そこに拒否権は存在しない、と。」

「ああ、女房子供を盾にされたんだ。拒否権もくそもない。」

また憤怒の形相を呈した巨漢が吐き捨てる。

「そう、貴方のおかげで一つ目の任務は無事完了しました。そして、ここでもう一つの任務を遂行しなければなりません。」

静かに彼は両剣を構える。

「はっ!やはりか。んなこったろうと思ったぜ!やはりこの武器を持ってきといて正解だったな。元Aランクの俺に貴様みたいな甘っちょろい小僧が勝てるとでも思っているのなら、貴様らの組織はそうとうなアホだな。」

先程の焦慮はやはりこの状況を想定していたのであろうか、巨漢は背中に携えていた斧を起動、そのまま青年めがけて猛然と突進した。果敢で隙の無いその動きは、元ハンターズである事を感じさせる動きだ。しかし、縦に振り下ろした斧は青年の頭上で両剣に遮られる。そして打ち払われ体勢を崩した刹那、逆の刃で手首ごと切断される。

悲鳴をあげるのも許さず青年は両剣を回転させ、自分自身も舞を踊るように蒼い軌跡を描く。巨漢が痛みをこらえすかさず左手で斧を拾おうとするがもうそこに左腕は無い。そのまま蒼く美しく残忍な輝きは右腕を肩口から切り飛ばし両の腿に深い傷を穿つ。そして、膝をついて正座したような不恰好な影に一言。

「ここまで来ておいてなんですが、先程貴方の家族は殺させて頂きましたよ。」

恐ろしい宣告を何の感情も含めず淡々と紡ぐ。

「任務ご苦労様。そしておやすみなさい。」

その言葉を皮切りに振るわれた死の舞は巨漢の胸を引き裂き首を刎ねた。惨殺が終わると蒼き両剣はまた影も形も無くなっていた。

「こちら”カサノヴァ”任務完了です。」

誰にともなく呟いた言葉には彼にしか聞こえぬ返答があった。

<お疲れさん。これで今回の任務は終了だね>

「はい。」

<じゃあKILIA、お酒でも付き合いなさい。>

聞こえてくる気の強そうな女性の声。応える彼はいつもの調子で、

「分かりました。私美人の頼みは断らない主義なので。」

聞こえてくるのは微かな微笑。

<貴方、やっぱりそのコードネームぴったりだわ。>

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