僕には見えない僕の位置


すぐに、ふてくされてりして。
いつだって、うまくいかなくて。
今だって。
「おまえには、関係ねぇ事だよ」
そうやってあしらわれて。
また一人ぼっち。
…言葉を、交わして欲しかっただけなのに…
たくさんたくさん出てくる言葉は一つ一つに何の価値も無いの?
「…鏡、見てこいよ。すげぇ顔してるぜ?」
ちょっと笑った感じで言って。
それでなんだか嬉しくなっちゃう自分に気が付いて。
また、嫌になる。
「ランチに言われたら、おしまいだよ」
肩をすくめる後ろ姿。
また、タバコ吸ってる…
それだけで、ランチは言葉をかけてくれるのに。
「俺も、タバコ吸おうかな…」
そう言いかけた時、ランチが、リーダーの耳たぶを掴んで
「なんだ?ピアスでもあけて欲しいのか?」
ってふざけたから、また、俺の言葉は価値を無くして。
…俺ばっかり、つまんないよ…
痛い痛いって大騒ぎして、涙を流すほど笑ってる二人を、
俺はどんな風に見ていたら良いんだろう…?
「あっれぇ〜!?なに遊んでんのぉ?オレも遊ぶぅ!!」
背後から急に声が聞こえて、今のみっともない所を見られてかと思って、
飛び上がるほどびっくりして。
でも飛び上がったのはユーイチの方。
ダイブするみたいにリーダーの座ってる椅子の肘掛けに飛び乗って、
全体重をリーダーに預けて、二人と同じに、糸みたいに目を細めて笑った。
…あんな事、できそうにない。
意地を張って、カッコつけて、クールで、気の聞いたジョークの言える、
そんな男を演じようとして、結局どっちつかずで、ハンパに終わって。
…今、こんなハンパな所に立ってる自分。
結局俺は、まだ何もやってないって、思い知らされる。
なんだか、なみだがでそうだ…
「…帰る」
そう言おうとして、やめた。
だってどうせ誰も聞いてないんだし。
俯いた顔をそのまま出入り口に振り返らせて、足音を殺そうとしてる自分が情けなくて、
鼻の奥がつんとして。
「…おい」
がしっと、頭をつかまれた。
そのまま持ち上げたら体が浮いちゃいそうなほど力強くて、
少し乱暴な感じに引き寄せられる。
「なっ…なに………」
出掛かった涙が引いちゃうくらいびっくりして、声が裏返った。
「タバコは、止めとけよ?」
………は?
おまえ、未成年じゃねぇか。
笑いながらそう言って、どれがリーダーでどれがユーイチだかわからないほど絡まってる
二人の間に、顔を押し付けられた。
…さっき立ってた所と、全然温度が違う…
人の体温に、大きくて安心できる手に、何だか落ち着いた。
落ち着いたら、さっきとは意味の違う涙がこぼれた。
ぎょっとして、ランチが手を放す。
「あぁ〜!!ランチ、シックス泣かしたぁ!!」
リーダーが、頭を優しくなでてくれる。
「ランチは、力の加減を知らないからねぇ」
さっき引っ張られた耳たぶだって、まだ痛いんだよ
そう言って、意地悪に笑った目でランチを見あげる。
「わっ…悪かったよ。…何だ?そんなに痛かったか?」
…困った顔のランチなんて、初めて見た。
もっとしっかり見たかったけど、顔を上げられるほど照れくさくない訳じゃない。
いつまでもぐずぐずと顔を伏せていると、ユーイチが、
「オレ、痛くなくなるおまじないしてあげるね!」
と、うつむいた頬にキスをくれた。
「ユーイチのおまじないは、効くんだよ?」
リーダーとユーイチと、二人顔を合わせて、ね?って言う。
「なんだよ。そんなんで良いなら俺だってしてやるぜ?」
そう言って笑ったランチの声に、頭の手を避け顔を上げると、少し驚き顎を引いた、
彼に飛びつき、キスをした。
スポットライトだって避けて通りたくなるくらい、抜群のタイミングで。



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