|
『いつもの場所に居る』 モニターにシンプルテキストを広げたまま 飲みに出かける 5時間も待たされて 酔いどれになって しかし 彼は来ない その姿が画面焼けのように 眼球から離れない スクリーンセイバーはインストールされてはいない まぶたをクローズしても 焼き付いた姿だけが ヤケにはっきりと見えた ふらつく足で しかしクリアな頭で 夜の海へ出かける 海に映る ところどころ虫に食われたような星空 浜辺に横になっていると 宇宙を漂っているみたいだ 街の明かりも そびえる灯台の光も 遠くにたゆたう発光するブイも 皆 手に届かない 星と同じ 目を閉じると 波打ち際に 彼の影 まるで月への道を探しているように 冷たい海の水に靴を濡らして 星を 掴む はしゃぐように 月明かりの中 微笑み 振り返る 手には唯一 掴めた星 水から上げられた小さな貝殻は すぐに光を失った 輝かない星を手に 彼はこちらへ歩み寄る 星を手渡し 海を指さす その方向に 星を 投げた 本来あるべき場所に戻った星は 再び 輝きを取り戻す その輝きを 目に焼き付けて 彼は笑った 初めてこんな気持ちになった 時間を感じない 俺達は自由だ これが つかの間の夢だと知っているさ 俺達 海辺の泡沫(あわ)みたいだ 揺れていたい 星と海が溶ける夜 彼は妖精になる 俺には帰る所がない あんたの行き着く先も見えない 小さな事に浮いたり沈んだり 時間の波を走り抜けたい きっと俺達 歴史に名前も残らないけど くたばっちまう時 今日の事 想い出そう 星と海が溶ける夜 彼は…妖精に……… |