|
「シックス?」 軽くノックした扉の向こうから、小さく、嗚咽が聞こえて。 「入るぞ」 扉を開けた。 ベッドに腰掛け額を両手で押さえうつむくシックスの隣りに腰掛ける。 「…どうしたんだよ」 覗き込むように背を丸め、髪に触れる。 その手を強く払いのけて。 「触んないでよ」 「………」 払われた手がそのまま後ろ髪を掴み、無理矢理上を向かせ、強引に、唇を噛むみたいなキス。 泣き続けた、力の入らない腕をどんなに突っぱねても無駄。 つかんだ髪を引き、痛みを訴える表情を見ようともせず、突き飛ばすように肩を押す。 ベッドに沈んだ体を更に沈ませるみたいに、追いかけるキスに、なぶられるようにしゃぶられて。 混乱と、痛みと、苦しさと、愛おしさに涙が止らない。 抵抗する意志のなくなったシックスから、呼吸器官を開放してやる。 幼い子供のように泣きじゃくるシックスの頭を覆うように、両手を髪に差し込んで。 「…なんで、そういう事するワケ?」 間違いなく責めている口調で。 「リーダーの方が好きなんでショ!?俺より、ユーイチの方が大事なんでショ!?」 「おまえは、リーダーじゃねぇだろ」 「俺はリーダーじゃないよ!だから…!」 どんなに、リーダーの位置に立ちたかったか。 リーダーのように、愛されたかったか。 たとえリーダーがいなくなった所で、リーダーにはなれない。 たとえ生まれ変わっても、あんな風に、愛される事なんて… 「俺は、リーダーみたいにお前を愛せない」 しっかりと、目を見て。 「言ってる意味、解るか?」 「………」 「おまえにするみたいに、リーダーの事を愛せないって事だよ」 また、溢れ出す涙に、ランチの顔が、歪む。 形の全く違う物に、同じ価値観なんてありえない。 形の全く違う物に、順位をつけるなんて、馬鹿げてる。 解ってる。 解ってるけど…。 「俺は、リーダーに…なりたかった…」 優しい口付けに、答えるように、更に、求める。 こんな、哀れむような口付けを知らないリーダーに。 こんな、苦い涙の味を知らないリーダーに。 こんな、醜い嫉妬に縛られないリーダーに。 ずっと、ずっと………なりたかったんだ………。 かなわぬ物ばかりに焦がれて、自分の首を絞めて。 解ってるのに、その手は、決してゆるむことなく。 死ぬほど苦しいのに、死ねない苦しみに。 永遠と言う束縛の文字が、見え隠れする。 |