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呆れたような苦笑。 二本の箸を握りしめて、少しムッとしたように、スプーキーはランチを見上げる。 手元の器に入ったジャガイモは、スプーキーの手により粉々にされ、もう誰にも掴めない。 「刺したって崩れるだけだぜ?」 そもそも箸の持ち方がなってないんだよ。 そう言って、ランチは正しく箸を持つと、器用にジャガイモを掴んで見せた。 スプーキーも、それを真似て箸を持ち替え、広げた箸をジャガイモの両脇に添える。 ………閉じない。 広がったままの箸は、広がったまま閉じようとはせず、やがて、箸の先が震え出す。 PCに向かっている時などは決して見る事の出来ない、余裕の無い、真剣な表情。 震える箸が少しずつ少しずつ閉じていき、ジャガイモを固定し、えいっと持ち上げた。 かかげられ、交差した箸に、ジャガイモの影はない。 さすがに、これにはこらえきれず、とうとう笑い出したランチ。 「なんだよ。ガキじゃねぇんだぜ?食わしてもらわなきゃ駄目なのか?」 震える語尾で意地悪く笑って、 「…ほら、食えよ」 すねた顔をしたスプーキーの目の前に、箸に挟んだジャガイモを突き出した。 ジャガイモと、ランチの顔を交互に見やる。 ランチの、サングラスの下の細めた目をじっと見て、見ながら、薄く目を伏せ。 わずかな隙間から覗かせた黒目をランチからそらさず、少しだけ、唇を開く。 暗闇の中を見え隠れする鮮やかな色の舌を、それに這わせ、歯を立て、唇で包み、音を立てた。 ランチの、唾液を飲込む音が聞こえ、それと同時に、箸でつかまれたものが転がり落ちる。 スプーキーは、口の中にある物を飲込むと、にっこりと笑って、 「どうしたんだい?食べ物を粗末にしちゃいけないなぁ」 そう言って、席を立った。 「美味しかったよ。ごちそうさま」 いまだ呆けたランチの頬に、挨拶みたいなキスをして。 さも楽しそうにニコニコしているその後ろ姿。 その背中にある黒く尖った翼としっぽが幻覚である事を心から祈りながら、 あとかたずけをする、ランチだった。 |