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「…どうした?」 ペタリと、後ろを向いて何かをしているランチの腕に触れる。 「時々ね、あるんだよ」 例えばシックスとユーイチと馬鹿な話しをずっとしていて、二人が帰ってしまった後とか。 一日にたくさんのメールが来て、その翌日に誰からもメールが来なかった時とか。 一日にたくさん電話が来て、その後ぱったり来なくなった時とか。 ランチと背中合わせに会話をして、そのあと一人で眠って目が覚めた時とか。 EL−115でアルファとベータにからかわれて、夜道を一人で帰る時とか。 トレーラーハウスの扉を開けたら、誰もいなかった時とか。 疲れるほどに何かと接して、その後、一人ぼっちでいる時。 わけもなく、悲しくなったりして。 誰かに、触れたくなる。 「僕は、こんなタイプの人間じゃないって思ってたんだけどね」 ランチの肩に、あごをかけて。 「僕は、一人でいるのが好きなタイプだって思ってたんだけどなぁ」 「…祭りの後は、たいがい寂しくなるもんだろ?」 くしゃっと髪に触れてくれる。 少し、落着く。 「ランチも、そうなのかい?」 トロンとした目を、更にそうさせて。 喜んでいるのか、諦めているのか、辛いのか、寂しいのか、別にそうでもないのか。 表情からは読み取れない、そんな表情。 ランチはあまり顔を見ない。 だから、こんなにも的確に、心中を察する事が出来るのか。 そんなランチの側にいるのが、心地良い。 「俺は、違うよ」 痛覚に触れない、否定の言葉。 「俺が寂しいって思う時は…」 コツンと、隣りにあるこめかみに、軽く頭をぶつけて。 「俺がそう思う時は、あんたがそんな事言ってる時だよ」 あんたが、満たされてない時だ。 そんな言葉で、満たされる。 案外、僕は自分が思うよりも単純な生き物なのかもしれない。 そんな言葉で、僕は、僕に帰る事が出来る。 「そうなんだ?」 …ありがとう。 僕のために用意された運命に、感謝したい。 「………ただいま」 「あぁ。…おかえり」 そうして僕らは、いつものカタチで笑う。 |