水に帰るための


ごくありふれた水が氷になって、君に、溶かされたみたいに。



嫌われたくないけど、嫌われて当然
わかってるくせに…どうして、こんなに
気になっちゃうんだろう
弱者として罵られたみたいな視線
自分の弱さを痛感する
ぶつかる事を、傷つく事を恐れて
いつも、いつも逃げて
優しさみたいに
誤魔化していた
自分は、もう自分じゃない
そう、思い込んだ
そうしなきゃ
俺は、俺様じゃなくなっちゃうじゃん?
こんなカタチを、南条は、きっと認めない
そう思ってた
あの時まで
だって、違う人みたいに、脆くって
違う人みたいに、穏やかでさ
やっぱ、気になっちゃうだろ?

自分が自分であり続ける事に脅えて
自分が自分じゃなくなる事を望んで



ただ、頭が悪いだけなのか?
恥を知らないだけなのか?
それがその甘ったれた…優しさ、なのか…?
弱さを克服したかった
それが当然だと思っていた
厳しさを美徳としていた
それは間違いじゃないと確信していた
…知らない、痛みを学んだ
これだけは、克服できないのではないか?
いや、克服してはいけないのではないか?
そう思う事が自分の弱さなのか?
奴はそれを肯定すると言うのか?
厳しさが優しさである事は知っている
しかし、こんな甘ったれた優しさは知らない
優しさ
そう呼んで良いのだろうか?
奴を、認めてしまっても良いのだろうか?
自分の弱さを…
理解、不可能だ

自分が自分であり続ける事を望んで
自分が自分じゃなくなる事に脅えて



お互いを認識して
そして、凍った。
プラスとマイナスが引き合うみたいなエネルギーが
熱となって
今、お互いを潤す、水に、帰る。



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