迎え



たくさん、たくさん、待ち続けた。
もう、来ない事を、知っていた。
待つことは、嫌じゃない。
待てなくなることの方が、怖い。
双子岬を故郷と呼べるほど、ずっと、ずっと、ここにいた。
でも、本当は、帰るところがある。
みんなの所へ、帰りたかった。
みんなと一緒に、いたかった…



あの一件以来、ラブーンは大人しく待っていた。
その約束の印を消さないよう、頭を、どこにも触れないよう。
大事な、大事な約束だった。
それからしばらくたって、見慣れた、海賊旗が下ってきた。
それは、ラブーンの頭に描かれている物とは違う海賊旗。
ずっと、ずっと待っていた、懐かしい、仲間達。
嬉しくて、目が、かすんだ。
一緒に来るか?
彼らは、昔と変わらず陽気に笑って、そう言った。
少し、戸惑った。
一緒に付いていくことは、額の約束を破る事と同じ。
でも…。
50年もの間、一緒に彼らを待ち続けてくれた彼に、目を向けた。
彼は寂しそうに笑って頷いてくれた。
あの少年達には、伝えておく。
そう、言ってくれた。
海の水を揺らし、喜んだ。
船は少しも揺れることなく、前を行く。
その後を、ついて行った。
振り返ることは、しなかった。
彼は、泣いていた。
優しく笑って、泣いていた。
もう、待つことは、何もない。





備考

クジラの平均寿命
・小型 10年
・大型 20〜30年





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