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…倒れかけた巨大なアンテナ……。 視界が真赤に染まっているのは…燃え上がる炎のせいか…それとも頭部から流れ落ちる血液か… 背後からの熱風に体を支えるのがやっとだ… 「リーダー、気がついた?」 …ひとみ…ちゃん…? そうだ。二人を殺そうとしたんだ…僕の…僕の意思で? 覚えている…僕の中の押さえ切れない殺意も…痛みに対する怒りも…欠落した感情が何かも…。 初めて覚える感覚…でも今は……ひどく…すっきりとした気分だ… まるで見渡す限り地平線の広い草原にたった一人で風に吹かれているよう…。 今なら…わかる。 本当の自分の姿が… ……皮肉だよ……こうなって初めて僕は、自分の本心を知る事が出来た…… あの門倉の底知れぬ才能をねたみ、スプーキーズという殻に逃げ込む事で、 必死にごまかしていた自分自身…… これで良かったんだよ。君たちは僕を救ってくれた…… もう、視界に映る物は何も無い。 …君は…誰だ? 銀の髪の少女…ひとみちゃん?…いや、違う…そうか…ひとみちゃんも… …助けてやってくれ…ひとみちゃんを…そして…その後ろで泣いている、あの子を…… ……大丈夫だよな……君なら… ……安心したら…眠くなってきた…… 少しだけ…寝かせてくれ… もう…耳に入ってくる音はない。 脈打つ体は……もう僕に何を教える事も無いだろう事を…理解…した。 大海原を目の当たりにした蛙は、どうしたと思う? …井戸へ帰るんだよ。 自分の見た物をすべて忘れ、 井戸の仲間たちに嘘をついて。 ………僕は、そんなことをしてまで、いったい何を手に入れたかったのだろう……… 「…桜井君」 「…門倉…社長?」 喉を鳴らすように笑いをこらえる私服の社員たち。 「私は確かに君のプログラミングの腕をかっている。 だからこうして正社員として働きに来てもらうように頼んだわけだ。 居眠りの才能に関しては、また後日にでもご披露願えないかな?」 「あ…はい…申し訳ありません…門倉社長…」 喉を鳴らすように笑いをこらえる私服の社員たち。 「以前も言ったと思うが、社長はつけなくて良いよ」 「はい…門倉…さん…?」 喉を鳴らすように笑いをこらえる私服の社員たち。 「今、我が社のプロジェクトは半ば君の力で成り立っているといっても過言じゃない。 しっかりしてくれよ?」 「はい…門倉………………………さ………………………… 喉を鳴らすように笑いをこらえる私服の社員たち。 「しかし君が戻ってきてくれて本当に助かっ………よ…………」 喉を鳴らすように笑いをこらえる私服の社員たち。 「契約…員…………き…………から………」 喉を鳴らすように笑いをこらえる私服の社員たち。 「帰……………ム………海……に……」 喉を鳴らすように笑いをこらえる私服の社員たち。 「…………忘………」 喉を鳴らすように笑いをこらえる私服の社員たち。 喉を鳴らすように笑いをこらえる 喉を鳴らすように笑いを 喉を喉を鳴らすうに笑い笑をこらええええる私服のの社の社の員社員ち社社社ち員 員ちを喉をを喉喉喉の喉喉ど喉のど喉喉ののど喉喉どの喉喉のどのど のののののののののののののののののののののの…………… 大海原に受け入れられた蛙は、どうしたと思う? …海へ帰るんだよ。 自分の見た物をすべて忘れ、 井戸の仲間たちに嘘をついて。 ………僕は、そんなことをしてまで、いったい何を手に入れたのだろう……… |