粗悪なゲームの遊び方


「…どうして…死んじゃったりするかな」
シックスがぼそりと呟く。
「…死ななきゃ、終わんねぇだろ」
ランチが、律義に答えて、あの人の、最後の言葉を思い出した。
その死で救われたリーダー。
その死で救ったネミッサ。
その死で閉じ込められたシックス。
その死で誤解し、憎んだランチ。
その死で自分に足かせをはめたユーイチ
そして、あの人の死を促した、人殺しの自分。
たとえ悪魔とは言え、意思が通じて、可能性によっては共に戦う、
命ある物を何の感情もなく殺せる自分。
あの人が死ななかったら、こういった殺戮行為に罪悪感さえ持たなかった自分。
大切な人をこの手で殺しても、気が狂う事すら出来ないほど、
死に対して恐いほど冷静な、感情の一部が欠落した自分。
…俺だけ、みんなとは違うみたいだ。

ダッテオレハ、シュジンコウダカラ。

§


真っ黒なモニターに映る自分が、大きく背伸びをする。
ゲームのやりすぎで肩やら腰やら全身が痛い。
でもそんな事を訴えたらきっと…
案の定ひとみが後ろから肩を掴んで騒ぎ出した。
………うんざりだ。
そんな事は無視をして、階段を降りる。
良い匂いがする。
そろそろ食事の時間だ。
だからゲームを中断したんだ。
こんな時のために、バックアッパーは欠かせない。

§


うるさい。
うるさい濁音。
GAMPの音。
ちょっと手を離せばこれだ。
はっきり言って鬱陶しい。
仕方なく手にとろうとしたら、泣き止んだ。
…泣き止んだ?
「もう!泣いてたら抱っこしてあげてって言ったじゃない!」
「あぁ…ごめん」
………あれ?
「…GUMPは?」
「この子が放り投げて壊しちゃったでしょう?」
「あぁ…そうだっけ」
「出てきちゃった仲魔の始末、大変だったじゃない」
「あぁ…しょうがないから殺しちゃったんだよね」
…なかま、ころしちゃったんだよね…
「そうだよ。…殺しちゃったんだ…」

§


涙が出るほどきれいな桜吹雪に、あの人を思い出した。
地べたに落ちた花びらが、小さな竜巻に舞い上がって、
それを目で追っかけて空を眺めて、視線を戻したらあの人が居る。
そんな錯覚を起こすほどの桜吹雪。
あふれそうな涙を、喉の奥に、飲みこんだ。
…家に帰ったら、ゲームの続きをしなきゃ。

§


エンディング
EXTRAダンジョン
レッドマン
二周目
もう一度会える。
もう一度楽しめる。
もう一度遊んで。
もう一度殺して。
三周目。
また会える。
また会って。
また殺して。
でももう一度会える。
何度も何度も何度も殺して。
彼の告白だって耳タコだし。
これはゲームだし。
…ゲームだしね。

§


燃え上がる鉄塔。
その奥歯が痛くなりそうな臭いにも、もう慣れた。
彼の台詞も全部覚えてるし。
ネミッサがひとみを叩き起こして。
リーダーが眠らせてくれって言って。
俺はいつだって一言も発さない。
…言葉なんか吐き出すほど、没頭してないよ。

だってこれはゲームだしね。

大切な人をこの手で殺しても、気が狂う事すら出来ないほど

…俺だけ、みんなとは違うみたいだ。

ダッテオレハ、シュジンコウダカラ。



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