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20年近く生きてきたけど、こんなに触れたい人に会ったのは初めてだった。 別にいつもそう言う訳じゃない。 ただ時折、ひどく触れたくなって、その存在を確かめたくなって、でも、出来なかった。 そんな時あんたは何を察する訳でもなく俺に触れてきて、 「僕は、本当は寂しがりなのかもしれないなぁ」 そう言って、自嘲を意識した笑みを浮かべて。 だから、自分が理解できた。 寂しがりなのは俺も同じだ。 でも、そう言えなくて、黙って、抱きしめるだけで。 いつだって、逃げていた。 カッコばかりつけて、弱い所を見せてくれるあんたに、甘えてばかりいた。 PCに向かって、そこにはいつもたくさんの人間と接触する機会があったけど、 何も、確かではなく。 電話をすれば、誰かが答えてくれるけど、それだって、確かなんかじゃない。 そこにいるから、触れたくなるのか? そう思いもしたけれど、そうじゃない。 理由なんて、わからない。 そんな物、無くたっていい。 触れたいあんたに触れられて、ひどく、幸せだった。 それだけが、確かな事だった。 目を開けた。 真っ暗だった。 電源を落としたノートパソコンが、すぐ隣りに、転がっていた。 魂も、それを入れる器も、何もなくなったあんたに触れる事は、もう、不可能だ。 だから、せめて…。 冷たく固い、四角いただの箱に、触れて。 それを抱きしめて。 その名を呼ぶ事しか、出来ない。 結局、自分の事しか見ていなかった俺を責めてくれるあんたは居ない。 罰せられたら、どれだけ、楽になれるだろう。 でも、そうしてくれるあんたは、もう、居ないんだ。 明日になれば、また、このノートパソコンを立ちあげてしまう自分を。 せめて、自分で、咎めよう。 こんな夜には。 許されるべき行為ではない事を、理解出来なくなる、その、前に。 |