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熟れすぎた果物。 「なぁ、これ腐ってんじゃねぇの?」 テーブルの上に置きっぱなしになっていたそれを一口、口に含ませて、 「どうしたんだよ?これ」 少し、不機嫌な顔。 「車の中に置きっぱなしにしちゃったんだよ。やっぱり、食べれないかなぁ…?」 「止めといた方が良いと思うぜ?」 何の気無しに、軽いキス。 「口直し」 そう言って悪戯に舌を出すその顔に、穏やかに微笑んで。 「なぁ…」 子供みたいな顔が急に深刻なそれになって、今までの顔が演技だと知らされる。 「あんた、ホントにスプーキーなんだろ?」 ニコニコと笑って、何も答えようとしない。 「…生きてんだよな?」 触れたら、暖かい。 「…生きてんだろ?」 「たぶんね」 頬に触れた手のひらに、口付ける。 「生きてる物とそうでない物の違いなんて、僕には、解らないのだけれど」 目を閉じて、そのままソファーにもたれる。 ゆっくりとした流れに合わせて、ゆっくりと近付いて。 唇から頬に、口付けを流して。 耳元で。 「…何か、あったのか?」 少し臆病な物言いに、クス…と笑って。 「神様の、優しいプログラムミスだよ」 涼しい部屋で。 テーブルの上には腐りかけの果物。 どんなに涼しい部屋に保管した所で、一度腐ってしまった物は、元には戻らない。 一度犯した過ちは、二度と。 |