数多くの文化と歴史を持つ国、アメリカ。自由と夢があふれるこの国へこの 夏、私は1ヶ月という短い期間ではあったが、旅行会社の語学研修ツアーに参 加した。午前中に語学の授業を受け、その内容の実地研修が午後に行われた。 アメリカ人の家庭にホームステイをして、この肌でアメリカの文化に触れてき た。そこでその体験の一端を、これから書いていこうと思う。 渡米するまで私は、映画や雑誌などを通して自分なりにアメリカの文化を知 っていたつもりだった。しかしそれは一部の虚像を含んだもので、渡米するま でそのことには気が付かなかった。私が今回触れてきたのは、とても普通で、身 近に感じられる普段の文化だった。 渡米したばかりのころは、自分が知っているアメリカ、すなわち頭の中で勝手に 作り上げたイメージとの落差と、生まれて初めて経験することにとても戸惑っ てしまい、軽いホームシックにかかってしまった。しかし何日か生活し、ホス トファミリーとも打ち解けてくると、今まで知らなかったアメリカ文化にしだ いに慣れていき、この国の文化に魅力を感じていくようになった。 これはある日曜日に、ホストにキリスト教の勉強会に連れていってもらった時の ことである。私のホストは日本人とのハーフで、日本語での日常会話が可能で ある。その時に聖書に書かれていることを教えてくれた。私は、“こんな勉強 会は日本にいてもできる”と感じた。しかし英語で聖書を読み讃美歌を歌い、 また彼らの討論会をそばで耳にしていて、私は不思議な感覚におそわれた。ど こか懐かしく、初めて会う人たちではないように感じたのだ。幼稚園から小学 校にかけて通った日曜学校の雰囲気を彷彿とさせたからである。こんな体験が できたのも、はるばるアメリカに来たおかげだと思った。 生活にだいぶ慣れてくると、ホストをはじめ私の周りすべてが先生のように 感じる余裕ができた。ホストファミリーのパーティーを通して10代の少年たち と仲良くなれたことが、同世代の私にとって嬉しかった。特にアメリカで私た ちのツアーをコーディネイトしてくれたAgres(アグリス)一家のお父さん Sarge(サージ)とその息子Kamalani(カマラニ)は、最高の友になった。 私たちは、よく家の前でバスケットボールをしたり、隣の家のプールに入っ たりした。初めて会った頃、私は自分をもっとアピールしようとして、いろん な話をした。そうするとカマラニは私のことを、“You are Japanese Godzilla." と言ってきた。それからというもの、私は彼らから”Godzilla”と愛称で呼ば れるようになった。 このことは、彼らが私のことを仲間として認めてくれた素晴らしいふれあい であった。私はアメリカで、本当に思い出になるようなことをしたかった。私 の心の中にはもちろん、彼らの心にも一生残るであろう人間同士のふれあいだった のである。 最後の金曜日の午後は、自由時間だったので、私はサージ達とバスケをする ことにした。これが最後のバスケかと思うと、とても悲しかった。そしてその まま、夕食もごちそうになることにした。そこれ彼らは“またアメリカに来て、 私たちの家に泊まりに来い”と言ってくれた。それに対し、私は「ターミネー ター2」のアーノルド・シュワルツェネッガーのように“I'll be back!!"と答 えた。それが私の志となったのだ。近いうちに彼らと再開を果たし、酒を酌 み交わし、語り合おうと思うようになったのだ。 これが彼らをアメリカ人の仲の最高の友達と感じた瞬間であり、私のアメリ カにおける最高の思い出となった。また同時に、語学力の向上や文化の研究な ど、私に足りない部分が多くあると自覚した瞬間であった。 今は情報化時代なので、色々な手段で知りたい情報を簡単に手に入れること はできる。しかし、私はこんな時代だからこそ、かえって様々なことを直接的 に肌で感じ、体験して、社会の深層にあるものを見つけ出すことが重要なのだ と思った。そうすることにより、色々な文化の本当の素晴らしさが次々と見つ かってくるのだ。まさしく「虎穴に入らずんば虎子を得ず」「NO PAIN NO GAIN」 なのである。 私はアメリカで数多くのことを体験した。それは、単なる情報では決して手 にいれることができないものであった。彼らの一員として、その生活に参加し て、始めて体得できたのである。毎日食べたサンドウィッチ。何気なく見るテ レビ。ホストと交わす会話。そして見上げた夜空には流れ星。これらすべてが 今はとても懐かしい。写真や日記を見るたびに、そう感じる。 それらはいい思い出だけではなく、私に一つのある決断をさせた。それは、 世界に進出するということである。どんな手段でもいい、日本にとどまらないで、 世界を舞台として活躍するということである。今回異文化の中に思いっきりり飛び 込み、それらを素直に受け入れた。そのおかげで私は、大きく成長することが できた。私が前へ歩いていくには、常に異文化の中で生活する必要があると感 じたからだ。そのために必要なことを、これからいろいろと学んでいこうと思 っている。 今回の渡米で私が感じた文化は、ありふれた普通の文化であった。しかしそ れは、決して日本では体験できないものである。そして私は素晴らしい体験だ けでなく、様々なものを得ることができた。遠いアメリカの地で知り合えた多 くの友や、新しい考え方など挙げていけば、きりがない。また日本と自分を、 客観的に見ることができた。そして何よりもアメリカという国を知る事ができ たのが、得たものの中でもっとも大きいものであろう。 最後に、今回の渡米にいろいろと協力してくれた両親、そして私を助けてく れたアメリカと日本の友人達に、心から感謝したい。
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