素直

 

 

 

 

 

 

 


第弐話 シンジの勇気(前編)


「ふわぁぁぁぁぁぁ・・・・」

  情けない欠伸を出して、僕の一日が始まった。
 いつものようにご飯を作り、制服に着替える。
 ただ、いつもと違って、頭に離れない物があった。



・・・そう、昨日引っ越してきたばかりの、霧島さんのこと
   僕は間違いなく、霧島さんのことが・・・
   ・・・好きだ。好きなんだ。それは間違いない。
   でも、僕は怖い、霧島さんに告白するのが。
      僕は怖い、霧島さんに嫌われるのが。
   
 
・・・「碇君って、桜とか好きなんだ」
   「私もなんだ。何か碇君とは気が合いそうだね」


・・・ふと、霧島さんの言葉が頭をよぎる。
   そういえば霧島さん、桜、好きっていってたな・・・
   明日は日曜日だし、お花見にでも誘ってみようかな・・・
   

   「よし!そうしよう!!」
   
   シンジは足早に駆けていった。
   その行き先は、他でもない、霧島さんの家だった。




その一方で・・・
   
  「うーん・・・」

  大きなのびをして、私は起きた。
  とりあえず、昨日の晩の残り物を食べ、着替える。
  休みの朝は、いつもこんな感じ・・・のはずだった。
  私の心には、ある一つのいつもと違う「感じ」があった。


・・・碇シンジ君。
   そう、この男の子のこと。私は本心、あの子のこと、
   ・・・愛してる。愛してるの。その気持ちに偽りはない。
   でも、私は怖い。碇君にこのことを告げるのは・・・
      私は怖い。碇君に振られるのが・・・


・・・「外の桜を見てたんだ。今、散ってるからさ」


・・・碇君が桜が好きだったんだっけ・・・
   確かバスで少し行ったところに、桜の名所があるんだって言ってたな・・・
   碇君、そこに誘ってくれないかな・・・


   その時だった。
   

  ・・・ピーンポーン

  「・・・はーい」
  「い・・・碇です」
  「碇君?・・・あ、ちょっとそこでまってて」
  「うん」

  数分後、私服姿のマナが出てくる。
  「どうしたの?こんな朝に」
  「・・・いや・・・一緒に、学校行こうと思って・・・
   あれ?何で制服に着替えてないの?」


  「・・・ぷっ!くすくす・・・あははははっ!
   碇君どうしたの?今日は学校、お休みよ」
  「えっ!」
   シンジがポケットカレンダーをよく見ると、今日は
   ・・・第2土曜・・・すっかり忘れてたシンジだった・・・
  「・・・碇君って、以外とおっちょこちょいだね」
   マナがクスリと笑う。
  「でも、せっかく来たんだから、上がっていきなよ」
  「う、うん」

  マナの部屋にて

  「・・・でも昨日は本当にありがとう。ほんと、大きかったね。あの本屋」
  「で、何の本探してたの?」
  「・・・ちょっと、楽譜を探してたんだ。」
  「へぇー。霧島さんは、何か楽器弾けるの?」
  「ちょっとだけだけど、ギターをね・・・
   あ、碇君、お昼は?」
  「あ!そうだった!お昼無いんだ。」
  「じゃあ、私が作るよ。」
  「え?悪いよ。」
  「べつにいいから。」
  「・・・あのさ、一緒に作ろうよ。せっかくだからさ。」
  「・・・そうだね。一緒に作ろう!」

   しばらくして・・・・・・・


  「おいしいね!」
  「うん。そうだね!」


   しばらくして、キッチンで洗い物をしている二人。
   
   
  「そういえば、霧島さんのお父さんとお母さんは?」
  「お父さんは仕事の都合で海外。お母さんは・・・
   私が小さいときに、交通事故に遭っちゃって・・・」
   寂しそうな表情で下を向くマナ。
  「ご・・・ごめん。」
  「べつにいいよ。気にしてなんかないから。
   それより、碇君のお父さんとお母さんは何してらっしゃるの?」
  「僕も・・・同じような物なんだ。父さんは仕事の都合で会社にこもりっきりだし
   母さんも、大学の実験中の事故で・・・」
  「そう、だったんだ・・・」

  重苦しい雰囲気が周りを包む。
  シンジが口を開いたのは、洗い物を終え、霧島さんの部屋に戻る途中の事だった。
  



  「そ・・・そんなことよりさ、この辺の桜、すっかり散っちゃったみたいだね。」
  「そうね・・・。ねえ、まだ桜咲いてるところ、この辺にあるかな?」
  「ここからバスで20分くらい行ったところに、すごい綺麗なところがあるんだ。
   なんでも、・・・明日が・・・見頃らしいよ。それでさ・・・今日、言おうと思っていたんだけど・・・

  

  ・・・一緒に、行かない?明日・・・」
  

 

  「・・・えっ!」
  

 
 最初は何がなんだか訳が分からなくなっていたが、その言葉を理解した瞬間、

   二人の顔が桜色に染まる。
  

  「・・・」

  「・・・」

  このまま、しばらく沈黙が続き、そして・・・

  「だめ・・・かな?」

  

 

  「そ・・・そんなこと無い!一緒に行こうよ!」
  「じゃあ、明日の十時に○×駅に集まる・・・で、いい?」
  「うん!楽しみにしてる!お弁当も、二人分作るよ!」
  「本当!僕も楽しみだなぁ!」    

   いつの間にか二人の顔は、笑顔になっていた。

   

   このあとも、いろんな話をして、だんだん日が暮れていき・・・

  「ごめん。なんか、突然おじゃましちゃって、お昼まで・・・」
  「別にいいから。今日暇だったし・・・」
  「それじゃ、また明日」
  「うん!ばいばい!」
  
  
   

   こうして二人は、帰路についた・・・






   夜中

     シンジは眠れなかった。

・・・霧島さん、喜んでくれた。
   すごい嬉しかった。あんな嬉しそうな笑顔、初めて見た。
   その時にも気付いたけど、やっぱり霧島さんは、
   

   ・・・すごい笑顔が似合っていた。そして、  

       僕はその笑顔に惹かれていっている・・・


・・・僕はこれ以上、この気持ちを抑えることはできるだろうか。
   ・・・いや!出来るはずがない!!もう限界点に達している!

      ・・・やっぱり明日、全てを話そう。
         嫌われたって構わない。



       ・・・伝えよう、本当の僕の気持ちを。後悔するまえに・・・



       
             強くこのことを決意するシンジだった・・・




      その頃・・・

         マナも眠れずにいた。

・・・碇君、あんなに喜んでいたの、初めて見た・・・
   碇君の笑顔、本当に「笑って」いた。

   そして・・・
       

       私はその笑顔に、碇君の魅力を感じずにいられなかった・・・


・・・このままずっと、碇君に嘘をついたまま生きていくのかな・・・
   嫌!それは絶対にイヤ!!
      碇君は私にあんな素敵な笑顔で微笑んでくれたのに・・・

・・・やっぱり、本当のこと、言おうかな・・・
  ・・・でも、碇君に嫌われたくない!今日だって、私が無理に誘ったからきっと・・・
   ・・・いったいどうしたらいいの・・・私は・・・私は・・・



   ・・・そして、時は刻一刻と過ぎていった・・・

 

 

 

                                           ・・・後編に続く・・・


あとがき

 

 どうも、Sreinです。いやぁ、本当に嬉しいです。こんな未熟な小説がホームページに掲載されるなんて・・・

はっきり言って、まだ信じられません。自分自身、この事実を知ったとき、一睡も出来ずに

ずうーっっっっっっと自分の小説を読み返していたほどです。本当に嬉しいです。

さらにメールまで頂いて・・・喜びの極みです!本当に有り難うございます!!

そして、Crowさんにこの場を持ちまして、厚く御礼申し上げます。