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「ちょっと天真くん。」 部屋に戻る途中で天真はあかねに呼び止められた。手招きをされて仕方なしにあかねの部屋にきた。部屋には大量の着物が用意されていて、そこにはすでに詩紋が座って服の選定をしていた。その場には普段より多めの女房が控えていた。 「何やってんだ、お前ら。」 「いいからここに座って、天真くん。」 「判ったって・・・手を引っ張るなよ。」 部屋の入り口でぼけっと立っていた天真の手をあかねが引っ張って来て、中央の服の置いてあるところへ無理やり座らせた。 鏡の前であぐらをかいて座っている天真とは裏腹に、あかねは後ろで衣服を鼻歌を歌いながら選んでいた。その横では詩紋が少し申し分けなさそうにあかねの服選びを手伝っていた。いまだに自分の状況が判ってない天真は、ただ見ているしかなかった。 「ねぇ、詩紋くん。こっちがいいかな?それともこっち?」 「えっと・・・そっちのほうが、色合い的にいいと思うよ。」 「だから何やってんだって、言ってるだろ。おい、詩紋っ!」 「えっと・・・その・・・。」 口ごもる詩紋の横で、いまだに服を選んでいるあかねが天真を見た。にやりといやらしい顔をした。 「よし、決めた。これでどうかな?」 「それがいちばん合いそう。」 あかねは畳の上に組み合わせて服を並べた。それをみて詩紋は納得の顔をしていた。ごめんなさいと詩紋は天真に告げてから女房と共に服に手をかけた。天真は”はぁ?”と不思議な顔をしていたが、服を脱がされて行くのに抵抗して、詩紋の両手を掴んでとめた。 「何だよ、いきなり。」 「抵抗しないで下さい。すぐ終わりますから。」 「抵抗するに決まってるだろうが、いきなり人の服を脱がそうとしてるんだから。」 「あっ、頼久。」 あかねの部屋の前を警備するために来た頼久が通りかかった。天真は助けを求めるように手を伸ばした。頼久は天真に近づき、あかねたちの手伝いをするように天真の服を脱がしに掛った。 「よっ・・・頼久っ。卑怯だぞ、お前ら!」 天真がいくら叫んだ所で助ける人物は、あかねの部屋にはひとりとしていなかった。そそくさとあかねが用意を済ましていた着物は、女房に天真が着せたのは女物の十二単だった。これは以前、あかねが藤姫に動き回れないようにと着せられた。動けないと判っていて天真に着せたのは、先日鬼との戦いでケガを負ったままで戦おうとしていたからだ。 「頼久、相棒を売ったなっ!」 「すまない。」 ひとこと謝罪するとあかねと詩紋は端に、天真の着せられて行く十二単を一枚一枚、頼久は一枚一枚女房に渡して行く。全部着せ終わらせると頼久は天真から手を離し、女房はわらわらと天真から離れて部屋を後にして行った。あかねと詩紋も少し離れた所から天真を見ていた。 「きゃ〜、天真くん、めっちゃ似合うっ!」 「くっそっ。」 天真は体育座りをして肘をついてあかねたちを睨みつけた。額のところには見えない十字路が浮かんでいたが、あかねは自分の欲求を満たしたところですっきりしていた。詩紋は少し申し分けなさそうな顔をしていたが、あかねに連れられて外へと出かけて行った。 「頼久・・・お前、俺に怨みでもあんのかよ。」 「傷を癒せと言う神子殿の優しさだ。ゆっくり休め。」 「くっそう。あかねみたいな奴だったらまだ動けたのに。」 「それがあるからそれにしたんじゃないのか?ふたりとも。」 天真は果敢にも服をつまみ持って立ち上がった。服を蹴るようにしてから転ばないようにゆっくりと歩き出し、自分の部屋に戻るほうを選択した。 「部屋に戻れば着替えられる。邪魔すんなよ、頼久。」 「そうもいかない。神子殿に出歩かせるなと言われているからな。」 注意して歩いていたが着慣れない服装のせいか、倒れ込みそうになった所を頼久が腕を出して支えた。そのまま縁側のところに無理やり座らせられた。天真は上目使いで頼久を睨みつけると、頼久はその隣に座った。 「出かけたいのなら牛車に乗って軽く廻る程度だ。」 「俺はひとりで馬に乗って遠出したいの。着替えたいんだよ、一番に。」 頼久は天真の手を引っ張り立ち上がらせた。天真は倒れないようにゆっくりと歩き自部屋に戻ろうと向きを変えたが、頼久に腕を捕まれて方向を変えられた。そのまま服をつまみ持ったまま天真は頼久と牛車のあるところまで歩いてきた。すでに用意されている牛車に二人で乗り込んだ。少し揺れる牛車の中で天真と頼久は黙ったまま座っていた。 「ここで止めてくれ。」 沈黙が続く中桂川のところで、天真が声をかけて止めた。簾を上げて外に出ようとはしなかったが天真は川の流れを座ったまま見ていた。 「天真・・・。」 「判ってんだよ、あかねが俺の事を心配してくれたのは。でもよ、俺は傷の一つや二つ、有ったって動きたいんだ。身体が鈍るし。」 「たいした傷でなければ私も何も言わない。しかし今回は酷かった。だからこそ、本当は今も部屋で療養していてほしかった。」 頼久は天真の頬に手を伸ばして、そのまま首へと廻して唇を合わせた。天真は触れた頼久の唇の温もりに目を閉じた。口を軽く開けて頼久の舌を向かいいれて絡める。天真は手を伸ばして頼久の首へと絡めた。口角を変えて深く何度も繰り返しながら頼久の手が天真の髪の毛を撫でる。天真は頼久の絡めた腕を更にキツく抱きしめた。 「・・・まっ・・・た・・・頼・・・ひっ・・・さぁ・・・。」 「すまない、つい。」 「ついでキスされてたまるか。」 天真は頼久の肩に両手を垂らしながらもたれ掛り、肩で息をしていた。頼久は耳元にかかる天真の息にドギマギしながら抱きしめた。 息を整えると天真は頼久から離れた。頼久は天真の身体を牛車に横たえさせると自分自身は降りた。天真は川の方へと歩いて行く頼久を羨ましそうに見ていた。懐から手拭いを取り出し川の水に濡らして牛車に戻ってくると、天真の額に濡れた手拭いをおいた。 「あんだよ、頼久。」 「少し熱が有る様だ。」 「だから気持ちいいのか、川の水が・・・。なぁ、降りてもいいか?」 「駄目だと言ってるだろう。」 「じゃぁ、ここから足出すぐらい・・・。端に座って見るぐらいならいいだろ?」 「それぐらいならいいが。倒れるなよ。」 起き上がって少しずつ牛の方へと身体をずらし、頼久はその後ろについて倒れないように身体を支える。天真は頼久により掛り腕を組んで外の風を直接受けながら川の流れる音を聞きいた。 「俺の身体を支えてるくせに何言ってる。まったく、お前ら・・・。」 心配性だと続けようとした時、川辺で絹を裂く様な女の声が聞こえてきた。天真は動こうとしたが、頼久に押さえられて牛車に留まり、頼久が川辺へ降りて走っていった。川上から女性がごつい荒くれものの男たちに追いかけられていた。頼久は女性の前に立ち男たちを止めに掛った。天真はすることがなく肘を腿について見ていた。 川辺では決着が付き、頼久は女性に礼を言われていた。その場で引き止められている頼久は助けを求めるように天真の方を見た。天真も動けるわけではなく戻って来るように頼久に手招きをした。頼久は其れを見ると早足で女性から離れるように牛車に戻ってきた。 「天真、助けてくれ。」 「そう言われても・・・せまられてるのはお前だろ?先に帰ったらどうだ?そしたらついてこないだろうし。」 「しかし、天真を置いて行けない。」 「俺の事心配してるのか?気がつかねえよ、俺の事なんてさ。」 だから戻れと天真は頼久に言い切った。近づいて来る娘を見て天真は頼久に立ち去るように促した。天真は簾を下ろして少し中へ入った。近寄る女性を視線で違う方向へと導きながら本来の方向へと行かせないようにした。 「はぁ・・・行ったか、両方とも。」 天真の牛車の周りにはお付きしか残っていなかった。少し入り口の方へ動くと簾を上げて外を見た。 「わっ・・・驚いた。いたなら声をかけろよ。」 入り口のところにはぬぼーっと黙って立っていた男がいた。天真は手招きをして中にいれた。 「どうしたんだ、今日は。」 「お前の方こそどうしたんだ。それは貴族の女性が着るものだろう?」 「あぁ・・・これか。お前らのせいで俺はこんな服を着せられてる。」 「避けるのを失敗したのが悪い。」 「そうだよ。俺が悪いんだよっ。」 「そう拗ねるな、地の青龍よ。」 「・・・いい加減、そう呼ぶのやめてくれないか?ちゃんと教えたんだからさ。」 天真が笑いかけた相手は、天真の頬に触れて髪の毛に口付けた。腰の開いている股立から手を入れた。 「ばっ、ばかっ。何処にて入れてるんだよっ。」 「したく・・・ないのか?」 「したいけど・・・ここは外で、それに周りには人がいるんだぞっ。」 「人?あぁ、従者達の事か?あの者達なら離しといたぞ、遠くへ。」 「マジで?」 イクティダールは天真のことばに少し理解できないでいたが、入れていた手を一度抜いてから天真が着せられていた上着をすべて剥ぎ取りもぬけの殻を端に追いやる。身衣と朱の袴だけにして天真を引き寄せた。もう一度、袴の脇の股立から自分の腕が入る所まで生足を撫でた。 「・・・くすぐった・・・。」 「天真、お前何を穿いているんだ?」 「何って・・・?」 下から上へと上がって来た際に身衣を捲り上げて触れた布をそのまま引っ張った。天真は慌ててイクティダールの手を袴の上から押さえた。 「あぁ、トランクス?」 「とらんくす?」 「・・・褌と一緒の役目のもの。」 「お前達の世界では一般的なのか?」 「あぁ・・・種類があるけどな。」 もう片手で結んでいた後ろ紐を解いて、腰板から下へと捲れた。天真も手を伸ばし上着の紐を解いて穿き物のほうへと手をかける。イクティダールは天真の前紐を解いて袴を脱がせた。天真もイクティダールの穿き物を脱がした。 「これがとらんくす?」 まじまじとイクティダールは、天真が穿いていたトランクスを見た。 「すごい柄だな。」 「あぁ・・・来る時にはいてた奴だ。」 天真が穿いていたトランクスの柄は、何処で買ってきたのか外人がお土産で買って来るような、日本のTシャツのような、歌舞伎や版画の写楽などが描いてあるものだった。目を白黒させながらイクティダールがトランクスを見ていた。 「・・・いい加減、見てるの止めろよ・・・恥ずかしいから。」 「此れはどうやって脱がすんだ?」 不思議そうにかつ判ってるような顔をしてにやり笑いをしながら天真を見た。天真は苦い顔をしてイクティダールの服を掴んだ。 「お前、すっげーむかつく。」 天真は俯いて小さな声で呟いて、イクティダールの下着に手を伸ばして外す。笑いながらイクティダールは天真のトランクスを脱がした。 天真の背中に廻した手がするすると降りてきて蕾へと手がかかる。天真はびくっと背中を反らしてすぐに抱きついた。 「積極的だな。」 「いきなり其処に触れるなよ。」 「では・・・。」 片手を天真の唇をなぞらせるとそのまま口の中に指を三本含ませる。うしろを撫でていた手を前に持って来て天真自身に触れる。 「・・・ふっ・・・んっ・・・。」 イクティダールはくちゅくちゅと音を立てて天真自身を擦り、握り、先を押さえる。天真は口の中の指を丁寧に唾液が指を伝って流れるほど舌を使って濡らしていく。口の端からたまる唾液が零れて行く。 「もういいだろう。」 ずぼっという音を立て天真の口から指を抜き出す。持ち上げずそのままするすると顔から喉、胸、腹と移動し、背中に指を廻して蕾の中にゆっくりと一本まず含ませる。 「・・・あっ・・・んっ・・・。」 「相変わらず良い反応だな。」 「・・・っば・・・っ・・・。」 膝立ちしている天真はイクティダールの首に抱きついた。乱れた身衣から覗く乳房をイクティダールはヒト舐めした。 「あっ・・・やぁ・・・。」 「いや?やめようか?」 にやにやと笑いながらそれでも蕾の中に入れた指を動かし、一本から二本、三本と増やして更に不定の動きをさせる。 「・・・じわる・・・。」 「なんだ、やめてほしいのか。」 「やめるなっ。止めないで・・・。」 「なら自分からいれてみろ。」 抱きついている天真の後頭部から追い打ちをかけるように囁く。天真は顔を赤らめたがイクティダールにはみえていなかったが、体温が上昇しているために気がついていた。 「手伝ってやる。」 あぐらをかいているイクティダールを足を開いて跨いだ。手伝うと言うイクティダールは指を動かしながら自分自身の上に来るように天真を引き寄せてから指を抜いて蕾を広げるように指を入れ換える。天真はゆっくりと腰を下ろし抱きついていた片手を下ろしてイクティダール自身にそえて自分の中に埋めて行く。 「・・・んんっ・・・。」 正座をするようにイクティダールの上に座り込む。すべてを受け入れて天真は動けずにとまっていた。 「このままでいいのか?終わらないぞ、それに迎えも来よう。」 「えっ・・・。」 「しかも天の青龍を連れてな。」 動けずにいる天真とは違って余裕の顔をしているイクティダールは急かすように下から腰を揺さぶる。 「・・・はっ・・・んんっ・・・。・・・ぅ・・・ご・・・くなぁ・・・。」 「動かないと終わらないだろ。はやく終わらせたいだろ、だったら協力をしろ。」 一緒に絶頂を迎えると天真を全裸にしてイクティダールは穿き物だけ身につけると川の方へと下りる。イクティダールは暴れる天真を穿き物が濡れるのも構わず川の中にゆっくりと入れる。 「ぎゃっ・・・つめてぇ・・・。」 川の水の冷たさに天真は一気に目が醒めた。イクティダールから少し離れた場所に移動する。冷たい川の水の中でちゃっちゃと身体を天真は汚れを落とした。 「イクティダール、見てるなよ。恥ずかしいなぁ。」 「先程まですべて見ていたんだ。気にせずに、流せばいい。それとも手伝おうか?」 「・・・結構。自分でやる。」 おずおずと自分の蕾の中に指を入れて中に入っている白濁を掻き出しながらこちらを見ているイクティダールに意識していた。 「・・・んっ・・・。」 誘うような声を出してすべてを掻き出すとうしろからイクティダールに抱きしめられた。 「あっ・・・なんだよ、お前。」 「もう一度したくなるような色っぽさだな。」 「もうヤだぞ、お前絶倫だし。あっちで何回俺に出したと思ってんだよ。」 「憶えていないな。」 「退けよ。服、着るんだから。」 抱きしめた腕の位置を変え、濡れるのも構わずに天真を抱き上げる。水が滴る天真の身体を牛車まで運び、持っていた手拭いで軽く拭いてから中にいれた。 天真は身衣と朱袴だけを身につけると畳の上に座った。 「天真、一つ聞きたい事がある。」 「ん?何。」 「天真の天の青龍の関係だ。」 「頼久?ん〜」 しばらく悩みながら天真は口を開いた。 「・・・セフレ?」 「せふれ?」 再び天真のことばに眉頭を寄せて理解できないと首を振る。天真は自分のことばに納得して再び考え込んでからイクティダールに通じることばを絞り出した。 「身体だけの関係ってやつ?まぁ、あっちは武士だから。」 「それがせふれ?」 「あぁ、そう。」 がさがさと足音を立てて近づいて来る中に、一つ違う空気をまとった人間がいた。天真はすぐにイクティダールに帰る様に促すとその場から消えた。脱いでいた事に気がついたが、着もせず簾を開けた。 「よお、頼久。町娘はちゃんとまけたみたいだな。」 「あぁ・・・それより、鬼の男がいたと聞いて走ってきた。」 「大丈夫だ。こんな格好の俺を見逃してくれたようだ。」 先程までいたイクティダールの姿を思い浮かべながら、走ってきたという頼久を見て微笑んだ。手元に有った手拭いで近寄って来る頼久の額に浮かぶ汗を手を伸ばして拭いた。頼久は天真の手を掴んでとめた。 「大丈夫そうだな。しかし、なぜ脱いでいるんだ?」 「・・・暑かったから・・・なんてすっげー言い訳?」 「あぁ、悪い言い分けだな。」 「帰ろうぜ、屋敷にさ。」 外に声をかけて天真は牛車に動かすようにと促した。乗ってなかった頼久は動き出した牛車に飛び乗った。肩に掛けるようにして抜け殻にした上のものを羽織り、桂川に来た時同様にもどるときも無言で屋敷へ向かった。 屋敷に戻ると天真は女房と一緒に自部屋に戻っていった。すぐに着替えると天真の部屋から女房は十二単を持って出て行った。いつもの格好に戻ると天真は廊下であぐらをかいて夕焼けを見ていた。 天真の動かないようにするあかねの作戦は、少し課題を残し成功を収めたといえる。天真の女装姿は屋敷内の仕える者全て魅了するほど可愛いと詩紋は日記に加えた。天真が大けがをする度に女装をさせようとあかねが黙策している事を誰も知らない。 [終] |
後書き:テーマは異性装。学校で文化祭にとかよくあるパターンってのも考えたんですが、ネタが思いつかず、ここはひとつあるものでということで。天真に十二単を着させて見ました。自分にちゃんとした知識がないためにいろいろとうそ八百が入ってることもあります。それからイクティダールの服、よく判らないために嘘があるかもしれません。そして天真のパンツがトランクス。しかも柄パン。ホントかどうかは知りません。だってそこまで設定されてないでしょう?姉と話してて天真の下着はこうだと言うことになりました。天真って何気に流行に乗ってそうで、用途によって違うパンツを穿いてるのでは?と思っています。来る時の服装は学ランでしかも入学式でしたよね。だから勝負パンツという事で柄パン。そんな法則要らないって感じですが(笑)そして天真と頼久の関係はとイクティダールに聞かれてセフレと答えてますが、平安時代によくある武士のたしなみみたいなそんな感じだと思って下さると嬉しいなぁ。イクティダールは・・・まぁ、ご想像におまかせするということで。なんとなく書きたかったので書きました。しかも途中でやめて次のところへ移動してるあたり、自分の不甲斐ない、書くと寿命が切れてしまうし、恥ずかしいという事で・・・。朝チュンみたいなことにしてしまいました(あはっ)一体、何回したんでしょうね、あんな狭い所で・・・。それもご想像におまかせします。ということで(どういうことだ)難しかった、知らないことばかりで。 |