霧龍 要瑪


彼のことを誰も知らない街を一人、千秋は歩いていた。
コトバも路も知らない中、人の流れに逆らって歩く。
肩がぶつかろうとも何も言わず、聞かず、ひたすら歩き続けた。
不意に後ろから千秋は肩を叩かれ振り向く。
逆光に照らされた顔は、よく見えなかったが、雰囲気が千秋を落ち着かせていた。
千秋は瞳を凝らし、顔を見ようとした。
いきなり光が千秋の前でフラッシュした。
そこで千秋は瞳を覚ました。
上体を起こし、周りを見た。
そこは千秋の通っている学校の寮の彼の部屋。
隣りにはもう一人の少年が眠っていた。
起こさないようにベッドから出て、
散らばっている洋服の中から自分のYシャツを見つけそれだけを羽織る。
カーテンの隙間から覗く、月を窓辺に手を突いて見ていた。
いつの間に起きてきたのか、布団をそっとかけてきた。
「・・・起こしちゃった?朝まで、まだ、時間、あるよ。」
「起こせ、ばか。身体、冷やして。また倒れたらどうするんだ。」
「ごめん。気持ち良さそうに眠ってたから。」
「隣りにいるはずのお前がいないから焦ったぞ。」
「夢を見ていたんだ。それで瞳が覚めたら月が見えて・・・それにつられたんだ。」
「夢?それは俺のか?」
にっこり笑って千秋の顔を見た。
「それに疲れ足りないから夢なんて見るんだ。ベッドに戻るぞ。」
少年は千秋を優しく抱き上げ、ベッドに戻りゆっくりと降ろした。
数時間前にしている千秋の躰は、もう受け入れられる状態になっていた。
それでも千秋の露になっている身体を手と唇が徘徊して行く。
その隠微な動きに千秋の身体は、びくびくと小刻みに揺れる。
そんな千秋の身体に更に身体を徘徊していた唇が、千秋自身を口に咥えた。
千秋の身体が弓のように反る。
手を伸ばし少年の頭に置いて、引っ張る。
その行為が更に自分を追い込むことだと判っていても、ついしてしまう、千秋の癖。
千秋のその行為すら愛しいと彼は千秋自身を愛撫し続ける。
少年は手を伸ばし千秋の敏感になった胸の突起を摘まんだ。
2ヶ所同時に敏感なところを愛撫され千秋は上半身を捻った。
「あっ・・・やめっ・・・んんっ・・・・」
千秋は息を絶え絶えに哀願した。
「本当に止めていいのか?」
少年はにやり笑いで千秋を見た。
千秋のコトバの抵抗も虚しく、少年は身体の隅々を愛撫する。
千秋は首を振り瞳の中に涙を溜める。
「・・・ばか・・・止めるなよ・・・。もっと・・・」
”もっと俺を淫らに壊すぐらい引き裂いて”言わずとも通じ合う彼らのコトバ。
貪り会う二人の身体はけして一つにはならないと言うのになるぐらいの勢いで絡まり会っていた。
抱き合う二人の先には二人にしか見えない楽園が覗いていた。
そこまであと少しと言う所で少年は千秋から遠ざかって行く。
千秋が不安な目を向けると少年はにっこりと笑って再び強く抱き締めた。
「一緒に・・・だろ?」
昇り詰めている速度が違うのは一緒に気持ち良くなれないということ。どちらかが先に楽園に入り込んでしまったら、あとからはドアが閉まってしまって入る事が出来ない。
彼もそれを知っている。千秋ももちろん知っている。だからこそ彼は速度を合わせるために千秋から少し離れたのだ。
あと一歩。確実に階段を上りつめ二人は一緒に楽園を見た。
夜の間、再度千秋が目を覚ます事はなかった。
それは二人で同時に楽園を見たから。
甘い甘い、二人だけの楽園へ・・・。


後書:この作品は随分前に書き始めていたものでした。
しかし長いこと封印されていたのでどんな話を書きたかったのかさっぱり・・・(^^;
”千秋”と言う少年は一応、オリジナルキャラで、某場所に生殖しており、
探れば見付かるかもしれませんが、それとはまた違うという事で・・・。
一緒なんですけどね。実は・・・(^^;
ただ、その相手の子(?)にも許可もなく書いているので、
違うという事で知っている方はご了承下さい。
少年の名はあえて書くのをやめました。
Hだけですみません。
話の内容も減ったくれもありません。
ただ書きたかっただけなんです。
”夢”から覚めたらどうなんだろうって・・・。

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