第3話:藤田家の二階でアイを叫んだケダモノ

 

「・・・・・・マルチ・・・・・・」

「あっ・・・・・・」

「どうだ、いい気持ちだろう」

「は・・・い。  あっ・・・・・・・・・・・・ぅう・・・・・・も・・・もう少し・・・やさしく・・・・・・」

「ん? あぁ、悪い。 ・・・・・・こんなもんか?」

「あぁ・・・・・・」

マルチはうっとりした声を出す。

『しかし、来栖川の技術もたいしたもんだ。 ここまでリアルな声を・・・・・・』

「・・・・・・すいません。 いつもは私がご奉仕しなければならないのに・・・」

「たまには俺からもやりたくなるんだよ」

「そ・・・そんなものでしょうか・・・、あっ・・・・・・浩之さんそんなに・・・・・・・・・あぁっ・・・ん・・・」

「ふふふ。可愛いのう。 こんどは・・・・・・、ここだ!」

俺は手を休めない。

「あうっ・・・あ・・・あ・・・・・・浩之さ・・・・・・ちょっ・・・あ・・・・・・んっ・・・・・・」

マルチの体がガクガク揺れる。

「あ・・・はぁ・・・・・・あ・・・・・・・・・・・・そんなふうにされたら、私、私・・・・・・・・・・・・ああぁっ・・・・・・!」

プシッ!

『ヴイイイイィィィィ・・・・・・・・・・・・ン・・・・・・』

「あ・・・やべっ!」

ヒューズが飛んでしまったらしい。 少々やりすぎたかな・・・・・・・・・。

 

30秒後――マルチは目を覚ました。

「・・・う・・・ん・・・。 ぁ・・・ああぁっ! すいません、すいません、すいませ〜〜〜ん!!」

「いいって。 俺も悪ふざけしすぎた。 ごめんな、マルチ」

そう言ってから、頭をなでてやった。

「しかし・・・・・・」

「はい、何でしょう」

「あ・・・いや、肩まで凝るロボットだったとは・・正直びっくりしたぜ」

「そうですよね・・・。 こんなんじゃ、私、メイドロボとして失格ですよね・・・・・・。 御主人様に迷惑をかけて・・・・・・。

 妹たちにはこんな邪魔な機能はついていないんですが・・・」

「何が邪魔なもんか。 むしろ、俺は、そういうの好きだぜ。 なんか・・・・・・マルチにだけしてもらえるんじゃなくて、

 こっちからも何かしてあげられる――そういう関係って、お互いをいたわれていいじゃねーか」

「はあ・・・・・・」

「それに・・・・・・、お前を作った開発スタッフも大事に扱って欲しいからこそ、敢えてその機能を付けたんじゃ

 ねーのか・・・・・・。 言うなれば、親が子供に与える愛情――なんだと思うぜ。 だから、俺もその愛情に

 こたえなきゃ・・・な」

「浩之さん・・・・・・あの・・・・・・言ってもいいですか・・・・・・?」

「ん・・・・・・何だ?」

「私、浩之さんが大好きでした! でも・・・・・・今は・・・・・・もっともっと大好きです!」

「・・・・・・俺もだぜ、マルチ・・・・・・っと、さて、続きやるぞ。 ほれ、肩出しな」

「あっ、いいです。今度は私が・・・・・・」

「駄目だって。 お前はデリケートに出来てんだから。 5分そこらじゃ十分ほぐれねえだろ」

シリコンの肌に手を掛ける。

「今度はやさしくするからな・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・はい・・・・・・・・・・・・」

マルチのぬくもりを感じながら、・・・・・・俺は幸せだった。

                                      〜完〜

 

――戻りますぅ――