◇ 淡き光に ◇


空 燃え尽きる前の
金色に輝く草海に巨大な飛竜が舞い降り
その隣に目に映る全てのモノを燃やし尽くすかのような
蒼い炎を瞳に宿らせし修羅が降り立つ
 

暫くは舞う銀に身をまかせていたが
背後に人の気配を感じ取り蒼き瞳だけを動かし
その人物を見る
 

けれど その目に映りし者は黒き服に身をつつみ
顔を確認する事かなわず
 

いぶかしる様に修羅は背後の影を見るも
その影 修羅を恐れる事もなく訪ねる
 

『どこに 行かれますか?』
 

問われし問いに誘われる様に
知らず知らずに低く通る声で答える
 

『・・・未来』
 

修羅の答えし言葉に影は頷き
そして ゆるりと己の手を差し出す
 

『では、乙女の奇跡でも消える事叶わず
私の胸奥に残ってしまった想いを貴方の未来へと託します』
 

言う影の手の中には 小さな けれど泣きたくなる程に
暖かな光の粒が現れ そして修羅へと
吸い込まれる様にして 消えた
 

まるで己が望んだかの様に胸の中へと消えた光を見つめ
蒼き瞳の者が顔を上げると 隣にいるはずの人物も
光と一緒に消滅したかのごとく消え
ただ あるのは
沈む陽の 濡れて金色に染まりし草海が銀にたなびき
ゆれる
 
 

その同時刻
王都では 翼ある乙女に生まれ変わりを願われ
赤子へと姿を変えた かつての友人の悲しい想いが消えた事に
枯れ木にも似た魔道士だけが気付いた