道標


強い風が通り抜けた
見上げる瞳に力強く羽ばたく竜の姿
その姿に周囲から感嘆の声が上がる
竜は迷うことなく、一直線に消えていった

ゆっくりとした動作で手綱が引かれる
優雅に飛竜が方向を変えた
ゆったりと、優雅に空を舞う
その姿に焦燥感など微塵も無く
それはまるで、散歩を楽しんでいるかの様に見える
軽く握られた手綱は揺るぐことがない
それは迷いの無い証
自分が行くべき先を知っているからこその態度

聞こえるのは、風の音
微かな呼び声
耳には聞こえない音が、甘く名前を呼ぶ
確かに存在している事を伝える様に
風の中に紛れる様に、柔らかな声が呼ぶ
道に迷わぬ様に、迷わずたどり着くように
道しるべの様に聞こえる声
存在を全身で感じながら、彼はゆったりと飛竜を駆る

揺るぐことの無い自信
それは、信じているからではなく、知っているから
最愛の者が待つ場所ではなく、待つ者の存在が揺るぎない事を知っているから
きっと
もしもその居場所を見いだす事に時間がかかったとしても
その手がかりをなかなか掴む事ができないとしても
揺るぎない真実を知っているから
惑わされる事無く前へ進んで行く

そして………
巨大な飛竜が、静かに舞い降りた