「ねぇ…キラさん。」
「…俺を…殺してくれませんか。」
***声***
それはいつからだっただろう
気がつけばそれは、ずっと俺の中で声がしてた
最初は気のせいだと思ってた
でもそれは、寝てる時も起きてる時もどんな時でも聞こえてくるようで…
俺はそれが怖くて、戦闘になるとそれを掻き消すように、がむしゃらに敵を倒しつづけた
だってそうやって戦ってる時だけは、何故だかその声が聞こえない気がしたから…
でもそれはけして消えることはなくて…
誰かに相談しようと思ったりもしたけど、そんなよく分からないことで心配なんてさせたくなかったから
それにこんなの、いつかは消えてる
そうやって自分に言い聞かせてきた
言い聞かせてきたけど
だけど…
消えるどころか、しだいに強くハッキリと聞こえてきたその声を聞いて
俺は…
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「シン…。」
目の前で心配そうにしている彼、キラ・ヤマトは
俺が尊敬し、一番心の許せる…大切な人、
そんな彼は、ここ最近の俺の変化に気付いているだろう。
それでも俺に何も言わなかったのは、きっと俺が話すのを待ってたから。
「…。」
俯いていた顔を上げて彼の顔を見ると、それに気付いたのか彼はやさしく微笑んだ。
「っ…。」
そんな彼を見た途端、俺の目からは涙がぽろぽろと流れる落ちる。
そんな俺をやさしく抱きしめてくれる彼。
あたたかい…。
「…キラさん…ごめん。ごめんなさい。俺…もう…駄目なんです…」
「…駄目って…どうして?」
「声が…声がずっと聞こえてたんです。」
「声?」
「今まではそれが何なのかわからなかったんです。」
「…でもようやく分かりました。」
今まで、俺の中でずっと聞こえてた声は俺の声。もう一つの俺の声。
復讐と怒りに染まった…もう一人の俺。
そんなもう一人の俺がずっと俺に言いつづけてきた言葉。
「殺せ」という言葉。
知らず知らずのうちに、俺はその言葉にしたがっていたことに気付いた…。
でも今更そんなことに気付いてももう遅い…もう戻れない…。
きっともうすぐ…もう一人の俺が俺を飲み込む。
だってもう声がハッキリ聞こえてるし
それに、ほら…
もう、すぐ目の前まで来てる。
「ねぇ…キラさん。」
だから…俺は
まだ俺でいられるうちに
大好きな彼に
最後のお願いをした
END