幽霊狩りの夜
『Ghost Hunt Night Walk−1 』
<竜酸さん>
あーっと、これはみなさん。初めまして。
お揃いでどちらへ? あぁ、ゴ−スト・ハント・ウォ−クへ行かれるのですね。
ゴースト=幽霊 はぅ、幽霊は怖いけど、「怖いもの見たさ」ということで、
私もご一緒させていただきます。 いいですよね?
<アリス@PACHIさん>
「Good evening, ladies and gentlemen ! ようこそ、『ゴーストハント・ナイトウォーク』へ」
赤い羽根飾りつきの帽子に青い上衣、青いズボンのガイドが、集まった客たちにシュルーズベリのナイト・ツアーの始まりを告げている。
パブのカウンターにもたれるようにしてビターのグラスを傾けていたアリスは、残りの金色の液体を軽く飲み干すと、おもむろに背の高いスツールからすべり降りた。栗色の髪をかきあげ、白い薄手のコートをさっと羽織ると、店の前に出てきたツアー参加者の群れに向かって歩き出す。
だが、彼女のお仲間は青服のガイドが率いる一行ではない。
「それじゃみなさん、出発しますよ〜」
小柄な女性の声に応えて集まった数人は、全員一見普通の人間だったが、アリスの目にはその中に混じっている群青色の猫も白いうさぎも、正体はお見通しだった。かれらも彼女が「同類」であることに気づくだろう……。
「こんばんは、SKYFISHさん、みなさん。私はアリス、通りすがりの旅の者です。今夜はご一緒させてくださいね。どうぞよろしく」
一行は無口だったが、笑顔がアリスを歓迎している。ガイドのSKYFISHもにこやかにうなずいて、アリスを一行の小さな輪の中に招き入れた。
すっかり薄暗くなり、店もあらかた閉まってしまったハイ・ストリートを、ぞろぞろと20人ほどの団体が歩いていく。その後ろにアリスを含めた数人のグループがついていく。
道を曲がってワイル通りに入ると、向こうから1人の若者がにこにこしながら近づいてきた。集団の中にSKYFISHを認めると、陽気に声をかけてくる。
「あーっと、これはみなさん。初めまして。
お揃いでどちらへ? あぁ、ゴ−スト・ハント・ウォ−クへ行かれるのですね。
ゴースト=幽霊 はぅ、幽霊は怖いけど、「怖いもの見たさ」ということで、
私もご一緒させていただきます。 いいですよね?」
アリスのときと同じように、一行は笑顔で若者を歓迎した。もちろん、アリスも。
再び歩き出した一行は、やがてセヴァーン河へとさしかかった。
イングリッシュ・ブリッジを渡る途中、アリスはふっと不思議な風を感じたが、川べりにも暗い水面にも、なにも変わった様子は見つからなかった。
「ちょっと、遅かったかな……?」
アリスは小さくつぶやくと、先へ歩いて行ってしまった一行のあとを小走りに追いかけた………。
<竜酸さん>
「うーん…‥ 幽霊の気配でもするのかなぁ?
体がゾクゾクしてきましたぁ。」
ふと、一行が小走りにアリスの後を追いかけると・・・
「あぁ〜 皆さん、待ってくださいよ
肝試し中に集団で走られると怖いんです〜
幼き頃から、これだけは苦手なんですよぉ〜」
<アリス@PACHIさん>
「あぁ〜 皆さん、待ってくださいよ〜」
泣きそうな声に後ろを振り返ると、さっき途中から合流した若者、竜酸があたふたと走ってくるところだった。
アリスは思わず彼のあわてように吹き出してしまったが、歩調をゆるめて竜酸が追い付いてくるのを待った。
「大丈夫よ、そんなにあわてなくっても。……何か見つけた?
この街はねえ、イングランドとウェールズの境にあるために、昔から何度も何度も戦争に巻き込まれてきたの。そのせいで無念のまま昇天できない幽霊もたくさんいるんだけど、夜中に姿を現してくるのは、なにも幽霊だけじゃないのよ。
いろんな妖精や魔物たち、この世ならぬものたちが集まるところ……それがここ、シュルーズベリなの。
……あ、ほら。修道院が見えてきたわ。あそこの墓地にはきっと幽霊も大勢いるはずよ……」
そういえば、いつの間にいなくなったのか、白いうさぎの姿が見えない。
「妖精についていっちゃったのかしら……?」
アリスはちょっと不審に思ったが、あのうさぎはどちらかといえば妖精たちとは同類のはずである。心配はいらないだろう。狭い街だし、迷子になってもすぐに会えるに違いない。すれ違わなければ……の話だが。
<竜酸さん>
アリスの話を聞くと、先ほどの不安は何処へやら…
「へぇ〜 幽霊だけじゃなくて、妖精や魔物とかも集まってくるんですかぁ。
もし会えたりするといいですねぇ〜 記念写真撮ったら一緒に写ったりして…」
竜酸は少し安心したようだ。