幽霊狩りの夜
『Ghost Hunt Night Walk−2a 』
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<アリス@PACHIさん>
闇の中に、シュルーズベリ修道院の教会堂の四角いシルエットが一際黒々と浮かんでいる。
門も閉ざされ、静まりかえった修道院はなかなか不気味な雰囲気だったが、ちらほらと窓辺に見える灯りが恐ろしさを和らげている。
ナイトツアーの一行は修道院の建物をぐるりと回って、裏手の墓地に入っていった。そこは、石の十字架がぽつぽつとまばらに立ち並んでいるだけの寂しい墓場だった。
ツアー客たちはみな一様にきゃあきゃあと、なかば怖がり、なかば楽しげな声を上げながら、忍び足で墓石の間を歩いていく。かれらの中には、そこに集まっているものたちの“気配”を感じ取れる程度の者なら何人かいたかもしれないが、姿を見ることのできるほどの者はいないようだ。
アリスは微笑しながら、墓石の間をふわふわと漂っている無邪気な幽霊たちの姿を目で追った。足元で、きれいな群青色の猫も金色の瞳をきらめかせて一点を見つめている。アリスと目が合うと、青い猫はにゃあんと小さく鳴いて笑った。
アリスはおっかなびっくり後ろをついてくる竜酸に手招きして、青猫の見つけたものを教えてやる。もちろん、ほかの普通人の一行には聞こえないひそひそ声で……。
「ほら、竜酸さん。あそこ見て、あの木の下。幽霊たちが輪になって踊ってる。今夜はずいぶんごきげんみたいね。……ふふふ、怖がらなくても平気よ。ここは修道院の墓地だもの。邪悪な霊は入ってこれないわ」
<竜酸さん>
アリスの指差す方向に竜酸もふと目を向けた。
「あぁ〜 確かに。 とても楽しそうですね。
見ているこっちまで楽しくなってきますよ。」
竜酸は安心を通り越してごきげんなようだ。
「幽霊は幽霊で楽しくやっているんですねぇ〜
なんと微笑ましい光景なんだろう…」
竜酸はそう言いながら輪になって踊っている幽霊たちに見とれていた…・・
<青猫さん>
「幽霊は幽霊で楽しくやっているんですねぇ〜
なんと微笑ましい光景なんだろう…」
そういう竜酸に、足下の猫が笑うように言った。
「俺は人間達を見ている方が楽しいぜ?」
びっくりしてこちらを見る2人に、ちぇっ、と舌打ちして続ける。
「今夜は黙っているつもりだったんだけどさ。ここらで喋っておかないと、な」
<竜酸さん>
「今夜は黙っているつもりだったんだけどさ。ここらで喋っておかないと、な」
しゃべっている猫に向かって…
「なななななな、 な、何をしゃべるつもりなのかなぁ・・」
喋る猫に対して、竜酸はドギマギした様子だ。
<青猫さん>
猫は大あくびをした。
「もともと俺は人間達の起こす騒ぎが好きなんだ。だから今夜は人間見物にと思ってやってきたんだけれど、あんまり騒ぎが起きねぇなぁ、こっちの世界では…違う世界ではなかなか賑やかなようだけれど。ま、いいか。ここでもそのうち何かが起きるかも知れないしね。ああそうだ、俺はあんたたちの言う《化け物》は見なれているから、今そこにいる奴らが悪さはしないってことは判るけれど…それよりも気をつけた方がいい」
「な、なんでしょう」
猫はまぁるい目をきらりとさせて、悪戯っぽい口調で言った。
「あんた、結構トロいだろ?迷子になるなよ」