シュルーズベリ・24

『Picnic at Acton Scott-6』

竜酸さん

「え〜っと… では、りうさん、 お食事してきますから

 待っていてくださいね。 お食事の後にいっしょに出発しましょう♪」

竜酸は、「りうさん」にそう言い聞かせながら、馬をつなぐ。

 

「お食事、お食事〜♪ …っとそのまえに、手を洗わなくては… 某集団食中毒事件みたいになっちゃあ大変ですからねぇ」

そういって、竜酸が見たものは井戸である。

「うわぁ いいですねぇ〜 なんか… クラシカルな感じが…(謎)

 テレビや漫画で見るけど実際に使うのははじめてですよ。

 え〜っと… 確か… 水を入れて、レバーみたいなのを上下に動かすんでしたっけね…」

テレビなんかで見た井戸で水を汲むシーンを頭の中で思い出しながら、レバーをひたすら上下に動かす…

「うわぁ〜い 出た出た〜〜♪」

無邪気に喜んでは出てきた水で手を洗った。

「くわぁ〜 つめたぁ〜い  さすがは地下水。 ん〜 いい気持ち〜〜」

水が出たり、水の冷たさに歓声を上げては喜んでいた。

 

さて、手を洗ったらいよいよお食事である。

SKYFISHさんに案内されるがまま、食堂に入った。

「SKYFISH!いいところに来たわ、手伝ってちょうだい。お皿と飲み物を運んでね」

元気の良い声……農場主スチュワートの奥方、ロッジの女主人、世界で一番強いお母さん(らしい)サム(サマンサ)です。彼女と親しくなったら、有無を言わさず、お手伝いさせられてしまいます。

「はぁい、サム。あ、みなさん、適当に座ってて下さいね」

「は〜い♪」

そういうわけで、竜酸は席についた。

食堂内の雰囲気が気に入ったのだろうか、竜酸はまわりを見回していた。

青猫さん

>「すぐ食事ですよ。けど、その格好だと、ミルクとなにか、少ししか食べられないかもしれません……第一、食卓に猫が乗ったら、怒られると思うな〜」

はぅぅぅっ!!!

猫は言われてそのことに気付き、パニックに陥りそうになった。

『気が付かなかったぁぁぁぁっ!!』

仕方ない、さっきのかっこになろう……猫は慌てて物陰にすっとんでいき、先程の大男の格好になって戻ってきた。

「さぁっ!食うぞぉぉぉぉぉっ!」

ふと気付いて、竜酸と同じように手を洗う。

がしゃんがしゃん。じゃぼじゃぼじゃぼ。

濡れた手は、適当にぴっぴっぴっ。

 

食堂に入る。喜びのあまりウルウル目になってしまいそうなほど、大きなキッシュだ。手近なところに座り、やっぱり可愛い声でSKYFISHに聞く。

「こ、これ、全部食べていいのっ?」

全部、というのはキッシュの大皿の事で…つまりは1人(1匹?)で食べてしまうつもりらしい。

サンドイッチにも目を輝かせる。

「もう食べていい?」

誰か止めてくれないと、みんなの食べるものがなくなってしまう…。

PACHIさん

農場の空気はアリスにはふるさとのようなものだ。

アクトン・スコットの農場は牧畜のほうが中心らしかったが、牧草地を渡る風はどこの土地だろうと変わらない。牛や馬や羊たちのニオイさえ、アリスにとっては慕わしい馴染み深いものだった。

昔ながらのやり方で、太陽と水と風との力を借りながら大地の恵みを実りに変えるこの地の土は健康で、生命の力に満ちあふれている。

アリスは歌い出しそうな上機嫌で(コマドリのときはずっと歌いっぱなしだったのだが)その辺の動物たちや木や草花たちに、人にはわからない言葉で挨拶して回った。

 

さて、食事である。

巨大なキッシュの大皿に狂喜している猫とは違って、アリスはそんなに食べ物に執着があるわけじゃない。ほうれんそうとキノコ、それにチーズとハーブの2種類のキッシュを一切れ(この大きさ&深さでは、ひとすくい?)ずつ皿に取り、あとは木製のカップで中身が見えないのをいいことに、こっそり自ら調達したエールを飲んでご満悦だ。

「う〜ん、このチーズ、絶品ね♪ ようこっこ、竜酸さん、食いしん坊の猫に全部食べられちゃわないうちに早く味わったほうがいいわよ」

竜酸さん

「こ、これ、全部食べていいのっ?」

竜酸は青猫さんの言葉にびっくりした。

(うわぁ! この人、あんなにたくさん食べるつもりなのかなぁ?

 う〜ん… たくさん食べるからこんなに背が高くてガタイがいいんだなぁ)

「おっとぉ! 私も早く食べなくてはなくなってしまうぅ〜」

とりあえず、一人分の普通の量を皿に盛る…

数分後…

「ん〜 なんか… まだまだ足りない… おかわりぃ〜」

どうやら一人分では竜酸には足りなかったらしい…

【SKYFISHさん】

>「こ、これ、全部食べていいのっ?」

はっっ……しまった。

SKYFISHはあわてて、厨房のサムにご注進。

「サム〜〜っ。忘れてたけど、すっごい大食漢がひとりいるんだ」

「あなたはね、オーバーなのよSKYFISH。で、どのくらい『すっごい』の、その人は?」

「キッシュひと皿がオードブルくらい(ここはちょっと大目に見積もっておこう)」

SKYFISHの答に、サムは何やら考え込む。

「……そりゃ『すっごい』わね。そぉねぇ……今日は午後からのキャンセルがあったから余分に出してもいいけど…」

サムは、SKYFISHの方をちら、と見る。

「後で遠乗りに行くと言ってわね?スティーブンとジョアンを一緒に連れて行くなら、OKよ」

「えぇえ〜、ジョアンも〜?」

SKYFISHは嫌ぁな顔をする。ジョアンはまだ4歳になったばかりで、人語を完璧に解するとは言い難い。

「そう。じゃ、商談成立ね!さ、これ持ってって」

いったいいつ成立したんだぁっ?と、SKYFISHは叫びかけたが、おかーさんにはかなわない。

まあ、なんとゆーか、昼食難民になる人が出るのだけは、防げそうだ。

 

食堂に戻って、青猫さんの耳に内緒話。

「2セット出てくるから、1セットは食べても良いですよ。そのかわり、後で子守手伝ってね〜」

相手が、人間以前のやんちゃ娘だということは伏せておこうっとf(^_^;)。

あ、みなさん、出遅れない内に食べてねf(^_^;;)。

青猫さん

>「2セット出てくるから、1セットは食べても良いですよ。そのかわり、後で子守手伝ってね〜」

SKYFISHに耳打ちされた前半部分は、猫(大男)を狂喜させた。

もちろん後半部分が耳に入らなかったことは、いうまでもない。耳に入っても入らなくても、子供が猫をかまいたがるのは古今東西を問わないので、先は見えている。猫が文句を言おうと、ガイドにとっては「言った」と言えばすむことだろう…多分。

お許しが出たので、キッシュとサンドイッチをが−ばがばと食べ、シードルもがぼがぼがぼと流し込むように飲み、サラダもばりばりと食べる。

掃除機で吸い込むような勢いで、行儀作法など全く関係なく、ひたすら食べる。

「おいしいなぁ、おいしいよぉ」

時折言葉がもれるほかは、せっせと食べる。

ひたら食べる。

竜酸さん

「え〜っと… おかわりいただきますねぇ〜」

そういってまた竜酸はお皿にもりはじめる。

おさらにもり、食べようとするとふと視線が青猫さんに釘付けになった。

「うわぁ〜 すごい勢い… 私にはあんなマネ、できませんよ…」

竜酸は食べるのを忘れて呆けていた。

 

「…あ! 私も食べなくては! あの勢いじゃあ早くなくなりそう!」

そういって、竜酸はまた食を進めた。