今朝――――婚姻届けを出してきた。
式はしない。この星では誰も来てくれないだろうから。
女王だったアンジェリークと守護聖だったゼフェルとがほぼ同時にサクリアをなくした。ゼフェルが1月前になくした時、宇宙全体で大雨が降った。そのあとすべての星にあたたかな風がふいたかと思えば、アンジェリークは次の月にはもうサクリアをなくしてしまっていた。
そして、ゼフェルが迎えにやってきて。みんなが見守るなか、二人は聖地をあとにした。
その時、ゼフェルは25に、アンジェリークは23。
「遅かったじゃねーか」
お風呂からあがったばかりのアンジェリークにゼフェルは小さなグラスをわたす。シャンパンが少しだけ入っているその真っ赤なグラスはゼフェルの瞳のようだった。
ずっと湯船のなかで考えていたのだ。この人と結婚したのはすごくうれしいし、この夜何がおこるかなんて知っている。嫌じゃない。だけど。
ずっとからまわりして、困って、どうしようもなかったけれど、やっと出て来ることができた。
ゼフェルを愛しているから。
「ゼフェ・・・」
シャンパンを少し飲んだあと、出てくる言葉なんて、何もない。でも何かいわないと、と思うと相手の名前しか出てこない。
いじらしいアンジェリークにゼフェルは不意にキスをした。シャンパンのグラスがパジャマにあたってポチャンと小さな音が聞こえる。
ゼフェルはアンジェリークの背中に手をまわす。
キスをするのは初めてではない。でも一緒にすごす夜は初めてだ。何度も手をだしかけてはとどめたゼフェルの中の獰猛な野獣を、今日はとめられそうにない。
何もかも手にいれるために、どんなことでもしてみせる。
ゼフェルの目は炎のようにもえたぎる。
「ゼフェル・・・」
息継ぎをして、名前を呼んで。
またキスをして。まとわりつく舌がゼフェルの欲求の通りに、その頬に、額に、耳たぶに、顎に。何度となくキスをするのだ。その吐息が熱くもれだすまで。
ベッドまではまだ遠い。そんなこと、もうどうでもいい。ここでしたいのだ。
アンジェリークをベッドに優しく誘導する余裕なんてさらさらない。
「アンジェ」
「ゼ・・・ぁ・・・」
声が小さく漏れ出す。声をひきだすために、もっとたくさんのキスをする。首筋を強く吸う。
後を残して、この身体が自分のものだといいふらしてやりたい。
「・・は・・・あ・・・」
たえられなくなって少しずつアンジェリークの声が大きくなっていく。
それにつられてゼフェルの身体も反応していく。しかし、もうすこし待たなければならないのだ。ゼフェルは自分が着ていたパジャマをぬぎすてた。
「アンジェ・・・」
うつろな目は熱にうかされたようにゼフェルを見下ろしている。普段なら絶対に見ることのない顔。いやらしい女の薫がゼフェルの頭をふっとばしそうになる。
今すぐにでもいれたくなる。
あの身体をぐちゃぐちゃにして、今までがまんしてきた鬱憤をはらしてやりたくなるのだ。
「あん・・・ゼフェル・・・・や・・」
アンジェリークの股を開いていくゼフェルに抗議の声があがる。しかしその声はねだるようなすがるような甘い声で、ゼフェルには「もっとして」としか聞こえない。
「アンジェ・・・ここ・・・」
ゼフェルを感じた証がとろとろと指に絡まる。少しずつ指をいれていく。
骨のように固くなっている部分に指が入ると、アンジェリークはあっと声をあげた。
「大丈夫だ」
そして、もっと奥へ。本当は別なものをいれてしまいたい衝動を抑えながら、指は右へ左へとうごめく。
「ゼフェル・・・・」
十分耐えられるくらいになって、ゼフェルはアンジェリークにキスした。ゆっくりと優しく、これからおこることに耐えられるように。
「アンジェ・・・」
耳元でささやくと、大きく足を開く。
それから、ゆっくりとなかへ。
「あっっ」
悲鳴のような声がする。その度にゼフェルはこめかみにキスをした。
なみだ目のアンジェリークはゼフェルを見つめる。みだらなかおりをただよわせながら、ねだるように。
ゼフェルの動きが速くなるにつれ、アンジェリークの内部も限界を伝える。熱くてしかたない身体を密着させて。
「アンジェッ」
頭のなかが真っ白になった時、ゼフェルは自分をアンジェリークのなかにたたきつけた。
TRRRRRRRR
TRRRRRRRR
・・・・・・・・ピー ただいま電話に出ることができません。発信音のあとにお名前とメッセージをおいれください・・・・ピー
「あー、ゼフェルだ。今日は早く帰れるから・・・その・・・先に風呂に、入ってろ・・・・・」
ガチャン・・・・
遠くではお風呂に入るアンジェリークの楽しそうな鼻歌がひびいていた。
モドル