放課後は暑い。

大体いつも暑いけれど、放課後は特に暑い気がする。

夏。

甲子園に出場した夏。

感動が胸を打った。

小さいころからの夢だった甲子園。

3年前、この学校にやって来て、必ず甲子園に行くと決めていた。

そして2年になって、やっとたどり着いたのだ。

でも、一回戦で負けてしまった。

全国の足元にも及ばなかった自分たちがくやしくて、ただひたすら下をむいて甲子園の土をシューズバッグの中につめこんで。

 

背中にアンジェリークの視線を感じていた。

泣きたくなかった。笑って「勝ったぜ」と言ってやりたかった。

それなのに。

 

アンジェリークは泣いていた。「がんばったよ」なんて言葉をかけてきた。

それが異常につらくて、切なくて、苦しくて。

その日はもう、アンジェリークとかわす言葉なんてみつからなかったのだ。

それから1週間。

彼等の夏はまたここから始まった。

小高い丘の上に立ったこの学校のグランドを駆け回り、土を蹴って。

甲子園の砂はマウンドにまいた。

その上で、ゼフェルはボールを投げるのだ。

その視線の先にはいつも バッテリーと、それから「敵」と。

それでも。

 

その奥にはいつもあいつがいるのだ。

ずっとこっちをみている。

ベンチの様子なんか見えるはずのないゼフェルなのに、いつもそこにはアンジェリークがいる。

そしていつも「がんばって」と叫んでいるのだ。

アンジェリークがタオルを差し出す瞬間。

アンジェリークのにおいがするタオルで顔を拭く時。

スコアの結果を聞く間。

 

ずっとずっと。

 

「アンジェ」

そしてまた、ゼフェルの夏は始まるのだ。

この教室から抜け出して。

グランドのどこかの土の整備でもしているあのまぬけでトロくて、それでも一生懸命なマネージャーを探して。

そして、言ってやる。

 

「がんばったからな!!」

 

蜃気楼でも見えそうな灼熱の中で、アンジェリークを抱きしめたい。

それから、好きだと言ってみせる。

そしてもう一度、アンジェリークを泣かせてやろう。

今度は感動の涙で。

 


 

 

 

あとがき

 

ゾロ・キリ・ゲッター

HOME