01  王奕

 一人の少年。
 才能を見こまれ、この山の教主の愛弟子として暮らしていた・・・。
 しかし、その生の中でおそらくは唯一の幸せな時は長くは続かなかった。
 ある日、師の元を訪れたもう一つの仙人界の教主―通天教主―彼の息子との人質交換。
人質としての価値をも認められた特異性、分裂した魂魄 師によって与えられた、これからの、過酷な戦いをくぐり抜ける為に必要な(もしかしたら途中で力尽き倒れていた方が幸福ではあったかもしれない)能力。
 少年、つまりかつての王奕(王天君)であるがその魂魄が分裂した時、当初はあの封神フィールドも無かった。ならば分かれた魂の一部は何所へいったのか・・・
 呪わしい能力・・・戻る事をどんなに強く望んでも分かれた魂がどこへ行ったのかすらわからない。

 魂の半分は転生を果たしたとしたら?

「感じるのですよ
 あやつの個人的な何かのために
 動いておるような感じが…」

そう、例えば太公望がそうだったとしたら?

  02  呂望

 ―――欠けた心を満たす術を探し続ける―――

 それでも、欠けた、人より脆い心でもヒト並の幸せを手にする事が出来たかもしれない。しかし、その心は欠けた部分から崩れてしまった・・・

 そこを妲己につけ込まれている間にもう一つの王奕の魂魄が転生し―――

 百と数十年の後、姜族の村の一つに生まれた子供。
 統領の息子として、一族皆の期待と愛情を受けて育った少年。
 「望」と名付けられた少年。
 名前には意味があるという。一族の、両親の望みか、これから彼が出会う人々の希望となるというのか、・・・それとももう一人の彼自身の望みを―――

 穏やかに笑う兄も、自分を慕う妹も すべてを失い、仙人界へ上がる。
 かの仙女との因縁は偶然か、それとも必然かただひたすら修業を続ける。友にも、仲間にも愛され、かつて王天君が失った生き方を、同じ師の元で―――

 人の激しさを忘れぬままに―――しかし不完全な存在で

「太公望が太極図の
 真の力を発揮するためには
 足りないものがあるんだ
 それが補われた時こそ―――」

  03  王天君、太公望

 しかし、二人が同じ存在、同じ魂だというのならそこに救いは在るのか?
 お互いに憎み合い・・・王天君の策により死に追いやられた人々を思えば太公望は許せないだろう。母親―――妲己を倒す為に生きる太公望を王天君は認められるのか?

 二人が一つになる日は来るのだろうか・・・
 自分が傷つく事は厭わぬ二人

   全てが終わったあと、他の誰が許しても

      自分を決して許しはすまい。その選ぶ道は―――

「太公望よ・・・
 どうか・・・
 重い運命に
 潰されぬよう・・・・・・」

 師の愛というものも確かにあったはずなのに・・・。

  04  エピローグ

 封神計画終了後数年・・・周王都豊邑
 革命者、武王は病に倒れていた。
 統治者としての能力を問われる暇も無いほど突然に訪れた死の匂いを武王自身も自覚していた。
 臨終に立ち会うは、妻たる邑姜、王を助け続けた弟の周公旦、そして後嗣たる成王。
 最後に会いたい人は・・・

「・・・あれが今生の別れになっちまったか」

 残念そうに呟く。最後に会いたかった友であり師であり時には父であった男と最後に会った時、否定しながらも予感はあったのだ。

 涙をこらえる妻の手を握り、その激しい生とは対称に穏やかな顔で逝ったのは、それから間も無くの事だった。

END

あとがき

ジャンプ読んでてなんとなく思った最悪のパターン。
ここまでくるともうギャグだと思って読んで下さい。
20000606 智

BACK
お手紙♪
管理人:さと[智]