居眠りイベント


   ある秋の晴れた日。筆頭魔導士シオン=カイナスは、皇太子セイリオスの執務室を訪れた。
 「お〜い、セイル……あれ?いないな……」
 執務机に主の姿がない。
 シオンは、まわりを見回した。
 外のバルコニーに出る窓が開いている……。
 そちらに足を進める。
「いた」
 シオンの顔に、穏やかな優しい笑顔が浮かぶ。いつもの意味ありげな笑顔か、人を小馬鹿にしたような嘲笑しかしないシオンしか知らない者が見れば、驚くような満ち足りた笑顔。
 広いバルコニーには、白い椅子とテーブルが置かれている。
 その椅子に座り、テーブルに頬杖をついたまま眠っているセイリオス。
 普段は若いながらも、次代の王としての威厳を保っているその顔が、子供のようにあどけない。
 それでいて、セイリオスの持つ怜悧さと気品は決して失われていなかった。
 そっとシオンが歩み寄る。


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 ……ここで選択肢(爆)……。
1,起こす
2,そのままにする。
3,くすぐる。

 「全部却下だ」
 シオンはセイリオスに顔を寄せると、その唇を塞いだ。
「ん……」
 異変に気づいたセイリオスが、目を開ける。
「ん!ん、ん」
 呻くセイリオスにはお構いなしにシオンは、キスを続ける。
 舌を差し入れ、セイリオスの舌を捕らえ、深く口づける。
 暴れようとするセイリオスを、しっかりと抱きしめ、口づけは長く続いた……。

 やっと、シオンがセイリオスを離す。
「シ、シオン!お前という奴は〜!」
「目が覚めたかい?王子様」
「あんな事をされて、覚めないはずがないだろう!」
「それは良かった」
「よくない!」
 セイリオスがシオンの両肩を掴んだ。
 少し伸び上がって、シオンの唇をいきなり塞ぐ。
「!」
 シオンが目を見張る。
 セイリオスはすぐに離れた。
「お返しだ!」
 頬を染めながらそう言って、きびすを返す。
 か、可愛すぎるぜ。耳まで真っ赤じゃないか。
 足音も高らかに、執務室の中に戻るセイリオスの耳元を、シオンは笑いをかみ殺しながら見つめた。




  終わり





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