〜プロローグ〜



 広々とした平原、放置された芝がただひたすら広がっているような平原

歩いてみると靴が少し隠れるくらいだろうか

しかし動物はいない、草食動物にとって楽園のような場所にいない

いずれくる災害に恐れ避難しているのだ

その動物達にとって迷惑極まりない災害、いや人災が行われようとしている

小高い丘から、太陽が芝の朝露を光らせながら顔をのぞかせてきた

するとそれを合図にしていたのか、2つの陣営に分かれていた両軍は総攻撃を開始した

「ワァァァァァ!!!」

悲鳴とも怒号とも両方ともとれる大勢の声が響き渡る

天から見れば大量のアリが凄い勢いで正面衝突しているように見えるだろう

その傍ら、いやその戦いの場を一望できるような小高い丘に

俺は、いた。

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妄・想・伝


 第一章

「な、ここは!?一体・・・ナに!?」

俺は驚くだけだった、それしかできなかった

小高い丘の上で自分が彼らにバレないように身を伏せ

一瞬では理解できない、
いや理解したくないことが目の前で起こっていることを見ることしかできなかった

繰り広げられる戦い、ただの戦いではない

相手を殺すまで斬る突く叩いている

そして一対一ではない、大勢対大勢なのだ

「せん・・・そう!?」

戦争が目の前で繰り広げられているのだ

しかし、何かが違っていた

「アレ!?」

「なんでこう・・・時代が違うんだ!?」

2つの陣営を見てみると、装飾品が全然違っていた

片方は、見るだけで重くなってしまうほど鉄だけでできたようなものに身を包んでいる

15〜16世紀の西洋の鎧、鉄甲冑のようだ

だがもう片方は、

動きやすいように、というか危ないところだけを鉄で何枚も織ったような鎧

大将らしきものは、兜を見れば一見で分かるような派手な装飾

言ってみれば武者鎧、鎧だけではなく武器も刀。

「西洋対東洋なのか!?」

と疑ってしまう

「それより、なんで!?」

相手のことより自分の身。

まったく理解できないこと起こってしまった訳が分からない

「何が起こったか思い出そう・・・」


突然わけのわからないとこにいて、放置されてるともなると独り言の1つや2つはつぶや
いてしまうものだ
「確か・・・いつものようにネットに繋いで、Star ○raftとかネットゲームをやってたな・・・」

Star C○aftは、簡単に言えばシミュレーションゲーム。3種族が争っている、その中で1種族を選び

その種族独特の兵、能力で相手を滅ぼす、
といった感じの、ターンのないリアルタイムでの対戦シミュレーションゲーム。

「んで・・・朝をがきて眠くなったから寝てしまったんだよな・・・。」

「あッ!!」

何かに気付く。

「なぁぁーんだ、夢かー」

根拠のない自己完結してしまう

「念のため顔でもツネってみるか・・・」

シュッ

と音とともに、顔を何かがかすめる

トスッと、近くにその物体が刺さっている・・・流れ弾ならぬ、流れ矢のようだ

鏃(矢ジリ)がかすったんだろう、線をひかれたような痕が頬に刻まれそこから血が流れる

「ハッハッハー、やたらリアルだなー」

かすっただけだが、刃物の傷はとんでもなく痛い。

「痛ぇぇぇ!やたら痛いよままー!!?」

顔をツネってみるという行為の方がはるかにましだったが、痛いということは夢ではない・・・

「あ、でも夢でも痛い時あるよなー」

意地でも目の前で起こっていることを信じられない自分がいる。

夢ならどうやって目覚めようかと苦心しつつ戦争を見てみる

 西洋の方は、数が多い

一方、日本は、それに比べて半分以上は足りない

「西洋の方は・・・。アレか、紡錘陣形・・・だっけな!?」

めっきり傍観者を決めこんでみる、最初からそうだったが。

 西洋の方は真上から見ると軍容が"棒"のようになっている

正面突撃に関してはかなり突破力があると言っていい

 対する日本側も同じような陣形になっている、なんとなく前衛が厚い層になっている模様

「魚麟の陣、だったかな」

真正面に関してはかなり信頼度が高い陣形である

しかし、両方とも同じような陣形、となると指揮・・・もあるけど

こうなれば数が少ない方が負ける

よく見てみると数が足りない日本側がじりじりと押されている、そろそろ時間の問題なのかもしれない

「だが、日本は勝つな」

理由はあった、上から見るとよくわかる

日本側の指揮官が命令をしたのか、部隊長クラスの奴が機転をきかせたのか

機動力の最も高い騎兵隊を切り離し後ろに周りこもうとしていたのだ

その分足りないし正面同士の戦いでは数が足りない分負けていた

だが、日本側は耐えきった

騎兵隊が完全に後ろに周り込みきるまで耐えきった、合図としてなのか

火のついた矢が一本、天に向かって伸びていた

その瞬間騎兵隊は西洋軍の真後ろから、まっすぐと食いこんでいった

「これで勝負は決まった」

人間はどうしても後ろの攻撃には弱い、集団でさえも例外ではない、と思う。

 さっきの火矢での合図を見、日本側の士気は盛り上がり

なおかつ騎兵隊が相手の陣容を真中から割るようにしていく

こうなると陣形なんてどうしようもなくなったのか、やる気を無くしたのか
意地でも生きたいのか

西洋側の指揮官らしき者が近衛をたずさえて真っ先に逃げていく

「指揮官いなくなったらもうお終いだなぁ」

残りの西洋の兵はてんでバラバラに逃げようとしている

だが騎兵隊からは逃げ切れず殺される者、武器を捨てて投降する者・・・

日本はもう掃討モードに入っている、と独り言をつぶやいていると突然声がかかる

「ところで、なぜ攻め主体の魚麟の陣にしたか分かるか?」

「そりゃもう決まってるじゃん、下手に守りの陣をしてても
 あの紡錘陣形の突撃食らって、突破されてしまう場合多いでしょ?」

「うむ」

「だけど魚麟の陣なら、絶対・・・とは言えないけど正面突破なんてされない」

「うむ」

「突破されたら元も子もないからね」

「うむ」

「だからアンタは、そうやって紡錘陣形の突撃には絶対突破されない陣を作って
 一計を案じ、騎兵隊に後ろを突かせるようにして倒したんでしょ」

「うむ・・・ところで、」

相手の言葉を遮るように俺は叫ぶ

「お前は一体何者だぁぁぁ!!?」

「こっちのセリフじゃ無礼者ぉぉぉ!!!」

殺気漂う平原にきらびやかな兵装をした者と、現代の洋服を着た者が叫ぶ
場違いと言えば場違いな雰囲気をかもし出している

よくよく見ると、指揮官クラスの気品の高い人に見える、
そいつが叫び疲れたのか、「ふぅ・・・」と溜息を出したと思えば

「連れてけ」

と無常な言葉をかけられてしまう

「はっ!」と、いつの間にかいたその指揮官らしき者の近衛兵に、俺の両側にまわられ
両腕を掴まれてそのまま縄をかけられてしまう

反抗したがったがする暇もなくお縄頂戴された。
相当慣れているようだ

気付くともう指揮官らしきものはおらず、俺は近衛に連れて行かれてしまう。

「ナンデ!?」

と当然のごとく不満をもらしつつ、俺はあの指揮官らしき者の取り巻き(近衛)によって
西洋の軍の捕虜達がいる中に放り込まれてしまった。

第一章 完