Star Craft Another Story


「登場人物紹介」

ウィル・・・一目ぼれした女性を追い掛け、軍に入った少年。
オルソン・・ウィルと同じメタロ基地に配属された新兵、気が弱い。
マリーク・・・ウィルと同じメタロ基地に配属された新兵、女性だが、男顔負けに気は強い。
ラミル・・・ウィルと同じメタロ基地に配属された新兵、がっしりとした体躯をしているが、優しく無口。
ロイド・・・メタロ基地の隊長。
ラナ・・・


「諸君らは、今後の・・・・」
なにやら、偉そうなおじさんが長々と訓示をたれている。
何でも、「デューク」とかいう、お偉いさんらしい。
僕にしてみれば、偉そうな訓示を貰っても、何も嬉しくないんだけど・・
でも、目を潤ませて、とりつかれたようにおじさんの話しを聞いてるやつもいるな。 そうそう、僕の名前は「ウィル」って言うんだ。今年で18歳。
僕達の永遠の敵である、ザーグとプロトスを根絶やしにするため、18の誕生日と同時に軍に志願した。
・・と、従軍希望書類には記述しておいた
今までは、20歳にならないと、軍には入れなかったんだけど、つい半年前、突然18歳まで引き下げられた。
父さんと母さんは、僕が軍に入ることを伝えると、良い顔をしなかった。
妹のエイミーにいたっては、泣いて止めようとしくれた。
でも、僕の決心は揺るがなかった。
・・僕には、ある憧れの人がいた。2年前に、僕の住んでる星は、ザーグに襲われた事がある。
防衛隊も全滅して、僕らの住む住宅地に、嫌らしい顔をした「ハイドラリスク」の群れが迫ってきた。
僕の家にも、1匹のハイドラリスクが迫ってきて、強烈な酸の液を口から吐いてきた。
元々大した家じゃないんだけど、あっさりと壁とか溶けちゃって、もう目の前2M位に・・・
目と鼻の先って奴?そんな距離に、あの不気味な顔が近づいてきた。
「ああ、ここで死ぬのかー」って、何故か冷静に思えたりもした。泣いてる妹と、それを励ましてる両親が、
どこか遠くでの出来事に思えたりして。
何となく覚悟を決めていたら、突然、嫌らしいハイドラリスクが、木っ端微塵になった。
僕は驚いて、目を丸くしたよ。多分、本当に丸くなってたんじゃないかな?って思ってた。
そんな事を思ってると「バスバスバス!」って、軽いような重いような、変な音が連続して響いた。
そして、見る見るうちに、ハイドラリスクの群れは数を減らしていったんだ。 
1分もしないうちに、20かそこらはいたはずの、ハイドラリク達は、1匹も動いてはいなかった。
ぼーぜんとしてる、僕とその家族。その前に、数人の兵隊さんらしき人たちが現れた。
その人達は、何か不思議な衣服をまとってた、防衛隊のマリーンさんたちとも違う、ちょっとかっこいい服。
呆然としている僕に、兵隊さんの中から、一人の女性が近づいてきた。
僕より同じ年くらいじゃないだろうか?いや、従軍できるのは20歳からだから、少なくとも4つ年上になるのかな?
肩のちょっと先まであるポニーテールに、浅黒く焼けた肌、大きな目。かなりチャーミングな子だ。
「大丈夫ですか?」
鈴を転がすような、綺麗な声。
「は、はい・・・ありがとうございました。」
僕は緊張して、普通のお礼しか言えなかった。今思えば、もっとかっこいい言葉を言いたかったな。
「ふふ、お礼なんて要いいですよ。これが私達の仕事ですからね。」
その女性は、ちょっと微笑んで・・(少なくとも僕にはそう見えた)胸を張って言った。
「お仕事・・・ですか?」
ああ、何て間の抜けた質問だったのだろう!一生の汚点さ!
「そう、君たちを守るのが、私達の仕事です。っと、ここでお話してる暇はないんでした、それじゃぁ失礼しますね。」
「あ、はい・・・それじゃあ。」


後で聞いた話によると、彼女達はテラン特殊歩兵「ゴースト」と言われる人達なんだそうだ。
何でも「クローク」とか言う技術で、姿を消せるんだそうで・・・それを使って、ハイドラリスク達を一掃したらしい

まぁ・・・そんなこんなで、彼女に会いたい一心で軍に入ろうと決心してしまい。
その結果、ここで偉そうなおっさんの、長々とした話を聞いてるわけなのだ。
「では、次ぎに君たちには適性検査を受けてもらう。それぞれ、希望の部隊があるであろうが、
適性のないものが部隊に入っても、無駄死にをするだけである、それは、若い命をむだに散らす事に他ならない!」
はいはい、まったくですね。でも、僕はゴースト部隊にはいれれば、何でもいいや。
そのために、結構体も鍛えたし、元々運動神経は悪いものじゃない。
「例えばだ、ゴーストになりたい者は、多少なりともPSI・・超能力の才能がなくては駄目だ。」
はいはい、超能力・・・ちょ、超能力!?なにそれ!?普通の人間に、あるわけないよそんなの!!
「Tank乗りになりたい者ならぁ・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

適性検査が終わった。

「ウィル・F・マクレイヤー」

性別・男
年齢・18歳

身長体重血液型・・・・・等の、普通の身体計測にもあるような記述の一番下の欄に、
部隊適性ランクが、A-Eで記されている。 Aが士官候補生での配属。Eは、配属不可らしい

「レイス空戦遊撃隊・E」
「タンク陸上殲滅隊・E」
「ゴースト特殊工作隊・E」
「ゴリアテ起動歩兵隊・E」
「ファイアーバット特殊殲滅部隊・D」
「マリーン地上制圧部隊・A」
     ・
     ・
     ・
「SCV資源回収部隊・A」

・・・他にも、細々と「レイス空戦突撃部」等の、作戦に応じての「差」のある部隊が多数あった・・けど。
殆ど軒並み「E」、採用不可。
「バルチャー地雷設置部隊」等と言う、いまいち地味目な舞台に「B」等がついてる当たり
実は嫌がらせじゃないかとか思ってしまう・・。
「SCV資源回収部隊・A」と言うのは何なのだろう・・SCVで士官候補生になっても、なにも嬉しくないんだけど・・
いや、そんな事はどうでもいい。僕はただ「ゴースト」の欄に・・E以外の文字がついていれば、それでよかったのに。
でも、軍にいれば彼女に会えるかもしれない、偉くなれば、向こうが気づいてくれるかも・・
そんな理由で、士官候補生にもなれる部隊への配属希望に、丸をした・・・。
・・・・ああ、勿論「マリーン」の方だよ?「SCV」で、偉くなっても、かっこわるいし。

「本日、当基地に配属されました!ウィル一等士官です!宜しくお願いいたします!」

配属希望の書類を出してから、1週間後。めでたく士官候補生として、Zergとの交戦中である惑星の一つ「メタロ」に配属された。
メタロ基地では、歩兵100・タンク5・SCV5・ゴリアテ10・・の、中規模部隊が駐留している。
と、聞いていた。
しかし、現地で僕を待っていたのは、僅かに5人のマリーン、2機のSCV、1機のタンク。
僕をここまで運んでくれた・・いや、僕のほかに3人のマリーンがいたけど・・・・とにかく、運んでくれた
ドロップシップは、既に張るか彼方へ飛び去ってしまっている。
既に後戻りなんて出来ない状態。
僕は呆然としていた・・僕と一緒に運ばれた、3人の新兵も、同じような顔をしている。
そんな僕らに、髭づらのおじさんが声をかけてきた。
「ようこそ、不幸な新兵達よ、君たちを歓迎しよう。私の名はロイド、この基地の隊長を勤めている。」
本人の言うことを信じるなら、隊長らしい。でも、どっちかといえば、隊長の前に「特攻」がつきそうな風体だ。
「さて、君らの内何人かは、多分士官候補生として、この地に配属されたんじゃないかな。」
そ、そうだよ、なのにこの扱いって!・・・僕が叫ぼうとする前に、僕のすぐ隣にいた、気の弱そうな少年が叫んだ。
「そ、そうです!適性Aランクで、士官候補生として!なのにこんなのって!」
彼も士官候補生なのか・・結構いるのかもしれないな。
「・・おれも士官候補生っていわれて、ここに着たんだが。」
今度は、ぼくら新兵の中で、一番体躯のいい青年が言った。
「ふむ・・・今回は多いな、どれ、士官候補生の奴、挙手してみろ」
ササッ。4人全員が手を上げた・・・な、何で全員!?
「ぐはははは、全員士官候補生か、こりゃーいいわ!」
ロイドが、Zerglingでも住み着いてそうな、汚い口をあけて大笑いした。
「どういう事なんですか?ロイド隊長は、このおかしな状況の理由をご存知のようですが。」
新兵の一人・・この人だけ女性だけど・・が、丁寧な、しかし厳しい口調でロイドに問い掛けた。
「ははは、良い質問だマリーク一等士官。その質問に答えよう。まず、殆ど全ての新兵志願者には、マリーン部隊の適性にはAがつけられる。」
「それはどういう・・・」
「まぁ、待て。詰まるところ、人が足りなくなったのさ。どんどん、どんどんと、まるで面白いくらいに死んでいくからな。
補充しても、全然足りない速度でくたばっちまうわけだ。特におマリーンは、ろくな装備もせずに敵に突っ込むわけだ、死んで当然だろう?って分けで、「士官候補生」の餌をぶら下げて、新兵をマリーン部隊配属希望させるわけだ。まー、それでも足りなくなったらしく、最近軍属年齢が、18に引き下げられたらしいがな。」
「そんな!それじゃ、私達の士官候補生って肩書きは、何の意味もないんですか!?」
マリークが、ロイドに詰め寄るように叫んだ。
「まー、こっから生きて帰れりゃ―、士官にでもなんでもなれるんじゃないか?だが、生きてかえりたきゃ、この星にいるZergのやろうどもを、全て根絶やしにして、植物の肥やしにでもしちまうしかねぇだろうがな。」
  目の前が真っ暗になった・・・

僕が、メタロ基地に配属されて、10日が経った。
今のところ、特にザーグと交戦するような事はなくて、先輩達に、銃火器の扱いを学ぶ毎日。
しかし、現地に行ってから学ぶあたり、いかに戦況が切迫しているか・・わかろうってものだよね・・
一緒に配属された、3人とも「何でこんな事に!」と言う共通の話題から、徐々に打ち解けた。
体躯の良い、少し無口な「ラミル」、ちょっと線の細い、でも優しい性格の「オルソン」、男顔負けで、言いたいことはべしべし言う、一応女性な「マリーク」
4人とも、18歳ってこともあって、けっこー学校みたいな雰囲気。でも、今僕がしている作業は、単語の書き取りなんかじゃなくて、銃火器の手入れ。
殺すための訓練、殺されないための訓練。
いつかは・・そう遠くないうちに、ザーグと闘って・・・もしかしたら、仲間の誰かが死ぬかもしれない・・いや、自分さえも・・
やっぱり、お父さんやお母さんは悲しむかな。妹は・・エイミーは泣くかな・・
「ウィル・・・銃の手入れしながら、ぶつぶつ言ってると、凄く怖いんだけど・・・。」
「え?・・あ、ああ、ごめんよ、ちょっと考え事しててさ。」
そうだった、今はオルソンと一緒に、銃の手入れしてたんだっけ、時々妄想の世界に入るくせ、全然直らないな。
良く考えれば、こんな戦場にいるのだって、憧れの子を追いかけるっていう・・妄想みたいなもんだもんなー。
  でも、こんな戦場でばったり会っちゃって、彼女のピンチを助けたりしちゃって・・そうしたら。
「ウィル・・・」
オルソンが、かなりとことんいぶかしげな視線で、僕を見ていた。
「ご、ごめん!ちょおおぉっと考え事!」
「ウィルってさー、真面目な顔でぶつぶつ言ってたかと思ったら、今度はニヤニヤしながら、ぶつぶつ言って・・かなり不気味だよ。」
う・・にやにやしてたのかぁ・・・全然わからなかった。
「ところでさ、何を考えてたの?あ、にやにやしてた時の方ね。」
オルソンが、それこそ「にやにや」しながら、僕に聞いてくる。
初めの頃は、泣きわめいて「家に帰る!」何て言ってたのに、それが無理だってわかると
結構あっさりと、順応した・・・案外変な奴かも。
「べ、別に大したことを考えてたわけじゃ・・ないんだけどさ!!」
ちょっと声が震える。
「えー?大したことでしょう?顔を真っ赤にしたり青くしたりにやけたり・・ねぇ?」
う・・まさか、好きな子の事を考えてたなんて言えない・・・まして、その子を追って軍に入っただなんて!
「いや、ほんと大したことじゃないんだ!わざわざ言うほどのものじゃないし、そういえば、先輩に呼ばれてたっけ!
 オルソン、また後で!」
自分でもわざとらしいくらいな言い訳で、その場から逃走を図る。 
結構・・・平和な基地生活だ。


『ニュークリアサイロ・ディテクティッド』
機械的な女性の声が、インカム・・・通信機から聞こえる。
『今より120秒後に、目標地点にニュークリアミサイル到達、NC誘導を行っているラナ少尉は、110秒後にその場から離脱してください。』
「了解しました。」
私は事務的に受け答える、多分顔も無表情になっているはずだ。
前方2KM位の地点に、ザーグの「群れ」が見える。
ザーグリング・・ハイドラリスク・・オーバーロード・・ミュータリスク・・
全部会わせて200は下らないだろう。正面からぶつかれば、何人の犠牲者が出るかわからない。
『カウントダウン・・20・・・・15・・・10・・』
NCが肉眼で確認出来る範囲に到達した、いっそ、このままここにいれば、楽に死ねるんじゃないか・・
そう考えたりもする、しかし、死んでもどうにもならない事も良く知ってる。
『・・9・・8・・・』・・・・急いでその場から離れる。
カッ!・・・ドゴォォォォーーン・・・・
目も眩む閃光・・・その直後・・・立ち上るキノコ雲・・・砕け散る肉塊。
何度も見た光景。けど、何度見ても「慣れる」ことは・・・無いと思う。


「ラナ、ご苦労様・・・・浮かない顔ね。」
基地に戻った私を、友達であり、戦友でもあった「エスト」が迎えてくれた。
「うん・・・やっぱり、あの時の事を思い出してしまうから・・」
顔を伏せる私の背中を、エストがひじで小突く。
「暗くなったってしょうがないよ!貴方にしか出来ない事なんだから。
 私や、貴方みたいなこをこれ以上増やさないためにも、頑張って欲しいな。」
下手な同情の無い、素直な励ましに、思わず私も笑みをこぼしてしまう。
「ありがとうエスト・・。」
「お礼なんて良いって、友達じゃない!それと、隊長が呼んでたから、早く行った方が良いかもよ。言うの忘れてたけど。それじゃねー」
エストが、肘から先が無い右手を振りながら小走りに去っていく。
3日前の戦闘で、両手の肘から先を失った。
いずれ義手をつけることになるんだろうけど、もう今までの動きは出来ないみたい。
「さて・・・私も行かなくちゃ、ケリガン隊長、待つの嫌いだから、怒らしたら怖いし。」
エストや隊長、他の仲間、皆大好き。だから、戦争と言う恐ろしい空間の中でも、生きていける。


                           


「と言うわけで、私は魚の方を焼くわ、ウィル、貴方は汁物を何かつくって頂戴・・・作れるわよね?」
マリークが、真摯な瞳で僕を見つめる・・・おたまを片手に。
「えっと・・・・料理は全然できません・・。」
「・・・今時の男は、料理さえ・・いえ、ちょっとした汁物さえ作れないのかしら。」
ここは、基地内にある小さな厨房、専属のコックなんて者はいないので、週代わりで2名、料理当番を荷うルールらしい。
今週はめでたく、僕とマリークの両名に、栄え有る料理当番が回ってきたというわけだ。
前任者がこぼしたのか、広さ10平方メートルにも満たない厨房の床に、黒っぽいしみが目立ってる。
フライパンは見事に焼け焦げてるし、換気扇も真っ黒!ガステーブルも、油汚れ満載!最高!
僕的ローカル賞として「こんなとこで作った料理は食中毒間違い無しで賞」でも上げたい。
後ろめたいので、ちょっと妄想に逃避していると、マリークに人参を投げられた。籠ごと。
「これの皮むいて。」
「はい・・」
・・・・・・・・20分後・・・・・・
「身は・・・どこにあるのかしら・・・」
「ごめんなさい・・」
・・・・・・1時間後・・・
「ふぅ・・こんなものかしらね?」
僕の目の前には、何でこんな厨房で、こんな料理が・・・と言うくらい、見事な料理が並んでいた。
せめて、料理に使った包丁やら、まな板を洗う僕。
「凄いんだね、マリーク。」
「まぁね、家では家事は私の仕事だったし、5人も妹弟がいたからね、上手くもなるわ・・・・いまいち野菜が少ないかしら・・魚の上に、短冊切りの大根でも散らそうか・・・あんた、これでまな板洗ったつもりなの?」
僕に一瞥をくれて、再びまな板を引っ張り出す。そして、トントントンと、軽やかな音が響かせる。
「でもさぁ、今はマリータは、こんなとこに来てるわけだろう?弟妹達は、どうしてるんだい?」
トントントントントン・・・・規則正しく、包丁が大根を切り刻む。
「もしかして、兄弟喧嘩でもして、家を出てきたとかぁ?」
手持ち無沙汰なので、マリークの後ろの椅子に座りながら足をぶらぶらさせる。
トントントン・・ドン!
ゴトン・・・ゴロゴロ。
まな板から転げ落ちる、無残に両断された大根。
「喧嘩ね・・・出来るものならしたいわ。」
「それは・・どう言う意味?」
マリークは、それだけ言うと、足早に厨房を出て行ってしまった。



3

私の一家は、7人家族だった・・・父も母も、私が15の時にザーグに襲われて、帰らぬ人になってた・・
私と・・一個下の、フィンが、死に物狂いで働いたわ。
1番下の子は、たった3歳。それでも育ち盛りで・・そして、他にも5人の弟妹たち。
生活はギリギリだった、でも、何とか6人で暮らしていけた。
家もね、ザーグの領土の近くにあったから、結構安くて・・食費を稼ぐだけでだけで何とか生きていけた。
ザーグも、何故か姿さえ見せなかった。
徐々に皆大きくなって、働くようになって・・・3年の月日がすぎた時・・このまま、一緒に暮らしていくのも、そんなに難しくないんじゃないかと思った。
でもね・・・それは、皆が健康でいてくれたから。
フィンが倒れたの・・・過労だった。でも、それだけで十分だったわ。
今までの苦労が祟ったのね、3日後には、もう息を引き取ってしまった。
1番の働き手だった、フィンが死んで、私たちの生活は一気に苦しいものになった。
大事な家族を失って、みんな、心身ともに疲れ果ててた。
私も、もう何もかもがいやになって・・・逃げ出したの、みんなを見捨てて。
少しだけ・・・ほんの少しだけどこか遠くに行って、直に帰るつもりだった。
ほんの1週間ほどで・・帰るつもりだった。
でも、その1週間で、全てが決ってしまったの。
私が家を出て、3日後。ザーグが私達の家がある地域を襲撃した。
3年間、ろくに姿さえ見せなかったのに・・・なんでその時に限って・・・
急いで家に戻った私を、弟妹は迎えてくれた。何も応える事の出来ない姿で。
私は、地面に転がった、弟妹達を抱きしめて、叫び声を上げて泣こうとした・・・でも、涙も声も出なかった。
「クロード・レナ・コープル・パオラ・・」頭の中で、弟妹達の名前がぐるぐると回った。
1日か・・2日か・・・弟妹だったものを、両脇に抱えて、その場で声も涙も無く、でも泣きつづけた。


何日か後、妹弟達を埋葬した私は、軍に志願した。
志願の理由には「弟妹を殺されたかたきをとりたい」そう書いておいた。
実際、そんな人は大勢居るらしい・・面接官はそう言っていた。
でも、私は、本当は少し違った。
「もし、あの時自分が家を出ていなければ・・」自分の我侭で、弟妹達を殺してしまった。
私は・・・弟妹達と同じように、ザーグに殺して欲しい・・・