Star Craft Another Story
闘いは佳境を極めていた。先だっての大戦で、Zergが終に滅びの道を歩むこととなった。
しかし、TerranとProtossが和平の道を選択することなどなく、3者の均衡が崩れたために
更なる大戦への渦中へと、生きとし生ける全てのものを放り込むことになった。
数年にわたる大戦を経ても、大戦は終わる兆しを見せなかった・・・
新たな命が生まれ、うまれた命の数以上に、消えていった・・・
テランとプロトスの主戦場となる星、イサークイーン。その一角の岩地で、ズィーアロット2小隊、マリーン4小隊がにらみ合っていた。
小隊は、基本的に12体で構成される。すなわち24のズィーアロットと、48のマリーンがにらみ合ってるわけだ。
互いに、部隊の直後ろには、貴重な前線基地が構築されておリ、敗北は許されない状況だ・・
プロトス側の陣営で、一人の若い・・・100歳くらいか・・・の、ズィーアロットが、指揮官らしい男に語りかけた。
(ライブラ隊長、我々の数と、隊長の腕なら、あの程度のマリーンなんて打ち破れます、突撃の命令を!)
右手のサイオニック・ソードが
左手のその3倍もの長さになっている男・・・ライブラは、しばし考えこんだ。
そして、自分の直真横で、なにやら熱心に、この場にはいない誰かと会話している青年を見た。
(レオ、お前アービターに乗れ、ズィーアロット隊をクローキングして突撃を試みる)
(へ?俺っすか?いや、確かにそっちが本業っすけど、あれってめっちゃ狙われるんっすけど)
レオ、と呼ばれた青年は、人懐っこい顔を少し歪め、手を左右に振った。
(そうか・・・ところで、今お前が会話していたのは、俺の娘だと思うんだが、やっぱりおまえにはやりたくない気がしてきた)
右手をやや上に持ち上げ、意地の悪い笑いを浮かべるライブラ。
(えぇぇ!?何で話してた相手が分かるんすか!?って言うか、一度は認めたのを変えるのは男じゃないっすよー)
(俺は指揮官だ、臨機応変に物事を考えないとマズイだろう?)
にやりと笑うライブラ。反対に、レオは困った顔を浮かべている。
(うぅ・・・分かりました、行きますよーー、でも、ちゃんと結婚認めてくださいね・・)
口調は嫌々ながら、一度決めるとさっさとアービターに乗りこむレオ。
(あの行動力は良いんだが・・・危険に身をさらすのに、口で言うほどは抵抗がないあたりが・・・娘の婿としては、少し不安なのだがなぁ・・)
中空に、静かに浮かび上がるアービターを見ながら、指揮官でもあり、父親でもある男は、両手を振るった。
((よし!今より敵に突撃をかける!アービターのクローキングゾーンから突出するな!行くぞ!))
ライブラを先頭とし、22体のズィーアロット、その僅か後ろを、レオのアービターが追随する。
『フォン・・』鈍く、高くも低くもない音とともに、白い雷が僅かにきらめき、ズィーアロット達は次々に消えていく。
「おい!アービターだ!敵がクロークしてる可能性がある!早く打ち落と・・!」
(それは困るな、静かに死んでくれ)
レオを初めに見とめた、マリーン部隊の指揮官は、部下に命令のすべてを伝えることもなく、ライブラの刃の前に倒れた。
シャキン・ザクッ・ガチッ・ギンッ・・・堅い金属のぶつかる音が響く度に、マリーン達は次々に倒れていく。
「まじぃ!?このままじゃ・・・アービターだ、あれを落とせ!」
声に反応し、全てのマリーンがレオに狙いをつける
ズガガガガッ・・・
(おぉぉ!?しかし、その程度じゃシールドさえ破れねぇなー、落としたきゃゴリアテ位持ってきな)
パスンッ・・
(って・・今の着弾音はゴーストか!?ロックダウンはまずい!?)
「くたばれ、この口無しが・・・LockOn」
マリーン部隊に一人混じっていたゴーストが、テランがプロトスをなじる時に使うお決まりの言葉を口にしつつ、レオに狙いをつける。
(させぬ!)
しかし、ライブラが素早くゴーストに駆け寄り、通常の3倍のブレード駆使し、ゴーストの片腕を飛ばした。
(さすが俺の親父になる人、手が早いっす)
(お前・・それは誉めてるつもりか、父親としては、お前の方が娘に手を出すのが早い、と言いたいのだが)
マリーンの9割を片付け、彼らが僅かに気を緩めた時だった。
ゴゴゴゴゴ! 突如大地が大きく縦に揺れた。
(なにごとッすかぁ!?)(何だと!?)
今だ、かつてない大地震。瞬く間に変わる地形。崩れ落ちる岩石。飛び交う悲鳴。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(う・・・)
右手に痛烈な痛みを感じ、ライブラは目を開いた。
ゴツゴツした岩地に寝そべるのは、あまり気分の良いものではない。
(ああ!目が覚めたッすか!?しっかりしてください!)
目の前にいる男が、未来の息子と言うことを確認したのち、息子に問うた。
(他の・・私の部下はどうなっている)
(!・・・奇跡的に皆無事っす、ただ、さっきの地震で、隊長達がいた場所は、大きくへこんじまって、直にはここから出れそうにないっす でも、俺のリコールで基地までは戻れるっす。)
少し自慢げなレオをみて、ライブラは僅かに微笑んだ。
(つっ・・・そう言えば、右腕が妙に痛むな・・)
目を覚ますきっかけにもなった右腕に目をやり、彼は一瞬言葉を失った。
(そうか・・・まぁ、命が持っただけでも、感謝せねばならんな)
(そうっすよ、いざとなればドラグーンになるって手もあるっす)
慰めてるのかどうか怪しいが、彼にしてみれば精一杯の言葉なのだろう。
この腕を理由に、こいつに今後の指揮を・・・・指揮と、娘を任せても良いな・・等と思っていると。
Newclearlunch Detected
「くへへへ・・・さっきはよくも、俺の腕を飛ばしてくれたな!今度は俺が、貴様らの全てを吹き飛ばしてやるぜ!」
切り立った丘の上に、片腕を失ったゴーストが、岩盤に寝そべり、ライブラ達にNC誘導レーザーを照射している。
(何と言うことだ・・・レオ!リコールは行けるのか!?)
ライブラは、腕の痛みも忘れ、息子を睨みつける。
(1回なら行けるっす!・・・ただ、転送範囲をどんなに広げても、一人・・一人だけ転送できないっす、範囲外になるっす・・)
(なら、俺が残る、他の部下を転送しろ)
間髪いれず、勇敢な隊長は、レオにそう告げる。
(・・・命令っすか?)
答えを知りつつ、レオは問う。
(命令だ)
(・・・・了解したっす・・・)
隊長として、それが正しい選択でもあり、責任でもあると分かっている。
レオは、無言で、アービターに乗りこんだ
「けっ・・・貴様だけ逃げる・・・ってか?」
くぼ地から離れていくレオを、息も絶え絶えに、ゴーストが侮辱する。
(範囲選択、転送値決定・・リコール)
黒い渦が表れ、ズィーアロット達を飲みこんだ。
(間に合ったか・・・良かった・・・レオ、娘を頼む)
「なに・・・・リコールか・・・しかし、俺の腕を切り落とした、貴様さえ殺せるなら、構わん・・くけけ・・」
(隊長・・・俺は、俺は・・どうしたらたすけ・・)
(無駄だ、世の中には、出切ることと出来ないことはある。今はどうあがいても、お前には出来ないことなのだ・・・
だが、お前にしか出来ないこともある・・・・・・・娘を頼む)
核を誘導する、赤いレーザースポットが消滅する、もはや核は、すぐ近くまで着ているのだ
「死ね、死んじまえぇぇぇぇ!」
(たいちょぉぉぉぉぉ!!)
眩い光が当たりを包み、そして轟音・・・・
(ねぇ、レオ、私達が結婚して、もう3年になるわね)
(そうか・・・もうそんなになるのかぁ、俺も親父だなー、結構お偉い身だしなー)
(くすっ、何言ってるの?でも、その若さでは凄い昇進よね?)
(はっはっは、新しい戦術を考えたからな、当然の結果だ)
自他共に見とめる、中むつまじい夫婦。
あれから3年、レオは異例の出世を遂げた。
(やっぱ、俺って天才だなー、うんうん、もう、親父さんにも負けないくらい立派だな?)
(ほほう、では手合わせするかな、わが息子よ)
(・・パピー、冗談っすよー、そんな怒った顔しちゃいやーん)
(・・・息子よ、やはり手合わせが必要なようだ)
レオの首根っこを引っつかみ、引きずって行くライブラ。
(くすくす、仲が良いんだから)
Protoss中央評議会、戦術研究所
(リコールが使えない、エネルギーが十分でない時に、仲間が核に狙われた時、お前ならどうする?)
若い研究員が、熱心に話し合っている
(うん?・・・・耐える)
(アホかお前は・・・って、普通はわかんねーよな。何とさ、ステイシス・フィールドを仲間にかけるのさ)
(・・そ、そんな方法ありかよ)
(実際、これで、あのレオ中佐は、今の父親・・・ライブラ大佐を助けたんだってよ。で、それの応用、イラディエイトとか 今はザーグがいないから、そんな恐れは無いが、キャリアーにとって一番怖い、ザーグのプレイグを、確実に防ぐ戦術を、考えついたって分けだ)
(はぁ・・・・すげぇな・・・俺も頑張ろうっと)
大切な、失いたくない人を、心から助けたいと思った時、生き物は、限界を超え力を出すことが出来る。それは誰であっても同じ、何であっても同じ。心と言うものが存在する限り・・・